トップページへ  前のページへ戻る

(2)高齢分科会

@  高齢分科会の取組

  高齢分科会では、訪問看護、訪問入浴介護、福祉用具貸与、特定施設入所者生活介護(有料老人ホーム・軽費老人ホーム)の4サービスを検討対象サービスとした。

 

  各サービスについて、先行実施しているサービス及び評価推進機構における評価手法・項目の改訂等を踏まえ、利用者調査の項目及び事業評価の項目(サービス分析シート カテゴリー6「サービス提供のプロセス」 サブカテゴリー5「サービスの実施」を中心)の検討を行った。

 

  全てのサービスにおいて試行を実施し、評価手法の有効性と評価項目の検証・改善を行うとともに、重要と思われる項目を導き出した。

 

  試行の概要

対象サービス

事業所数

訪問看護

訪問入浴介護

福祉用具貸与

特定施設入所者生活介護

(有料老人ホーム・軽費老人ホーム)

2事業所

2事業所

2事業所

2事業所

 

A  利用者調査

  調査票作成のポイント

  調査票作成に当たっての留意点は次のとおりである。

・各サービスの特性を踏まえた質問項目とするよう配慮した。

・今後、利用者への定着を促したい用語(「福祉用具専門相談員」など)については、そのまま用いることとした。

・一つの設問で複数のことを質問しないように配慮した。(例えば「安全への配慮」と「衛生の保持」は区別して質問するなど)

・サービス種別ごとの内訳は下記のとおりである。

対象サービス

調査対象

基本となる調査実施方法

アンケート

聞き取り

コミュニケーション

訪問看護

本人

 

 

訪問入浴介護

本人

 

 

福祉用具貸与

本人

  

 

特定施設入所者生活介護

本人

 

  ○

 

 

  試行の実施

  分科会で検討した評価手法や項目を検証するため、各種別の施設において試行を実施した。

○ 各サービスの試行の概要は以下のとおりである。

<訪問看護>

A事業所

  対象者数     115名(現員全数)

  調査票回収数    84名(73%)

  調査方法     事業者が利用者に調査票を配付。記入後、利用者が評価機関あてに郵送。

      B事業所

      ・ 対象者数    72名(現員全数)

      ・ 調査票回収数  52名(72%)

・ 調査方法   事業者が利用者に調査票を配付。記入後、利用者が評価機関あてに郵送。

 

<訪問入浴介護>

A事業所

 ・ 対象者数    223名(現員全数)

 ・ 調査回収数   134名(60%)

 ・ 調査方法  事業者が利用者に調査票を配付。記入後、利用者が評価機関に郵送。

 B事業所

 ・ 対象者数    200名(利用者の中から無作為抽出)

 ・ 調査回収数   132名(66%)

 ・ 調査方法  事業者が利用者に調査票を配付。記入後、利用者が評価機関に郵送。

 

<福祉用具貸与>

A事業所

 ・ 対象者数    200名(利用者の中から無作為抽出)

 ・ 調査回収数   144名(72%)

 ・ 調査方法  事業者が利用者に調査票を配付。記入後、利用者が評価機関に郵送。

B事業所

 ・ 対象者数    122名(現員全数)

 ・ 調査回収数    79名(64%)

 ・ 調査方法  事業者が利用者に調査票を配付。記入後、利用者が評価機関に郵送。

 

<特定施設入所者生活介護>

A事業所

 ・ 現員      48名

 ・ 回答者数    17名

 ・ 調査方法  聞き取りが可能な利用者に対し、調査員が個別インタビュー形式により聞き取り調査を行う。

 B事業所

 ・ 現員      33名

 ・ 回答者数    22名

 ・ 調査方法  聞き取りが可能な利用者に対し、調査員が個別インタビュー形式により聞き取り調査を行う。

 

  試行の実施手順概要

   

内容・ポイント

事業者に対する説明

  評価機関及び必要に応じて東京都が趣旨や実施方法を説明

利用者に対する説明

  事業者が、事前に利用者に対し説明を実施

  事業所において聞き取り調査をした場合には、評価機関から再度説明を実施

調査票の配布

  事業者が訪問の際に配付

調査票の回収

  利用者から評価機関あてに郵送

調査に対する問い合わせ等の対応

  評価機関において対応

個人情報の取り扱い

  評価機関に対しては、契約書に守秘義務を明記

  調査員には守秘義務の厳守と個人を特定できる内容を記載しないことを徹底

調査結果の報告

  利用者調査結果を集計し、分析結果を報告

 

  試行を実施してわかった点

<評価項目について>

  専門的用語、カタカナ語については、わかりやすい言葉に置き換えたほうが理解されやすいものがあるが、一方で調査票に敢えてそのまま載せることで、利用者への今後の定着を促進していくべきものもある。

 

○ 「生活の質の向上」などの抽象的な表現は、「便利になった」「安心できるようになった」「楽になった」など、具体的な表現にした方が理解されやすいという意見があるが、被調査者によって受け止め方が多様であったとしても、利用者の言葉に対するイメージへの反応を見るという視点も重要ではないか。

 

○ 表現を見直す際には一律にわかりやすい言葉に置き換えるのではなく、各項目の主旨を踏まえた配慮が必要。

 

