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評価・手法 項目編 

 障害・通所分科会の検討・試行の結果
 (1)障害・通所分科会のとりくみ

 (2)利用者調査
 (3)事業評価

7 障害・通所分科会の試行・検討の結果

(1)障害・通所分科会のとりくみ

○ 障害・通所分科会では、12年度に検討した通所授産施設に加え、本年度は小規模通所授産施設も検討対象サービスとした。

○ 通所授産施設については、12年度の試行等をふまえた利用者調査の調査票の改善と事業評価の調査票の作成を行った。小規模通所授産施設については、利用者調査と事業評価の調査票の作成を行った。

 ○ 通所授産施設、小規模通所授産施設とも、試行を行い、評価手法の有効性と、重要と思われる項目を導き出した。

(2)利用者調査

ア 調査票作成のポイント

○ 利用者調査の調査票作成の留意点は次のとおりである。

  • 12年度の調査票の表現の改善と項目の厳選、及びコミュニケーションが困難な利用者に対する調査方法について中心に検討を行った。
  • 項目の厳選については、12年度の試行結果で問題項目としてあげられた項目を中心に抽出し、最終的に66項目に絞り込んだ。
  • 小項目数の減少に対応して、大項目も整理した。
  • 抽象的でわかりにくい表現を中心に改善した。
  • 家族用調査票も12年度に引き続き作成し、項目を追加する等検討した。

○ 小規模通所授産施設については、通所授産施設の利用者との比較を行う趣旨から、基本的に通所授産施設と同一の調査票とした。小規模通所授産施設に該当しない項目(給食関係)を除外する等施設の特性に沿うよう注意した。

○ コミュニケーションが困難な利用者に対する調査方法として、困難さの度合いによる調査票とし、次の3パターンを作成した。

「くわしいもの」
「やさしいもの」
「コミュニケーションシート」
〜コミュニケーションがとれる人向け〜
〜ある程度コミュニケーションがとれる人向け〜
〜コミュニケーションが困難な人向け〜

○ 「くわしいもの」「やさしいもの」は、アンケート方式とし、基本的に利用者本人が記入するものとした。(本人記入が不可能なときには職員・家族等の代理人記入可)

○ 「コミュニケーションシート」は、職員の観察シートに基づき複数の調査員(第三者)が利用者の満足度を観察する方式とした。

○ 家族用については、基本的には「くわしいもの」調査票を用い、本人の立場にたって回答するいわゆる「なりかわり」調査としたが、家族にとっての満足度を調査  する項目を追加した。

○ 評価項目の体系
 <くわしいもの>
 利用者が通所授産施設・小規模授産施設を利用するプロセスに沿って、大項目を設定し、大項目が表すプロセスの中でサービスのポイントとなるものを小項目として設定した。

大項目 小項目数
施設の活動方針(運営方針・年間目標)の理解
施設の環境・生活 25
仕事・活動等 11
要望・意見・いやな思い・トラブルの対応 10
施設の総合的な満足度  
通所の効果
施設全体についての満足度  
施設の継続利用意向  
他の人への推薦意向  
 
 
小規模−4、家族用+2
 
 
 
家族用+1
 
 
 

 <やさしいもの>
 上記「くわしいもの」の項目の中から、平成12年度試行結果で問題項目としてあげられた項目を参考に、11項目抽出し(小規模通所授産は10項目)、表現をより分かりやすいよう、また回答がしやすいように改良した。

内 容(大項目は設定していない) 項目数
施設の活動方針(運営方針・年間目標)の理解
施設の環境・生活
仕事・活動等
要望・意見・いやな思い・トラブルの対応
施設の総合的な満足度
通所の効果
 
 
小規−1
 
 
 
 

 <コミュニケーションシート>
大項目 項目数
今日のサービスに対する気持ちは?
関わりごとの気持ちは? 10
今後への気づき

イ 試行の概要

○ 試行実施区市町村と調査票の種類は次のとおりである。12年度は足立区、武蔵野市の二カ所

  • 足立区 「くわしいもの」(利用者・家族)「やさしいもの」
  • 武蔵野市 「くわしいもの」(家族)「やさしいもの」「コミュニケーションシート」
  • 町田市 「くわしいもの」(利用者・家族)「やさしいもの」「コミュニケーションシート」
    ( 参考:新宿区 「コミュニケーションシート」、 目黒区 「区独自調査票」 )

