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東京都福祉保健局 東京都監察医務院

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突然死の中で最も多い急性心臓死

突然死(予期せぬ死、急死、頓死)
瞬間死あるいは急性症状の発現後24時間以内の死亡で、外因死を除いた自然死のことをいいます。

急性心臓死あるいは心臓発作
この大半が虚血性心疾患です。虚血とは臓器を栄養する血液が供給されなくなった状態をいいます。
1 狭義(本来の意味):心臓の栄養血管である「冠状動脈」の動脈硬化性変化による狭窄や閉塞で起こります。
  代表例が狭心症、心筋梗塞
2 広義:心筋に虚血をもたらす疾患の総称
  重篤な不整脈(致死的不整脈)、高血圧性心疾患(心肥大)、弁膜症など

虚血性心疾患の症状
1 典型的な場合…胸痛ないし胸部の苦悶感、肩から上腕にかけての痛み、悪心・嘔吐、場合によっては下顎痛、歯痛。高齢者では腹痛や腹部不快感などもあります。症状が続くと全身の熱感や発汗が強くなります。これは心臓の動きが悪くなり、それを防ぐために自律神経の交感神経が作動して闘争的な生理状態となるためです。
2 短時間(多くは1分以内)で急変し死亡する場合…仕事中、歩行中、乗車中、テレビを観ているときなどの安静時、用便中あるいはその直後、就眠中(まれに性行為中)に突然倒れて意識消失(失神)し、反応が無い状態となります。時として甲高い鼾や悲鳴のようなうめきを2、3回発したり、通常は白色時にはピンク調の泡を出すこともあります。前者の甲高い鼾とは、心停止による脳虚血により舌がのどに落ち込むため、終末呼吸が鼾のように聞こえるのです。ちなみに脳出血(脳溢血)では鼾が長く続きます(少なくとも2時間以上)。後者の口から泡を出すのは急性左心不全による肺水腫のために起こります。

心臓死に類似した経過や遺体所見を示す疾患
蜘蛛膜下出血、脳幹部出血、急性大動脈解離(解離性大動脈瘤)、肺動脈血栓塞栓症(解剖では反復性とわかることが多い)、気管支喘息などがあります。心臓死とこれらを区別するために「後頭下穿刺(場合によっては腰椎穿刺)」を行い、脳脊髄液に血液が混じっていないことを確認します。

死因を一般に分かり易い心筋梗塞としないでなぜ虚血性心疾患とするのか
当院で扱う虚血性心疾患の患者は心筋梗塞の初期が多く、比較的短時間で死亡するため最も鋭敏な心電図検査で心筋梗塞の波形を見る間もないこと、解剖で梗塞巣すなわち心筋の壊死巣を確認できないなどの理由で、原則としてこの病名は使いません。一般に梗塞となるには心筋虚血が30分以上続くことが前提となります。
なお、突然死亡するという状態を強調する場合に「虚血性心不全」の診断名もよく用いられますが、「虚血性心疾患」と同じことです。

「鬱血性心不全」について
この病名は慢性心不全(心不全が長期間持続した場合)の状態を意味します。その症状は心臓の後方(肺以下)に過剰な血液が貯まって起こるもので、一般には全身あるいは下肢の浮腫、胸水の貯留などが認められます。原因として虚血性心疾患(陳旧性心筋梗塞後が多い)、高血圧症、弁膜症、心筋症などの心臓病変以外に腎臓や内分泌臓器疾患もあげられます。しかし、この病名だけで死因を済ます場合は原因疾患を敢えて問いません。

患者を助けること(救命)が可能であったか
短時間での心肺停止の場合、実際に家族や知人らがそばにいて直ちに救急搬送してもほとんどの例が蘇生しませんので、助けることは極めて困難であるといわざるを得ません。また、遺体発見の状況下で、七転八倒したような形跡が見られない場合も同様であろうと推定されます。

心臓死の予防は可能だろうか
虚血性心疾患の三大危険因子は高血圧、糖尿病、高脂血症(総コレステロールや中性脂肪の高値)であり、これに喫煙、肥満、食事、運動不足、情動ストレスなどが加わるとされています。生前に自覚症状があった場合は、診断後の治療によって病変の進行はある程度食い止められたかもしれません。しかし、健診や人間ドックで潜在性心疾患を事前に発見できなかった場合は、その予防は不可能であったといわざるを得ません。当院が扱う事例ではこのような例が圧倒的に多く、今後の課題になっています。

写真 冠状動脈硬化の例

動脈硬化によってこのように血管の内腔が狭くなり(矢印)、血液の流れが悪くなるために虚血性心不全が起きます。

日常生活での予防

  • 会社などの定期健康診断は必ず受診すること。
  • 年に数回は血圧測定をすること(特に30歳以上の人)。
  • 塩分はできるだけ少なくする。肥満を防ぐ。
  • 何か症状が出たら医療機関に受診する。
  • 禁煙、又は本数を減らし根もとまで吸わない。
  • ストレスをさける(特に競争心が強い努力家、性急、短気な人)。
  • スポーツなどの趣味を生活の中にとり入れ、睡眠を十分に取る。


お問い合わせ

このページの担当は 監察医務院 事務室 庶務係 です。

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