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モデル規程解説

本解説の読み方

飼養モデル規程は、集合住宅で動物を飼うに当たって、ルールづくりの骨格として望ましい事項を盛り込んだものです。実際に各集合住宅で作成する際には、その住宅の実情に応じて取捨選択又は加筆等を行ってください。
この解説では、飼養モデル規程の第1から第12までを点線の枠で囲み、その下にそれぞれの趣旨、語句等の説明をしてあります。
ここでいう「集合住宅」とは、いわゆるアパート、マンションなどで、内部が独立の住居に分かれ、2戸以上の世帯が共同居住している建物を指しています。

目的

第1 この規程は、「○○集合住宅」の管理組合又は貸主(以下「管理組合等」という。)と居住者との間における動物を飼うことについての合意を前提に、「○○集合住宅」において動物を飼うに当たって必要な事項を定めるとともに、動物の愛護についての理解を深めることを目的とする。

合住宅において動物を飼うには、飼養を希望する居住者、希望しない居住者、管理組合等関係者の「動物を飼うことができる」という合意が前提となります。
また、この合意の下で動物を飼う場合にも、他の居住者に迷惑をかけないための正しい飼い方が、当然飼い主に求められます。
さらに、正しく飼われている動物を介して、居住者相互の交流を促進し、結果として、その集合住宅に潤いのある豊かな生活環境を築く一助になるものという考えから、このモデル規程の目的を示しています。

飼い主の心構え

第2「○○集合住宅」において動物を飼う居住者(以下「飼い主」という。)は、次のことを常に心掛けなければならない。
(1)他の居住者の立場を尊重し、快適な生活環境の維持向上を図ること。
(2)動物の本能、習性等を理解するとともに、飼い主としての責任を自覚し、動物を終生、適正に飼うこと。
(3)動物の保護及び管理に関する法律、東京都動物の保護及び管理に関する条例、狂犬病予防法等に規定する飼い主の義務を守ること。

東京都動物の保護及び管理に関する条例第6条に「飼い主の責務」が示されています。集合住宅においても同様に、当然守るべき基本的な飼い主の心構えとして、ここに示しています。

(1)他の居住者の立場の尊重
飼い主は、動物の鳴き声、ふん尿や悪臭等で他の居住者に迷惑をかけないなど、快適な生活環境の維持向上に努めることが必要です。
(2)飼養する動物に対する理解と責任
本能とは、採食や繁殖活動をはじめ、犬が警戒心から吠えることなど、「動物が生まれながらに持っている性質や反射的な行動」をいいます。また、習性とは、縄張り主張のための排尿等の行動(マーキング)、集団行動などの「その動物種に一般的に認められる行動様式」をいいます。
これらの本能、習性のほか、その動物の生理や生態などを理解することが望ましいでしょう。
終生飼うとは、動物がその一生を終えるまでの間、きちんと面倒をみることであり、これは飼い主としての当然の責任です。犬や猫では15年以上生きるものも多く、この間、愛情を注ぎ、世話やしつけ等を行わなければなりません。

(3)関係法令等の遵守
ここで書かれている法律、条例以外に鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律等がありますが、これらの内容については、後述の資料を参照してください。

飼い主の守るべき事項

第3 飼い主は、次に掲げる事項を守り、動物を適正に飼わなければならない。

(1)基本的な事項
ア 動物は、自己の居室又は管理組合等により指定された場所(以下「指定された場所」という。)で飼うこと。
イ 自己の居室又は指定された場所以外で、動物にえさや水を与えたり、排せつをさせないこと。
ウ 動物の異常な鳴き声やふん尿等から発する悪臭によって、近隣に迷惑をかけないこと。
エ 動物は、常に清潔に保つとともに、疾病の予防、衛生害虫の発生防止等の健康管理を行うこと。
オ 犬、猫には、必要な「しつけ」を行うこと。
カ 犬、猫等には、不妊去勢手術等の繁殖制限措置を行うよう努めること。
キ 動物による汚損、破損、傷害等が発生した場合は、その責任を負うとともに、誠意を持って解決を図ること。
ク 地震、火災等の非常災害時には、動物を保護するとともに、動物が他の居住者等に危害を及ぼさないよう留意すること。
ケ 動物が死亡した場合には、適切な取扱いを行うこと。

