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平成13年度 児童環境づくりシンポジウム
「親と暮らせない子どもたちのために 〜私たちができること〜」

 平成13年11月24日(土)、東京都は都庁第一本庁舎・大会議場において児童環境づくりシンポジウム「親と暮らせない子どもたちのために〜私たちができること〜」を開催しました。
 児童虐待等の理由により、親と一緒に暮らすことができない子どもたちが増えているなか、親と暮らせない子どもたちを社会全体で守っていくということについて、多くの方々に考えていただきたい、また、そのような子どもたちを家庭的な環境の中で育てる養育家庭制度をもっともっと広めていきたい、そう願って開催したシンポジウムでしたが、当日は200名近い方が参加され、基調講演とそれに引き続いて行われたパネルディスカッションに熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

・プログラム

〔日 時〕 平成13年11月24日(土) 午後2時〜午後4時30分
〔場 所〕 都庁第一本庁舎5階 大会議場 新宿区西新宿2−8−1

開 会
  あいさつ  福祉局子ども家庭部長 笠原 保
基調講演
  「親と暮らせない子どもたちのために 〜里親養育について考える」     
  講師 庄司 順一
パネルディスカッション
 「親と暮らせない子どもたちのために 〜私たちができること〜」
  コーディネーター:杉浦 圭子
  パネリスト:庄司 順一、井上 波、坂本 好一、飯塚 美紀子
閉 会
  司会:福祉局子ども家庭部副参事(児童相談所改革担当)
       雑賀 真

(敬称略)

・出演者のプロフィール

庄司  順一 〔しょうじ じゅんいち・青山学院大学文学部教授〕
 早稲田大学及び同大学院で心理学を専攻した後、1975年、東京都職員となり、都立母子保健院等で勤務。83年に里親登録。
 92年、東京都を退職し、恩賜財団母子愛育会日本総合愛育研究所(現、日本子ども家庭総合研究所)に主任研究員として勤務。企画室長、研究企画・情報部長を歴任。99年、同研究所を退職して青山学院大学教授となり、現在に至る。
 専門は乳幼児の発達と臨床で、乳児保育、施設養育、里親養育、子ども虐待、育児不安等を研究。著書は「子ども虐待の理解と対応」、「ソーシャルワーカーのための心理学」(共編著)、「小児科の相談と面接」(共編著)等。

杉浦  圭子 〔すぎうら けいこ・NHKチーフ・アナウンサー〕
 1958年、広島県生まれ。81年、早稲田大学第一文学部卒業と同時にNHKに入局。東京・大阪・広島の各放送局で勤務する。
〔主な担当番組〕
「7時のニュース」、「紅白歌合戦」、「首都圏ネットワーク」、「教育トゥディ」、「少年少女プロジェクト特集」
ここ数年、“教育”をテーマにした番組のキャスターを多数務める。
現在、「生活ほっとモーニング」(総合テレビ 月〜金 午前8時35分〜)担当。
小学校に通う一児の母。

井上 波 〔いのうえ なみ・TBS報道局記者〕
 1967年、兵庫県生まれ。幼少時代をフランス、オランダ等で過ごした後、91年に上智大学文学部新聞学科卒業、TBS入社。報道カメラマン、社会部記者、「ニュースの森」ディレクター等を経て、現在、「筑紫哲也NEWS23」担当ディレクター。
 社会部時代は警視庁記者クラブに所属し、オウム真理教事件等を主に担当。番組に移ってからは、犯罪被害者、臓器移植、児童虐待、教育等、社会問題を中心に取り組んでいる。
 2001年1月には、日本の里親制度の現状を取材した特集「他人の子どもを育ててみませんか?」、アメリカを例に被虐待児の保護と里親制度を考える特集「虐待された子の里親になる」を放送した。

坂本  好一 〔さかもと こういち・都立青鳥養護学校久我山分校副校長〕
 1952年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。都立養護学校で教諭として20年間勤務し、知的障害のある児童・生徒の教育に当たる。その後、教頭として4年間勤務した後、2001年4月から現職。
 東京都養育家庭制度のもとで1985年から里親となり、これまでに短期・長期合わせて10人の子どもの養育をしている。2年前からファミリーホームとなり、現在は幼稚園から高校生までの6人の子どもたちを養育している。

飯塚 美紀子 〔いいづか みきこ・東京都福祉局子ども家庭部育成課長〕
 1981年入都、主税局、住宅局等を経て、2001年4月から現職。
 児童、ひとり親家庭及び女性の福祉に関すること、里親に関すること、母子生活支援施設、児童養護施設及び児童自立支援施設の運営指導に関すること等を担当している。

(2001年11月現在・敬称略)

・シンポジウム概要

開  会

○司会(雜賀副参事)
 それでは、ただいまより児童環境づくりシンポジウムを開会させていただきます。
  開会に先立ちまして福祉局子ども家庭部長、笠原よりあいさつがございます。