○ 調査票については、検討会で作成した調査票、またはそれを基に区市町村が独自項目を入れる等一部変更を加えた調査票を使用した。

ウ 実施手順

 ○ 試行区市町村における実施手順の概略は次のとおりである。

手  順 内容・ポイント
◇調査項目の確定 ・検討会で作成した調査票を採用。
 あるいは試行区市町村独自の項目の追加。(施設種別の特性による)
・よりわかりやすい表現に変更。
◇対象事業者の選定 <区市町村により、以下のような方法で選定>
昨年度実施した法内通所授産施設(定員20人以上)以外の区内の法内小規模通所授産施設及び法外小規模作業所全施設を対象とする。
・公設の施設及び当該事業に理解を得られた施設。
・施設の希望を優先する。
◇評価を受ける事業者
 との打ち合わせ
・調査の趣旨、日程等を区市町村担当者と評価委託事業者とが同行して説明
◇利用者(保護者)に
 対する説明
(区市町村により、以下のような方法で説明)
・保護者会で説明、協力依頼の文書などを施設から配布
・施設職員から利用者に説明
◇調査票の配布 <利用者本人>〜
・コミュニケーション能力に応じ、調査書別に対象者を選出する。
・調査実施時に、利用者に配布
<家族> 〜
・施設から利用者経由で家族に配布
・評価委託事業者から家族宛直接郵送
◇調査票の回収 (区市町村により、以下のような方法で回収)
<利用者本人> 〜
・施設で調査員(評価委託事業者)が回収
<家族>〜
・区市町村あて返信用封筒で回収
・評価委託事業者あて返信用封筒で回収
◇問い合わせ・苦情への対応 ・区市障害福祉課で対応
・調査の趣旨は市で対応、調査の内容は評価委託事業者で対応
◇個人情報の取り扱い (区市町村により、以下のような方法で対応)
・調査票は無記名とする
・区の個人情報保護条例による

エ 調査結果及び調査手法・調査票の有効性

○ 「くわしいもの」について

  • 利用者本人用調査〜「やさしいもの」回答者の中で、読み書きのコミュニケーション能力が高い対象者向けに実施したが、全対象者数が398名のうち、これを使用できた方は6名にとどまった。また回答を得られたものでも、調査員が設   問の意味や回答の方法について補足説明することを要し、量的・質的にも若干難しかったと考えられる。
  • 家族用調査〜利用者本人の立場に立って回答してもらう「なりかわり形式」で405名の家族に実施したが、回収率も比較的高く実施が可能であることが確認された。ただし、個別の設問では、無回答が多い項目(生活方針関連の設問等)   もあり、設問項目の内容と表現の仕方の観点からさらに検討が必要である。また、重度の利用者の家族を中心に「なりかわり形式」では、回答しにくいとの意見があった。さらに、家族自身の意向を対象にしたアンケート実施の要望があった。

○ 「やさしいもの」について
 全対象者のうち、ほとんどの方365名が使用した。基本的に利用者本人への聞き取り調査で 実施したが、無回答も少なく回答が得られ、回答結果も極端に偏る傾  向は見られず、有効性もある程度あると考えられた。しかし、本人自身が独力で回答したケースでは、「はい」と「いいえ」の意味を考えずに一方に偏り印をつけたり、「はい」と「いいえ」の両方に印をつけたり等、どこまで信憑性がおけるものか検討を要する状況も見られた。

○ 「コミュニケーションシート」について
使用した方は27名であった。問題点として、対象者の「いい感じ・嫌な感じ」等の表現は、調査員が訪問した時における対象者の置かれた環境(その日の朝食に好物を食べた等)に左右される面がある。また、継続して同じサービスレベルが維  持されているか否かが記録上からのみの判断となり、職員へのインタビューから得る情報が評価のための大きな要素となるが、どこまで信憑性があるかの疑問がある。また、評価の基準は、調査員の主観が多分に入る余地があった。
  以上の問題点があるが、この調査票を使用する調査を実施したことにより、これ までの処遇のあり方について不十分であった部分についての気づきが得られたとい う副次的効果が認められた。

