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評価・手法 項目編 

5 保育分科会の検討・試行の結果
 (1)保育分科会のとりくみ

 (2)利用者調査
 (3)事業評価

5 保育分科会の検討・試行の結果

(1)保育分科会のとりくみ

○ 保育分科会では、12年度に検討した認可保育所に加え、本年度は認証保育所も検討対象サービスとした。

○ 認可保育所については、12年度の試行等をふまえた利用者調査の調査票の改善と事業評価の調査票の作成を行った。認証保育所については、利用者調査と事業評価の調査票の作成を行った。

○ 認可保育所、認証保育所とも、試行を行い、評価手法の有効性と、重要と思われる項目を導き出した。

(2)利用者調査

ア 調査票作成のポイント

○ 利用者調査の調査票作成の留意点は次のとおりである。

  • 調査対象は保護者とする。
  • 12年度の調査票の表現の改善と、項目を厳選していくことを中心にして検討を行った。
  • 項目の厳選については、12年度の試行結果で問題項目としてあげられた項目を中心に抽出し、全体のバランスを考慮して、最終的に78項目に絞り込んだ。
  • 小項目数の減少に対応して、大項目も整理した。
  • 曖昧でわかりにくい表現を中心に改善した。

○ 認証保育所については、認可保育所と基本的に同一の調査票とした。

○ 評価項目の体系
 利用者が保育所を利用するプロセスに沿って、大項目を設定し、大項目が表すプロセスの中でサービスのポイントとなるものを小項目として設定した。

大項目 小項目数
事前情報収集・保育園運営方針の理解
施設・環境
毎日の保育サービス 21
保護者の方の保育園との関わりや交流
要望・意見・いやな思い・トラブルの対応
保育園の総合的な満足度

イ 試行の概要

○ 調査票については、検討会で作成した調査票または、それをもとに区市町村が独自項目を入れた調査票を使用した。

ウ 実施手順

○ 試行区市町村における実施手順の概略は次のとおりである。

手  順 内容・ポイント
◇調査項目の確定 ・検討会で作成した調査票を採用。
あるいは試行区市町村独自の項目の追加。(保育所からの意見聴取やプレ調査の実施などによる)
・よりわかりやすい表現に変更。
◇対象事業者の選定 (区市町村により、以下のような方法で選定)
・全園を対象に、全数調査
・在園保育児数の一定割合を対象とする。
・園の希望を優先する。
・園の規模、地域などに配慮して区市町村において選定
◇評価を受ける事業者
 との打ち合わせ
・調査の趣旨、日程等を区市町村担当者と評価機関とが同行して説明
◇利用者(保護者)に
 対する説明
(区市町村により、以下のような方法で説明)
・「お願い文」「挨拶状」などを園から配布
・園内に掲示
◇調査票の配布 ・園を通じて保護者に配布。
・兄弟姉妹が在園している場合、重複しないような工夫
◇調査票の回収 (区市町村により、以下のような方法で回収)
・区市町村あて返信用封筒で回収
・評価機関あて返信用封筒で回収
・園内に回収箱設置
◇問い合わせ・苦情
 への対応
・区市町村保育課で対応
◇個人情報の取り扱い (区市町村により、以下のような方法で対応)
・調査票に個人を特定できる内容を記載しないよう注意
・評価委託事業者との契約書に守秘義務を明記。

エ 調査結果及び調査手法・調査票の有効性

○ 回収率は、12年度に実施したところは12年度よりも下がる傾向にある。
 初回が特に高いのか、継続するにつれ、低下傾向にあるのかは、今回の試行だけでは不明であるが、今後継続して第三者評価を実施していくためには、回収率が低下しつづけないような工夫も必要であろう。

○ 区市町村独自の取り組みの例として、本来の利用者は園児である、園児の行動観察をすることにより、ある程度満足度をはかることができるのではないかということで、4歳児の自由遊びに着目し、園児の動線を拾いながら満足度を検証した。

