男の料理教室で介護予防
 
〜世田谷区 ミニデイサービス「おとこの台所」の活動〜

 「料理が、こんなに面白いものとは思わなかった。」世田谷区のミニデイサービス「おとこの台所」に参加している男性はみなさんそう語ります。
 「おとこの台所」は、「家にひきこもりがちな退職後の男性の拠点づくり」を目的に、平成14年4月に設立されました。参加者が継続的に活動を続けるためには、達成感を伴うものをということで、料理を活動のテーマに選びました。月2回、区の施設で行う料理教室が活動の中心となっています。
 それまで仕事をバリバリとやってきた男性たちも、料理に関してはまったくの素人、スーパーに行っても大根の置いてある場所もわからない、みじん切りをしようとしたらサイコロ切りになってしまうような人ばかりです。
 しかし、退職後の男性が集うこのグループに参加して、自分で作ったものをみんなで食べるという活動は予想以上に楽しく、毎回参加しているうちに、料理の腕もめきめきと上達していきます。
 これまでの活動で作った料理は80種類に達し、レシピを集めたCD-ROMまで作ってしまいました。次回に行う料理のレシピをメーリングリストで送り、みんながそれを予習してくるというから本格的です。通常の料理教室の他にも、バイオリン演奏つきの「お食事会」の開催や、地域の民生委員とタイアップして依頼のあった高齢者の家庭に出向いて料理をする「出前シェフ」など、活動の場は地域全体に広がっています。
 代表の小竹さんは「とにかく楽しいのは、集まったメンバーに上下関係がないこと。それまでの肩書きも関係なく、本音でいろいろなことを言い合えることが大きいと思います。」と語ります。だからこそ、途中で会をやめた人はほとんどおらず、遠方から1時間半電車を乗り継いで駆けつける人までいるのでしょう。
 また、妻が普段は作らないような料理をしようというこだわりもあります。参加者はそれを会の中で覚えて帰って、家族の前で披露すると、「お父さん、こんなに上手に料理できるの?」と驚きながらも見直してくれます。退職後に新しい友人たちができ、地域全体に行動範囲が広がるだけでなく、家庭内のコミュニケーションまで円滑にしてしまう効果があるようです。


中高年からの介護予防読本-すばらしい「老い」を求めて-
登録番号(16)258
平成17年2月発行
編集・発行 東京都福祉保健局 高齢社会対策部 介護保険課