オ 試行結果の検証から導かれた利用者調査の重要と思われる項目

○ 試行結果のデータを分科会で検討した結果、現在サービスを利用している利用者にとって重要と思われる項目として、以下のものがあげられた。

  <利用者本人>
・トイレは使いやすいですか
・仕事や活動は楽しいですか
・施設には、あなたが来ることを喜んでくれるなかまがいますか
・施設には、あなたが来ることを喜んでくれる職員がいますか
促進
促進
促進
促進

<家族(「なりかわり調査」)>

大 項 目 小 項 目 分 類
活動方針

・施設運営の考え方が毎日のサービス行動
 に活かされているか。
・年間目標が納得できるものか。

促進

問題
施設の環境・生活 ・利用者にあった食事方法。
・利用者が施設で大切にされているか。
・利用者の気持ちを理解(相談)できる職員
 がいるか。
・施設に来ることを喜んでくれる職員や仲間
 がいるか。
・必要なときに、家族が自宅生活を含めて
 相談できるか。
促進

促進

促進

問題
施設での仕事・活動等 ・利用者の気持ちや体を考えた活動になって
 いるか。
・利用者のできることが増えていく活動や仕事
 があるか。
・工賃・給料支払いの仕組みが分かりやすく
 説明されているか。
・職員の見守りがあるか。
促進

問題
要望・意見・いやな思い
・トラブルの 対応
・嫌な思いやトラブルに対しすぐに対応して
 くれたか。
問題
通所施設の総合的な評価 ・利用者の気持ちに良い効果があるか。
・家族を含め良い効果があるか。
促進
促進

○ 通所授産施設と小規模通所授産施設の相違点
 今回の試行調査では、1市のみが通所授産施設と小規模通所授産施設を対象とした。そこで、通所授産施設(法内施設)とそれ以外(小規模通所授産施設+法外施設)に区分し、分析を実施した。

  • 利用者本人調査では、通所授産施設(法内施設)においては、重要項目に影響を与えるデータのばらつきが無く、項目は抽出されなかった。一方、小規模通所授産施設+法外施設においては、「自分が来ることを喜んでくれる仲間がいるか」が抽出された。
  • 家族(「なりかわり調査」)では、通所授産施設(法内施設)においては、「施設での環境・生活」が、影響度の高い項目として抽出される一方、小規模通所授産施設+法外施設においては、これに加え「施設での仕事・活動等」「通所の効果」が抽出された。
     しかし、これらは 1) 施設の設置主体(公設公営、民設民営等)の相違 2) 身体障害者と知的障害者の利用者の違い等によるところも大きいと思われるため、通所授産施設と小規模通所授産施設における重要項目の相違点については、さらに検証を行う必要があると考えられる。

カ 今後の改善点(手法、調査票、項目について)

○ 「くわしいもの」調査票
 これを利用するためには、より調査票を簡略化して対象者を広げる必要がある。

○ 「やさしいもの」調査票
 よりコミュニケーションがとりにくい方にも実施し、対象者を拡大する。

○ 「やさしいもの」と「コミュニケーションシート」の中間調査法も検討する。

○ 「コミュニケーションシート」調査票
 個別援助計画に加え、職員インタビューから得る情報が評価のための大きな要素となるが、サービス実施中の多忙な職員に対して、多くの質問を行うのは困難な場合も多い。調査員の習熟は当然必要であるが、処遇対応時間終了後にインタビューの時間を設ける等の工夫が必要である。
 評価の基準をより明確化することも検討課題である。

○ 対象者からの聞き取り調査を実施する場所について
 今回は、施設で実施したため、昨年度のように自宅で行い家族の意見が混入するということは避けられた。しかし、施設では職員や他の利用者の目・意向を気にしたり、個室で見知らぬ調査員との対面は、無用に緊張してしまうという状況を生じる場合がみられた。一方、オープンスペースのサロン的な場所(他の利用者の姿は見えるが声は聞こえない)では、他の利用者の言動に引きずられることもなく、緊張感ももたずに実施できた。できればそのようなスペースで実施することが望まし  い。

