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評価・手法 項目編 

 評価手法、評価項目
 (1)利用者調査

 (2)事業評価
 (3)重要と思われる項目について

9 13年度検討の到達点と今後の課題

○ 評価手法、評価項目について、各分科会の検討と試行を通して明らかになったことは、以下のとおりである。

(1)利用者調査

○ 質問の表現について

 評価にあたっての質問について、質問がわかりにくい、抽象的などの意見がある項目については、質問の表現を改善する必要がある。

○ コミュニケーションが困難な利用者を対象とした調査手法の有効性と課題について

  • コミュニケーションの能力別の調査票の作成は有効である。
    (なお、障害入所分科会における試行では約5割が、障害通所分科会における試行では約9割が「やさしいもの」調査票を使用した。)
  • 具体的な表現や普段その施設等で使っていることばは理解されやすく、時間の概念を聞くものは回答が難しい、などの点が明らかになった。
  • 調査票の質問で理解できなかった場合の、言い換えのパターンをあらかじめいくつか用意しておくのが有効である。
    (例:「あなたがやりたいことは自分でできるように、あなたの行動を見守ってくれますか」→「自分でできることは自分でさせてもらえますか。職員にせかされたりしませんか」 )
  • 質問をする状況は、第三者性を確保すると同時に利用者の安心感を確保するなど、適切な場面設定を検討する必要がある。
  • 在宅サービスにおいて、家族に聞き取り補助をしてもらう場合には、具体的な方法をあらかじめ決めておく必要がある。
  • 観察調査手法(痴呆性高齢者グループホームの観察調査票、障害サービスのコミュ二ケーションシート)は、利用者本人があくまで権利主体であることを再確認するうえで意義が大きく、今後、本人の感じ方や意向を把握する手法として、活用を検討することが必要である。

○ 家族調査について

  • 今回、試行でおこなった調査(痴呆性高齢者グループホーム、通所授産・小規模通所授産施設、知的障害者入所更生施設(調布市試行のもの))では、回収率も高く、「なりかわり」形式(家族が利用者本人の立場にたって回答)の調査でも本人の調査結果と大きな食い違いは見られなかったなど、一定の有効性がある。
  • ただし、入所・通所施設の場合、家族がどの程度施設を訪れ、サービス内容を把握しているかにより有効性は異なり、立地条件などに左右される。また、家族には答えられない質問(入所施設における生活の内容、通所施設での活動など)もある反面、家族の方が答えられる内容もあることが明らかになった。(例えば、今回の試行では、追加してほしい質問項目として、健康管理、生活空間に関する質問などがあげられた)。
  • 家族調査は、特に意思表示が難しい利用者の場合、本人に対する利用者調査の補完として重要である。家族調査で何をきくべきかは、サービス別にさらに検討する必要がある。

(2)事業評価

○評価の指標について

[事業評価分析シート]

  • 記述式であるため記入内容や記入者が記述していることばなどから、その事業所全体のカルチャーを把握することができるというメリットがある。ただし、評価者の主観に左右されないよう、自由記述のみでなく具体的な指標を例示し、それに沿って記述することもあわせて行うという方法が望ましい。
  • 事業者側の理解をしやすくするため、評価イメージの表現を、項目によってはサービス別に変えることも有効である。
  • 「努力している」、「配慮している」等の表現は、「実際にできている状態」を表す表現に修正する必要がある。
  • 5段階評価では、3に集中する傾向がみられた。4段階で行った場合には、多くの項目に4がつく事業所が多くなり、それ以上の努力への誘因がなくなるという問題がある。

[サービスチェックリスト]

  • 事業所が自分の行っているサービス提供のプロセスを整理したり、不足している事項を発見するのに有効である。
  • 確認事項の内容の妥当性、指定基準や指導検査項目との整理、確認事項からチェック項目及び大項目を評価する方法、サービスチェックリストと事業評価分析シートのカテゴリー6の評価との関連性等を明確にする必要がある。

○ 事業プロフィールと自己評価の重要性と活用方法について

  • 第三者の訪問調査を適切かつ効率的に行うためには、事業プロフィールによる現状の把握と、事前に行う自己評価の分析が重要であることがわかった。
  • 事業プロフィールは既存のパンフレットやホームページでは得られない情報を記載してもらうことを主たる目的としているが、実地調査の効率化を図るために、「事業者のビジョン」(事業目標・計画など)、「職員構成」(職種、人数、平均年齢など)を加えることや、サービス別や事業所の形態別に特性を考慮した様式を作成することも検討する必要がある。

○ 法人と事業所との関係、及び公立施設における実施上の課題について

  • 事業評価は、基本的に直接サービスを提供している一つの事業所を対象として行っていることから、経営の責任者とは実質的にその事業所を運営している施設長や在宅サービスの事業所の所長などを指している。また、施設長や事業所長などは、法人や本社の基本理念を理解したうえで、自分の施設・事業所の経営方針を決めていると考えられ、事業評価分析シートには基本的に答えられると想定している。
  • しかし、事業所では事業評価分析シートは答えられない、法人に対する質問である等の意見が見受けられた。特に経営理念、人材採用に関する項目で多かった。また、「経営の責任者」については「実質上の責任者とする」という解説をつけたが、なおわかりにくいという声があった。
  • そのため、法人や本社あるいは区市町村の担当者と一緒に訪問調査を受けるなどの工夫や、一つの法人が複数のサービス、事業所を持っている場合の評価の実施方法について検討する必要がある。
  • 公立施設でも、事業評価分析シートが適用できると考えられるが、人材の採用などいくつかの項目では、質問の意味を変える必要がある。

○ 設問の表現について

 用語そのものが理解できない、あるいは、具体的に福祉サービスで何をさすかがわからない、などのケースがあった。そのため、各評価項目の狙いが十分に分かるよう言い換えや用語の解釈をつける必要がある。( 例:「マニュアル」→「基準書、手順書、業務の手引き書」)

○ 事業者アンケートについて

  • 試行を行った事業者に対するアンケートの結果では、事業者評価の取り組みやすさについては、6割の事業者が肯定的であり、項目の納得性については、約7割が「全く」あるいは「やや」そう思う、改善効果については、9割が「全く」あるいは「やや」そう思うと答えており、事業改善のための評価として多くの事業者に理解されたと考えられる。
  • また、評価に要した時間や労力については、6割が許容範囲としており、今後、事業評価を継続的に行い、慣れることで所要時間や労力は短縮可能になるという意見もあった。

(3)重要と思われる項目について

○ 各分科会では、いくつかの視点や手法で、重要と思われる項目を選定した。
 評価サポート機構は、今後、この項目を参考にして共通評価項目を作成していくことになるが、その際には、次のような点に取り組む必要がある。

  • 共通評価項目の判断指標の統一化、改善
  • 評価の仕組み、評価手法・判断指標の解釈、評価における調査票の設計意図、評価内容の事業者への説明内容等、評価者への研修
  • 評価申し込みから最終評価結果の通知・公表までのスケジュールのモデルの作成
  • 評価実施マニュアルの作成 等