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「母乳中ダイオキシン類濃度調査に係る総合解析報告」について 

 都は、母乳中のダイオキシン類濃度を測定・分析し、あわせて居住歴や食生活等を調査することにより、ダイオキシン類の都民への健康影響について把握することを目的として、「母乳中ダイオキシン類濃度調査」を平成10年度から実施しております。
 このたび、総合解析の結果がまとまりましたので、お知らせいたします。

1 調査内容

1)対象地区
島しょを除く、都内全域6地区(区部4地区、多摩2地区)。

2)対象者
各年とも、各地区20名(初産婦10名、経産婦10名)で計120名、3年間で合計360名。

3)調査時期等
平成10年度から平成12年度にかけて、各対象者から出産後30日目の母乳を50ミリリットル程度、提供を受けた。また、あわせて居住歴や食生活等、日常生活との関連を調査した。

4)解析方法
平成10年度調査結果は、異性体数や分析の検出限界等が異なるため参考程度とし、平成11年度及び12年度の2年分の調査結果をあわせて解析した。

2 総合解析結果

1) 母乳中ダイオキシン類の状況
母乳中の脂肪1グラムあたりの濃度の平均は、ダイオキシン類合計で25.6 pg TEQ/g脂肪(内訳:PCDD+PCDF 14.9 pgTEQ/g脂肪、Co-PCB 10.6pgTEQ/g脂肪)であった。この値は、他の大都市における値とほぼ同程度であった。

2) 母親の出産歴等と母乳中ダイオキシン類濃度との関係
(1) 初産婦の平均濃度(29.0pgTEQ/g脂肪)は、経産婦の平均濃度(22.1pgTEQ/g脂肪)よりも高かった。
(2) 母親の年齢が高いほど、ダイオキシン類濃度が高いという関係が見られた。
(3) 経産婦においては、第1子を「混合栄養」又は「人工栄養」で育てた者の方が「母乳栄養」で育てた者よりも、高い濃度を示した。
(4) 経産婦においては、第1子の年齢が高い方がダイオキシン類の濃度が高かった。

以上の結果は、ダイオキシン類は脂溶性物質であり、体内に蓄積され、脂肪成分に富む母乳が排泄経路の主要部分を占めるという、体内におけるダイオキシン類の動態の通説を裏付けるものであった。

3) 母子の健康状態とダイオキシン類濃度との関係
(1) 母親の既往歴や健康状況とダイオキシン類濃度との間に関連は見られなかった。
(2) 経産婦について、第1子のアトピー性皮膚炎やその他のアレルギー性疾患、その他情報収集した疾患についてダイオキシン類濃度との関係で特定の傾向や統計学的有意差は観察されなかった。
(3) ダイオキシン類濃度が高い者の方が出生時体重が低いという統計学的に有意な関連が得られたが、今回観察された関連は弱いものであり、今後とも検討が必要である。

4) 現住所と廃棄物焼却場等との距離とダイオキシン類の濃度
自宅から廃棄物焼却場及び産業廃棄物処分場までの距離とダイオキシン類濃度との間に、関連は見られなかった。

5) 生活習慣とダイオキシン類の状況
(1) 職業歴とダイオキシン類濃度との間に、関連は見られなかった。
(2) 喫煙習慣がない者の方がダイオキシン類濃度が高くなる傾向を示した。また、妊娠中に受動喫煙がなかった者の方がダイオキシン類濃度が高い傾向を示した。喫煙とダイオキシン類濃度との関連の機序等は現在不明であるため、動物実験等によって明らかにしていくなど、今後の検討課題である。
(3) 動物性脂肪摂取量とダイオキシン類濃度との間には、関連は見出せなかった。
ダイオキシン類の蓄積については、短期的なものか、長期的なものか、また、何がその要因として大きく影響を与えているのかについてもさらに検討する必要がある。
(4) 母親本人が乳児期に母乳を摂取した場合に、ダイオキシン類濃度の平均が高い傾向が見られた。

3 今後の方向性

 今後の課題として明らかとなった、日々の食事や喫煙等の日常生活習慣と母乳との関係については、過去の調査対象者の追跡調査等によって解明し、ダイオキシン類の蓄積要因を少なくするための生活改善等の情報としてまとめ、都民に提供していく。

お問い合わせ

このページの担当は 健康安全部 環境保健衛生課 調査担当(03-5320-4493) です。

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