オ 試行結果の検証から導かれた利用者調査の重要と思われる項目

○ 試行結果のデータを分科会で検討した結果、現在サービスを利用している利用者にとって重要と思われる項目として、以下のものがあげられた。

大 項 目 小 項 目 分   類
入園・保育園運営方針 保護者の理解 促進
職員の行動との一致 問題・促進
行事等を通じた地域住民との交流 問題
施設・環境毎日の保育サービス 園舎の雰囲気 問題・促進
発達・意欲を促す遊具・玩具の充実さ 問題・促進
外部からの侵入に対する安全性 問題
毎日の保育サービス 子どもの様子の把握 問題
食事(メニュー)の充実 促進
戸外に出かける機会 促進
発達に合わせた感性豊かな遊び 促進
個性の尊重 促進
職員間の保育姿勢の一貫性 問題
子どもの様子についての受け答え 問題
子どもの表情 促進
降園時間の変更の柔軟性 問題・促進
病気への対応の適切さ 問題
事故・けがに対する責任を持った対応 問題・促進
保護者と保育園との関わり 「園便り」等からの情報提供 問題・促進
子育てに関する悩み個別相談 問題・促進
保護者の価値観に対する理解 問題
行事日程の配慮 問題
要望・意見・いやな思い
・トラブルの対応
トラブル等への的確な対応 問題・促進
要望・意見に基づく改善 問題・促進

カ 今後の改善点(手法、調査票、項目について)

○ 「各質問に対する回答はしやすいか。」に対して低い評価となった。『はい・いいえ・わからない』の選択肢では、少しでも経験がある、関わりがあると「はい」に回答することとなるため、5段階にしてほしい。との声もあった。

(3)事業評価

ア 調査票(サービスチェックリスト)作成のポイント

○ 認可保育所と認証保育所は、保育サービスそのものについてチェックすべき内容には変わりないと考えられ、同一の調査票とすることにした。しかし、利用手続きが、認証保育所は利用者と保育所との契約によるため、認証保育所のみに適用する項目として、契約書に関わる項目と重要事項説明に関わる項目を作成した。

イ 試行の概要

○ 調査票については、認可保育所・認証保育所とも、検討会で作成した調査票を使用した。これは、事業評価は今年度からの試行であること、試行する区市町村で検討の時間があまりなかったことによるものと推察される。

ウ 実施手順

手  順 内容・ポイント
◇調査項目の確定 ・検討会で作成した調査票を採用。
 あるいは試行区市町村独自の項目の追加。(保育所からの意見聴取やプレ調査の実施などによる)
 評価者が記入できるコメント欄の追加。
◇対象事業者の選定 (区市町村により、以下のような方法で選定)
・全園を対象に、全数調査
・園の希望を優先する。
・園の規模、地域などに配慮して区市町村において選定
◇評価を受ける事業者
 との打ち合わせ
・事前周知として国、都の動向及び区市町村としての第三者評価事業に対する趣旨を周知するため,実際に使用する調査票(事業評価分析シート及びサービスチェックリスト)を提示しながら園長等に説明
・調査の趣旨、日程等を区市町村担当者と評価機関とが同行して説明
◇事業評価の
  事前記入
事業プロフィール及び事業評価分析シートを案の段階から保育園渡し、事前準備を依頼。正式な調査票配布後も、記入にあたり不明な箇所については、訪問して解説をして理解してもらうように努めた。
(ただし,小規模園については,設置者,園長及び保育担当を一人で兼任していることから,事業プロフィールのみ事前記入とし,事業評価分析シートについては,ヒアリング当日に確認しながら進めることに変更した。)
◇事業評価の
  訪問調査
・利用者調査の集計結果及び事業者調査の結果をもとに、訪問調査を実施する。評価者が園へ訪問,施設視察を30分程度してからヒアリングを実施し、その後、調査のまとめを行う。
◇問い合わせ・苦情
 への対応
・区市町村保育課で対応
◇個人情報の取り扱い 契約において、評価委託事業者の守秘義務を明記した。
◇評価結果の集計・分析 (区市町村により、以下のような方法で分析)
・東京都の配点とは別に,保育サービスに重点をおいた配点を独自に行い,保育サービスにおける各園の特徴を引き出す集計方法を検討
・園の規模や運営年数による偏りを是正する集計方法を検討
・各項目の重要度を調べるため,評価者へのヒアリングも参考にて重要度配分を検討
◇報告書作成 全体包括報告書の作成,各園フィードバック用報告書(当該園と区市町村全体の概要版を掲載)を作成予定
◇事業者への評価結果
 の報告
報告書とともに各園へ配付予定
◇利用者への報告 (区市町村により、以下のような方法で対応)
・保育園ごとに公開などの方法を検討中。
・今年度は試行なので公開しない。
◇区市町村としての
 評価結果活用
(区市町村により、以下のような方法で対応)
・今後の第三者評価システム構築に向けての基礎資料とする。
・各保育園へのフィードバックにより保育サービスの向上を図る。

