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序 文

 ここに東京都福祉サービス第三者評価システム検討会の報告書を公にする運びとなったことは、1999(平成11)年度以来サービス評価システムの一連の検討会に関与してきた一人として感慨深いものがある。委員各位、事務局の諸氏、それぞれの立場から助言をいただいた多くの方々には、感謝の言葉を知らない。振り返れば、精力的な検討を重ねてきたものと思う。
 さて、福祉の世界が措置から契約へ根本的な転換を遂げつつあることは、改めていうまでもない。福祉の契約化は、一方で、消費者に対して、定型的なサービスを恩恵として与えるのではなく、個別のニーズに合致したサービスを、豊富にかつ廉価で提供することを可能にするであろう。また他方で、消費者の支持を受ける優良な事業者およびその従業員に、十分な経済的な報酬を与えうる環境を整えるであろう。しかしマーケットメカニズムが機能するためには、何よりも、情報の非対称が解消される必要があり、福祉サービスの第三者評価の目的も、まさにこの一点にある。
 本報告書では、さまざまな評価機関が福祉サービス評価事業に参入することができるよう、支援組織として「評価サポート機構」を設置することを提案するとともに、サービス評価を実施するに当たっての評価項目も具体的に示している。数年間に渡る努力の集大成ではあるが、変化の激しい福祉の世界にあって、もとより完成品であるはずもない。各方面からの建設的な批判を切望する次第である。
 過去数年の検討会の関係者のなかで、一貫して、委員長である私ひとりだけが、福祉についてのまったく素人であった。そして、福祉の世界では、高度の専門的知識・経験と、奉仕の精神に裏打ちされた高い倫理性とが見事に共存していることを知り、深い感銘を受けた。本報告書が、ささやかではあれ、消費者の便益の増大に貢献するとともに、福祉関係者の無私の献身にも報いることができれば、遠くない将来に福祉サービスの消費者となるであろう一法律家として、これに過ぎる喜びはない。

福祉サービス第三者評価システム検討会
委員長 安念 潤司