(2)他の居住者等に配慮する事項
ア 自己の居室又は指定された場所以外で、動物の毛や羽の手入れ、ケージの清掃等を行わないこと。
イ 動物の毛や羽の手入れ、ケージの清掃等を行う場合は、必ず窓を閉めるなどして、毛や羽等の飛散を防止すること。
ウ 犬、猫等が自己の居室又は指定された場所以外で万一排せつした場合は、ふん便を必ず持ち帰るとともに、衛生的な後始末を行うこと。
エ 犬、猫等を散歩させる時には、砂場や芝生等(具体的な場所は、各集合住宅で定める。)の立入りを禁止された場所に入れないこと。
オ 廊下、エレベーター等では、動物は抱きかかえ、又はケージ等に入れ、移動すること。
カ エレベーターを利用する場合は、同乗者に迷惑のかからないよう配慮すること。


ここでは、飼い主に求められる正しい飼い方についての基本的な事項を二つに大別し、それぞれ具体的に示しています。

(1)ア 自己の居室とは、建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)でいう「専有部分」のことで、これに対する「共用部分」には、ベランダ、廊下、階段、エレベーター等が含まれます。
イ 室内での排せつを習慣づけさせることが必要ですので、そのための「しつけ」を行わなければなりません。
排便、排尿のしつけ方ですが、犬、猫では、まずトイレを置く場所を台所から離れた静かな場所に決め、犬、猫が床の臭いをかいでうろうろしはじめたら、すぐにこのトイレに連れていき排せつさせます。そこできちんと排せつをしたなら、十分にほめてやります。これを繰り返すことによって、排せつのしつけができます。
ふん便等の始末については、ふん便のみを水洗トイレに流すなど、きちんと分別して、衛生的に処理しなければなりません。
ウ 異常な鳴き声とは、社会通念として受け入れられる限度を超えるような鳴き声をいいます。
ふん尿等の「等」には、臭いの強い消毒薬など、人によってはその臭いを不快と感じるものが含まれます。なお、無臭の消毒薬として「逆性せっけん」等があります。
エ 動物を清潔に保つために、犬や猫の場合は、定期的にブラシをかけ、体を洗ってやります。小鳥には、種類によって水浴用の水を用意します。
動物が病気にかかったと思われる場合は、獣医師の診断や治療を受けることが必要です。
衛生害虫とは、一般的に、人や動物に吸血の害を及ぼしたり、不快感を与えたりするノミ、ダニ、ハエ等をいいます。その発生防止策として、部屋のこまめな掃除を行ったり、犬や猫専用のタオルや敷物は、頻繁に洗濯して天日に干すことが望ましいでしょう。
オ 犬では、排便等のしつけの他に、「スワレ」「フセ」「マテ」「オイデ」「ツケ」、無駄吠え防止、他人に向かわせない等のしつけがあります。これらのしつけ方は、飼い主自らが実践することが重要です。数多くの専門書などがありますので、適当と思われるものを選んで参考にするとよいでしょう。

カ 繁殖制限は、飼い主が犬、猫等を正しく管理することによっても十分可能ですが、このほかの方法としては、外科的措置(不妊去勢手術)やホルモン剤を用いる方法があります。犬、猫以外の動物では、うさぎ、ハムスターにも措置が必要な場合があります。
ク 地震、火災等、非常災害時の対応策を考えておきましょう。また、飼い主が災害時に犬や猫を連れ出す場合には、移動用のケージを用意しておくとよいでしょう。
ケ 動物が死亡した場合には、動物霊園、清掃事務所、市町村の清掃課に依頼する方法があります。

(2)イ 動物の羽毛は、布団や敷物を干したときにも飛散するおそれがありますので、これらを掃除機で吸い取ってから干すなどの配慮が必要です。
ウ 犬や猫では、室内で排せつさせることが基本となります。散歩時にはふん処理用の紙や袋などを持って行き、屋外でふんをしてしまった場合には、必ずそれを家に持ち帰って処理しなければなりません。
また、廊下やエレベーター等の屋内で排せつをしてしまった場合にも、その場所を衛生的に後始末することが必要です。
オ 廊下、エレベーター等の共用部分では、動物を抱きかかえたり、あいさつを交わすなど、特に他の居住者等への配慮が必要です。