エ 調査結果及び調査手法・調査票の有効性

○ 事業者の感想として、保育園の職員と保育のことを今まで以上話す機会が設けられた、今まで気づかなかった点等を文章化するに当たり大変よい経験となった、実施する中でリーダー層の連帯が深まった、などがあり、調査の有効性が検証できた。

オ 試行結果の検証から導かれた、事業評価における重要と思われる項目

○ 試行結果を分科会で検討した結果、重要と思われる項目として、以下のものがあげられた。

 ・大項目について
大 項 目 小 項 目 分   類

1.経営責任者のリーダーシップと意思決定

1)組織の理念・ビジョンの明確化、周知徹底 いずれも試行調査実施結果より。重要度に影響する項目を抽出した。
2)組織目標・計画の策定
3)組織のビジョンや目標達成、計画実行へ向けた取組
4)公正・適切なプロセスによる意思決定
2.経営における社会的責任 1)法・規範・倫理等を明確化、周知徹底
2)組織の公正性・透明性
3.利用者のニーズや社会環 1)利用者の満足・不満足の状況の把握、経営改善への活用
4.経営の課題の設定と取り組み 2)重点課題の周知と実現に向けた取組み
3) 各業務プロセスにおける目標の設定と改善への取組
5.職員と組織の能力向上 1)組織の理念やビジョンに適合した人材採用保育計画の作成と運営
3) 柔軟な組織編成、業務分担
6.サービス提供のプロセス 3)事業所としての標準的サービス水準の確保
5)サービスの実施
7.情報の共有化と活用 1)組織内外の情報の収集・整理
2)情報の有効活用
8.1〜7に関する活動成果 3)サービスの質向上の成果
5)「利用者の満足度の向上」及び「要望や苦情への対応」の成果

 ・サービスチェックリスト中、重要と思われる項目
大 項 目 小 項 目 分   類
1)情報公開・提供 利用希望者の関心のある情報の公開・提供 分科会での議論
保護者への運営内容や経営内容の開示 試行結果
2)入所時の対応 利用希望者への分かりやすい説明 試行結果
3)事業所としての標準的サービス水準の確保 保育計画の作成と運営 試行結果
マニュアルの作成 分科会での議論
マニュアルの定期的な見直し 分科会での議論
サービス水準確保の実践 分科会での議論
4)個別対応の重視 職員・本人・家族の状況に対応した個別計画 分科会での議論
分科会での議論
サービス計画の適宜見直し 分科会での議論
利用者情報の職員間共有 試行結果
心を込めたあたたかい対応 試行結果
5)サービスの実施 子どもの発達への取り組み 事業者アンケート
栄養のバランスを考慮した食事 分科会での議論
快適な園内の生活 試行結果・事業者 アンケート
プライバシーの保護 事業者アンケート
6)安全管理 感染症等の医療リスクへの対応 試行結果
災害への対応 分科会での議論
防犯への対応 試行結果
7)要望・苦情・トラブルへの適切な対応 要望・苦情に対する適切・迅速な対応 試行結果
日常生活上のトラブルの予防 試行結果
8)地域との交流・連携 地域住民が保育を学べる場となる努力 試行結果

カ 今後の改善点(手法、調査票、項目について)

○ 認可・認証とも、「質問項目が難しい(言葉が難しい)」「設問の内容がよくわからない」といった、言葉の難解さにともなう不満も見受けられた。事業評価の本格実施にあたって、調査票の表現については引き続き保育事業者になじみのある言葉で表現するよう、検討する必要がある。