○ 対象者のグループインタビュー方式も考えられる。
 普段から気心の知れた利用者のグループに対し、調査員がひとつづつ質問をし、皆で話しながら調査員が判断してはい・いいえ等を付けていくやりかたも本音が出てき易いのではないかと考えられる。

(3)事業評価

ア 調査票(サービスチェックリスト)作成のポイント

○ 小規模通所授産施設は、サービスそのものが無い給食項目についてのみ非該当とし、その他の内容には変わりないと考えられ、通所授産施設と同一の調査票とすることにした。

イ 試行の概要

○ 試行実施区市は、足立区で、通所授産施設2施設である。小規模通所授産施設については、今回実施する区市が無かった。なお、新宿区において通所訓練施設(法外)1施設に対し、参考として実施した。

ウ 実施手順

○ 事業評価の事前記入〜施設から全職員へ配布し、施設で回収した。無記名で回答者特性(リーダー層、一般職員)のみ記入。施設でサービス評価についての研修を事前に実施し、職員の意識を高めてから実施した。

○ 事業評価の訪問調査〜全職員回答を集約したものを、複数の調査員(経営・施設運営・処遇の各専門家)が施設へ持参し、資料閲覧・見学観察・聞き取り調査により合議制で確認評価を行った。施設側の対応は、施設長と主任クラスが行った。

エ 調査結果及び調査手法・調査票の有効性

○ 訪問調査に当たる調査員は、評価項目が多岐にわたるため、各分野の専門家でチームを組むことが効果的であった。

オ 試行結果の検証から導かれた、事業評価における重要と思われる項目

○ 根拠
 試行結果や事業者のアンケート結果により、抽出した。

○ 大項目について
カテゴリー 大 項 目
1 経営責任者のリーダーシップと意思決定 ・組織の理念・ビジョンの明確化、周知徹底
2 経営における社会的責任 ・法・規範・倫理等を明確化、周知徹底
・組織の公正性・透明性
3 利用者のニーズや社会環境、市場への理解と対応 ・利用者の満足・不満足の状況の把握、経営改善への活用
・将来の利用者のニーズ・動向や事業者間競合、行政施策の動向の予測、活用
5 職員と組織の能力向上 ・職員の個人的・計画的な能力開発
・柔軟な組織編制、業務分担
6 サービス提供のプロセス ・情報公開・提供
・事業所としての標準的サービス水準の確保
・個別対応の重視
・安全管理
7 情報の共有化と活用 ・組織内外の情報の収集・整理
・情報の有効活用
8 1〜7に関する活動成果 ・「職員の能力開発」と「職員満足の向上」の成果

○ チェック項目について
大 項 目 チ ェ ッ ク 項 目
情報公開・提供 ・利用希望者が関心のある事項の分かり易い情報公開・提供
利用開始時の対応 ・通所希望者への分かりやすい説明
・利用に関する事業者と利用者の合意の書面化(15年度以降該当)
事業所としての標準的サービス水準の確保 ・日常生活についてのマニュアルの作成
個別対応の重視 ・入所時の利用者個別事情や要望の把握
・個別サービスの計画に基づく提供と計画の見直し
・利用者の個別情報の担当職員間における共有化
サービスの実施 ・施設生活の快適と利用者の自主性の尊重
・プライバシーの保護、人権擁護の徹底
・施設と家族の交流・連携の緊密な実施
安全管理 ・感染症の発生、発作、怪我等医療に関するリスクの十分な対応
・火災、地震等の災害への十分な対応
要望・苦情・トラブルへの適切な対応 ・利用者や家族が、サービスについての意見・要望・苦情を訴えやすい仕組みの策定
・要望・苦情に対する適切かつ迅速な対応の仕組みの策定
地域との交流・連携 ・地域の一員としての交流努力
・地域の人が福祉を学び体験できる場とする努力
・支援の知識や技術を地域等に普及する努力

カ 今後の改善点(手法、調査票、項目について)

○ サービスチェックリストの「確認事項」を評価の根拠とできるように、「確認事項」それぞれについて4段階で評価する方法が考えられる。

○ 自己評価を実施するのにかなり時間を要するため、重点的に実施する項目を絞る必要もあると考えられる。