<評価手法について>

○ 特定施設入所者生活介護については、施設により利用者の要介護度分布にばらつきがあるが、アンケート調査が困難な介護度の重い利用者を基準として、「聞き取り調査」によることが適当である。

 

  項目の改善

・〈資料編〉「試行により変更された項目の整理(利用者調査票)」参照。

 

B  事業評価(サービス分析シート)

  調査票作成のポイント

  調査票作成に当たっての留意点は次のとおりである。

・各サービスの特性に応じた評価項目を盛り込むよう検討を行った。サービスごとの主な視点は以下のとおり。

<訪問看護>

・主治医の指示に基づき、医療処置を行うというサービスの特殊性を考慮し、医師の指示内容の徹底、感染予防、在宅ターミナルケア、家族支援等に関する評価項目を盛り込む。

 

<訪問入浴介護>

・医療を必要としたり要介護度の重い利用者が多いため、入浴前後の健康状態の確認など安全性の確保や感染症の予防等に関する評価が必要。

・利用者の居宅に入浴車両で訪問し浴槽を持ち込むため、住環境や駐車場の確保が適切に行われているかという視点が必要。 

 

<福祉用具貸与>

          ・人による直接的なサービスの貸与ではなく、用具の貸与であることが他のサービスと大きく異なる。福祉用具専門員の役割、用具の衛生管理・安全管理、アフターサービスに関する評価が必要。

     

 <特定施設入所者生活介護>

          ・ホームのサービスとして提供される生活全般に関するサービスと「介護サービス」を区別したうえで、項目を検討する。

           ・ホームで介護を受けながら生活をするため、健康の維持に関する項目が重要。

    

  試行の実施

  分科会で検討した評価項目等を検証するため、Aイに記載のある施設において試行を実施した。

    

    ○ 試行の概要は以下のとおり。  

 

 

 

自己評価

 

 

経営者層

使用帳票

 ・事業プロフィル

 ・組織マネジメント分析シート

 ・サービス分析シート

 

全職員

使用帳票

 ・職員用組織マネジメント分析シート

 ・職員用サービス分析シート

訪問調査

 経営層による自己評価をもとに訪問によるヒアリングと施設見学を実施

 

合議評価

 利用者調査、自己評価(経営者層・職員)、訪問調査など多様な情報により、評価者が合議で評価。

 評価者 3名

 

  試行の実施手順概要

   

内容・ポイント

事業者に対する説明

  評価機関及び必要に応じて東京都が趣旨や実施方法を説明

 

調査票の配布

  事業プロフィル、組織マネジメント分析シート、サービス分析シートを各事業所に配布

自己評価の実施

  経営層、職員の自己評価を実施

訪問調査当日までの準備

  評価機関が各調査票を回収

  利用者調査の集計結果及び事業所の自己評価をもとに評価集計を実施

  利用者及び職員のコメントの分析

  訪問調査における質問事項の整理

訪問調査の実施

  評価機関と事業所であらかじめ日程調整を行う

  調査票に記入された事項及び集計に基づいたヒアリング、見学

評価結果の合議

  訪問調査結果を踏まえ、評価者同士で合議し、結果へと導く

調査結果の報告

  合議してまとめた調査結果を事業者へ説明しながら報告

 

  試行を実施してわかった点

<評価手順について>

  シートの記入について、各項目について根拠資料を書き込む必要があるなど、事業者の負担が大きいとの意見があった。

 

○ 組織マネジメントについては、事業所の規模によっては、その作成に関する負担が大きい場合がある。

 

<評価項目について>

  「組織マネジメント」と「サービス提供のプロセス」で共通する項目がある。

事業者の負担軽減の点から整理が必要。

 

○ 「十分に」や「適切に」行っていることを確認するためには、どのような場

合に「十分」「適切」と言えるのか、具体的な例示がなければ評価が困難である。

 

<評価手法について>

  評価に際し、文書等の根拠に基づき判断していくという点で、従来の手法と比較し、信頼性が増した一方で、評価者がヒアリングの際に根拠にとらわれすぎて、根拠がなくても優れた取組をしている事業所が評価されないなどサービスの全体を評価できない可能性がある。

 

  文書等に根拠の確認のみでなく、実施の適切性や徹底状況など実施のレベルを判断するためには、評価者に高度な専門性が求められる。

 

○ 項目数が多く、事業者から十分な情報を得ながらヒアリングを実施するためには、相当の時間数が必要。評価費用が嵩むことにもつながるのではないか。

 

<今後検討が必要な事項について>

  項目数の適正化

 

  「十分」「適切」など実施のレベルを判断する際の評価者の専門性の向上

 

 <認知症等に関する評価項目の導入について>

○ 新規4サービスの検討に際し、今回、訪問看護に「認知症等の利用者に対する対応」という評価項目を設定した。本来、認知症等(認知症や精神障害など)の利用者への対応は、すべてのサービスにおいて取り組むべき事項であるが、特に訪問看護においては、認知症等に対する医療面での専門性を踏まえた家族等への助言・指導の重要性を考慮するとともに、専門的理解をさらに深める取組を推進する必要から、他のサービスに先行し評価項目を設定した。

 

○ 訪問看護における認知症等に関する評価をテストケースとし、実際の評価の状況を踏まえた上で、順次、他のサービスにも取り入れていくことが妥当であると考える。  

 

  項目の改善

・〈資料編〉「試行により変更された項目の整理(サービス分析シート)」参照。