飼い主の会

第4 この集合住宅の飼い主は、管理組合等の指導の下に、「飼い主の会」を設ける。
2.「飼い主の会」は、飼い主全員及びその他の入会を希望する居住者で構成し、会則を定め、適正な運営を図る。
3.「飼い主の会」の役割は、次のとおりとする。
(1)会員相互の友好を深めるとともに、動物の正しい飼い方に関する知識を広めるよう努めること。
(2)会員以外の居住者及び近隣住民にも、動物と暮らすことへの理解を深めてもらうよう努めること。
(3)住宅内の共有施設や住宅周辺の環境及び衛生の保持に努めること。
(4)動物を飼おうとする居住者の相談窓口となること。
(5)飼い主が自ら解決することが困難な問題が生じた場合には、その飼い主とともに適切な解決を図ること。
(6)この規程に違反した飼い主に対し、適切な飼い方等を指導すること。
(7)管理組合等に対し、会の組織及び運営状況について適宜報告すること。


ここでは、飼い主の会について具体的に示しています。

1.集合住宅においては、住宅全体の飼い主及びその他の居住者が連帯して、相互の友好を深め、動物の正しい飼い方の普及や、動物を飼うことに関するいろいろな問題を解決していくための組織づくりが必要になります。
飼い主及び他の居住者が、それぞれの立場を尊重しつつ、正しい飼い方についての普及啓発を行い、良好な居住環境を築いていくために、この「飼い主の会」の存在は重要であると考えます。
2.「飼い主の会」の会則には、3であげた「役割」以外に、組織、運営等に関する 事項が含まれることになるでしょう。
3.
(1)正しい飼い方とは、第3(飼い主の守るべき事項)に具体的に示し、解説して います。また、後述の資料中の犬及びねこの飼養及び保管に関する基準にも、犬、 猫の正しい飼い方についての事項が掲げられています。
知識を広めるための方法としては、飼育マニュアルの作成や配布、ポスターや 立て札の作成、勉強会の実施等が考えられます。
(3)集合住宅内のみならず、その近隣への配慮が大切であり、近隣自治会等と協力 して清掃活動を行うことも考えられます。
(5)解決が困難な問題が生じた場合には、保健所、動物保護相談センター、動物病院など 動物の専門家の意見も参考にするとよいでしょう。例えば、飼い主が入院した時 の動物の扱い等についても、対策を立てておくことが望ましいでしょう。

居住者の理解

第5 居住者は、動物の愛護について理解し、人と動物が共生できる快適な生活環境づくりに協力するものとする。

このモデル規程の「目的」を達成するために、飼い主だけでなく、動物を飼っていない居住者にも特に望まれることとして示しています。動物の保護及び管理に関する法律の目的にあるように、集合住宅においても、居住者間で動物愛護の精神を広めていくことが、動物の正しい飼い方とともに必要であると考えます。

飼うことのできる動物の種類

第6 居住者が飼うことのできる動物の種類は、次のとおりとする。
(1)犬及び猫(大きさ及び種類は、各集合住宅で定める。)
(2)小鳥(具体的な種類は、各集合住宅で定める。)
(3)その他の動物(具体的な種類は、各集合住宅で定める。)


集合住宅において飼育できる動物の種類は、その住宅の実情に応じて定めることが必要です。

飼うことのできる動物の数

第7 居住者が飼うことのできる動物の数(一世帯当たり)は、次のとおりとする。ただし、複数の種類の動物を飼う場合の数は、別に定めるものとする。(頭羽数は、各集合住宅で定める。)
(1)犬又は猫については、○頭以内(頭数は、各集合住宅で定める。)
(2)小鳥については、○羽以内(羽数は、各集合住宅で定める。 )
(3)その他の動物については、○頭羽以内(頭羽数は、各集合住宅で定める。)


動物の数についても、第6と同様の考え方により示しています。多頭飼育はトラブルの原因となることが多いため、飼う動物の数が管理能力を超えないよう注意を払うことが望ましいでしょう。

居住者の行う手続き

第8 居住者は、管理組合等に対して、次に掲げる手続を行わなければならない。
(1)動物を飼う場合は、あらかじめ許可を受けるとともに、この規程を遵守する旨を誓約すること。
(2)犬を飼う場合は、(1)の手続を経た後、速やかに狂犬病予防法第4条に規定する登録及び同法第5条に規定する予防注射を行った旨の証明を提示すること。
(3)動物を飼わなくなった場合は、その旨届け出ること。
「動物を飼うことができる」という合意が成立していても、実際に飼うに当たっては手続が必要になります。ここではその手続について示しています。


