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III おわりに

○ 平成12年12月に、東京都は、利用者指向の「開かれた福祉」を目指して、「福祉改革」の取組を強力に推進するために、「東京都福祉改革推進プラン」を策定した。

○ このプランにおいては、「選択」「競い合い」「地域」の3つのキーワードの下に、5つの柱と8つの戦略、12の戦略プロジェクトを示し、本検討会で検討を行っている第三者による福祉サービスの評価システムの構築も、利用者が安心して「選択」できるためのしくみづくりとして、戦略プロジェクトの一つとして位置づけられた。

○ さらに、本年2月には、「東京都福祉改革推進プラン」で示した利用者本位の新しい福祉の基本理念と全体的な展望をさらに発展・具体化させ、「東京」に相応しい福祉サービスの内容や提供システムの改革と基本的方針と目標を明らかにした、「TOKYO 福祉改革STEP2」を策定した。

○ このSTEP2においても、「利用者が自ら必要な福祉サービスを安心して「選択」できるしくみを築く」として、都独自の第三者サービス評価システムの普及・定着を図ることとしている。

○ 本検討会は、この評価システムを、平成15年度に本格実施するために、これまで議論を積み重ね、本報告書では、具体的なシステムの全体像について述べてきた。

○ 特に、システム分科会においては、全体のしくみづくりを検討する中で、数多くの議論が交わされたが、その際の議論は、いまなぜ評価なのか(社会状況、環境)、誰のための評価なのか(評価視点)、何のための評価なのか(評価目的)、何をどのように評価するのか(評価手法、項目)、誰が行うのか(評価機関、評価者)、どのように普及定着させるか(評価システム)の問題に集約できる。

○ 本報告書は、その議論の積み上げの上に、とりまとめたものであるが、最後に、ここで、評価の目的を再度確認しておきたい。

○ 福祉サービスの第三者評価の目的は、利用者の選択とサービスの質の向上に向けた事業者の取り組みを促すことである。

○ 第一の目的である利用者の選択とは、今まで最も福祉の世界に欠けていた利用者の視点を取り入れ、サービスの利用者の意見や要望を汲み上げ、利用者の満足度を測り、利用者の選択に資するということを意味する。

○ 検討の過程では、利用者の意見や要望が福祉サービスの目的と必ずしも一致するとは限らないこと、選択に足るだけの量が確保されていない福祉分野があること、サービスを利用している人はその事業者のサービスしか知らない場合が多いこと、現在の利用者の意向が必ずしもこれからの利用者の意向と一致しないこと、適切に評価する評価者がいるのかなどの異論が出された。

○ その上で一致したのは、サービスは、基本的にその利用者の立場で評価されるべきであること、また、利用者にとって、圧倒的に福祉サービスの情報量が不足しており、サービス評価の結果は、利用者が自らの責任でどういうサービスを選んでいくか、利用者がどういう改善を求めていくか、そのための情報の一つであるということである。

○ もう一つの評価目的は、サービスの向上に向けた事業者の取り組みを促すことである。

○ ここでも、現在の状況をみると、サービス事業者の特性は非常に多様であること、それは、サービス分野によっても異なること、果たして事業者が進んで受けるような評価ができるのかなどの意見が出された。

○ 事業者は、社会福祉法にも規定されているように、利用者本位の福祉サービスを提供するために、自らが定期的な自己評価を行い、サービスの内容、事業運営上・経営上の課題を把握しながら、一層のサービスの向上に向けて、事業、組織のあり方を常に考え、見直し、改善、強化していくことが必要である。

○ 事業の見直し、改善、強化は、福祉サービスを提供する事業者だけでなく、あらゆる組織体に共通であり、第三者による評価は、そのためのツールとして活用することができる。同時に、評価を受けることは、組織のミッションや理念、活動やプロセス、成果ということを、対外的に説明していくことにもつながる。

○ このような評価を普及させていくためには、事業者が評価を受けることのメリットを明確にし、事業改善への契機、気づき、活性化につながるような評価手法を策定していくことが重要である。

○ 福祉サービスの評価は、未だ端緒についたばかりである。福祉分野に限らず、評価においては、その手法が確立し、多くの評価機関に判断基準や評価手法の共有化が行われるまでには、一定の期間が必要であり、評価システムをうまく立ち上げるには、最初の数年間が非常に重要である。

○ その中では、評価者の養成、評価機関のサポート、結果公表等について、さまざまな課題が明らかになることが予想されることから、福祉サービスの評価が、利用者、事業者から必要とされる実態に即したものになり得るよう、システム全体を常に見直し、改善していくことが必要である。

○ そのために、本報告書では、評価が定着・普及するための中立的機構として、評価サポート機構を設置し、共通評価項目、評価手法、研修内容などの継続的な見直し、改善の重要性を述べてきた。評価サポート機構においては、これまでの本検討会で関係者が築きあげた方向性をしっかりと受け止め、それを基盤としてレベルアップを図ってもらいたい。

○ 本報告書は、全体のしくみづくりと評価手法・項目について、現段階での方向性をとりまとめたものであるが、この報告書を活用して、地域での自立を支える利用者本位の新しい福祉を実現するために、東京都として、関係機関と連携しながら、「第三者による福祉サービスの評価システム」のしくみづくりに積極的に取り組むことを切に望むものである。

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