(1)では「許可を受ける」という形で示しましたが、そのほかに「承認を受ける」、「届出を行う」等の表現が考えられます。実際に規程を作る際には、各集合住宅の実情に応じて選択するとよいでしょう。
(2)の狂犬病予防法の登録、注射を行った旨の証明は、鑑札又は注射済票等を提示すればよいでしょう。

動物の標識

第9 飼い主は、管理組合等が発行する標識を、他の居住者等が見やすい場所に掲示しておかなければならない。

動物を飼っている標識を掲示することにより、動物の飼育を他の居住者に知ってもらうとともに、飼い主としての自覚を促すために示しています。

盲導犬等に対する配慮

第10 居住者が、盲導犬、聴導犬、介護(助)犬等の動物(以下「盲導犬等」という。)を必要とする場合においては、管理組合等及び他の居住者は、その動物の必要性に十分配慮するものとする。
2.盲導犬等については、次に掲げる項目の適用を除外する。
(1)第3(飼い主の守るべき事項)の2)のオ
(2)第6(飼うことのできる動物の種類)


ここでは、身体に障害を持った居住者等を補助する盲導犬等の動物について、管理組合等及び他の居住者が、その動物の必要性を理解し、配慮することについて示しています。
盲導犬、聴導犬、介助(護)犬とは、身体 に障害のある人を補助する「サポートドッグ」 と言われている犬で、それぞれ、目の不自由 な人、耳の不自由な人、手足の不自由な人を 補助する犬をいいます。


盲導犬として使用されている犬種は、ラブ ラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、 ジャーマンシェパード等の大型犬ですが、こ れらの犬はその目的の遂行と人の社会生活に 同伴するための十分な訓練(しつけ)がされ ています。

飼い主に対する指導、禁止等

第11 飼い主が、この規程に違反し、他の居住者及び近隣住民に迷惑や危害を与えた場合で、「飼い主の会」の指導にもかかわらず解決が図られないときは、管理組合等が、その飼い主を指導することができる。
2.管理組合等が、度重なる指導を行ったにもかかわらず、問題が解決されない場合は、管理組合等は、その飼い主に対し、動物を飼うことを禁止することができる。
3.動物を飼うことを禁止された飼い主は、新たな飼い主を探すなど、速やかに適切な措置をとらなければならない。

「飼い主の会」や管理組合等が度重なる指導をしたにもかかわらず、不適切な飼い方をしている飼い主に対しては、最終的な手段を講じなければならない場合もあることを想定して示しています。

1.飼い主は、飼養規程を遵守して適正飼養に努めなければなりません。
飼養規程に違反した飼い主に対する指導は、自主管理の一環として第4の「飼い主の会」の役割として示していますが、それでもなお改善されない場合は、管理組合等が指導を行うことができるとしたものです。
2.指導をしたにもかかわらず、改善されない場合は、その動物を飼うことを禁止することになります。
3.動物を終生飼うことは飼い主の責務ですが、飼うことを禁止された場合、飼い主は、現に飼っているその動物の新たな飼い主を探すよう最大限の努力を行わなければなりません。この際、「飼い主の会」も新たな飼い主探しに協力することが大切なことです。
このような飼養禁止という事態が起こらないよう、個々の飼い主は、常に飼い主としての責任を十分に自覚して、動物を適正に飼うように努めなければなりません。さらに、「飼い主の会」による正しい飼い方についての普及啓発が、問題の防止及び解決のために重要であると考えます。

管理組合等の業務の代行

第12 「飼い主の会」は、管理組合等からの指示により、次に掲げる項目について管理組合等の業務を代行することができる。
(1)第8(居住者の行う手続)
(2)第9(動物の標識)

第4で提案した「飼い主の会」が管理組合等の指導のもとに設立された組織であるため、その業務の代行ができるものとし、また、管理組合等の負担を軽くすることを考えて、ここに示しています。

お問い合わせ

このページの担当は 健康安全部 環境保健衛生課 動物管理担当(03-5320-4412) です。

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