○笠原子ども家庭部長
 皆様、ようこそお越しくださいました。
 きょうは児童環境づくりシンポジウム「親と暮らせない子どもたちのために〜私たちができること〜」ということで、里親をもっと増やすための一連の取り組みの中の一つとしてシンポジウムを開催することとなりました。お休みにもかかわらず、大変多くの皆様方にお越しいただきましてありがとうございます。
 はじめに、青山学院大学の庄司先生の基調講演をいただきまして、その後、NHKの杉浦圭子アナウンサーをコーディネーターといたしまして、TBSでアメリカの里親制度に詳しい井上記者、それから、東京都八王子市で里親をされています坂本先生、そして私ども子ども家庭部の担当課長の飯塚を交えまして、パネルディスカッションを一時間半ほど予定してございます。
 東京都内には、約3,000名の親と暮らせない子どもたちがおります。そのうちの2,800名ほどは児童養護施設で暮らしておりまして、里親をされている家庭にいらっしゃる子どもさんはわずか200名足らずでございます。私どもといたしましては、できるだけ里親のもとで子どもたちが暮らせるようにしたい。何とか里子さんを里親のもとで増やしたいということで、これからいろいろな働きかけをしてまいりたいというふうに思っております。そういった意味で、これからどうすれば里親を増やせるのか、なぜ里親が増えないのか。そういった問題について、二時間半ほどいろいろなお話をさせていただきたいというふうに思いますので、どうぞ最後までご清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。

基 調 講 演

○司会
 それでは、基調講演を始めさせていただきます。
 演題は「親と暮らせない子どもたちのために〜里親養育について考える〜」でございます。
 では先生、よろしくお願いいたします。

○庄司
 こんにちは。きょうは里親についてお話をする、またこの後、パネルディスカッションで考える、こういう機会が与えられましたことを大変うれしく思います。里親制度は、だれもが大事だと言いつつ、なかなか発展しませんし、また里親制度についてもあまり知られていない。そういった現状がありますので、こういった機会はこれからもぜひ持っていただければと思います。これから少しの間ですが、親と暮らせない子どもたちのために、里親養育についてお話をさせていただきたいと思います。
 まず、社会的養護ということをご説明させていただきます。
 自分が生まれた家で育つことができない子どもには、社会がその養育に責任を持つ、こういう仕組みがどの時代、どの文化にもあります。先進諸国では、これが制度として成り立っていて、これを社会的養護と言います。社会的養護は、施設養護と家庭的養護とに大別されます。施設養護は、ご存じのように乳児院、児童養護施設、そういう施設での養育ということになります。家庭的養護は、養育家庭と言う方が適当かもしれませんが、里親のもとでの養育、あるいは養子縁組を前提とした養育、こういったものが家庭的養護となります。
 先ほど東京都の例をお話しされましたが、全国的にみても、わが国は社会的養護の多くが施設養護という形で行われていて、里親のもとで子どもが養育されるということは非常に少ない、そういう現状があります。
ここで少し外国の状況をみておきたいと思うのですが、外国といっても、これは国により、あるいは地域によりかなり制度が異なっていて、一概にどの国ではとなかなか言いにくいわけで、非常に大ざっぱな話をすることになります。
結論的には、いわゆる先進国の中で施設養護が中心となっているのは、日本だけと言っていいと思います。他の国と比べて非常に特異な状況にあるわけです。アメリカでは50万人ほどの子どもが里親のもとにいるそうです。里親の数は十数万人ということです。イギリスでは4万人の子どもが里親のもとにいるそうです。このように、外国では里親のもとに多くの子どもがいるわけですが、アメリカの里親制度というのは基本的には短期間で、12カ月とか18カ月、その間だけ里親のもとにいる。そして、その間に実の親といいますか、生みの親への支援を行う。そして子どもを家庭へ帰す。あるいはそれが不可能な場合には、養子縁組をするということになっています。また、外国では、関わりの難しい子どもたちに対する養育を行う専門里親制度というものが発展しています。これについては厚生労働省が来年度からの導入に向けて検討をしているところです。国によっては、専門里親制度を行っていない国もあります。
 諸外国で里親養育が進んだ背景には、一つはノーマライゼーションの思想があるのではないかと思います。知的障害のある方に対して、ヨーロッパでも施設での養育が行われていたわけですが、それは人が生活するにはあまり自然ではない、ノーマルな生活ではないということで、それぞれの方に必要な配慮をしつつ、できる限り地域の中で生活をするということを目指す、そういう考え方です。
 もう一つ、諸外国で里親養育が進んだ背景には、施設養育の弊害についての研究があります。施設にお勤めの方はよくご存じだと思いますけれども、昭和30年代、40年代にかけてホスピタリズム、つまり施設で長期に生活することによってあらわれてくる心身への悪影響についての研究がわが国でも行われました。諸外国でも研究が行われて、子どもにとってより望ましい場はどういうところか。当然、家庭、あるいは家庭に近い環境と考えられ、このようなノーマライゼーションの思想とか、あるいは施設養育の弊害についての研究が政策に反映されたと言えるかと思います。欧米にもまだ施設はあるのですが、その施設も日本に比べれば小規模化していますし、治療施設化してきていると言えるかと思います。つまり、施設では、とくに困難な子どもを養育する、あるいは治療教育を行う。そういった形になってきています。
 さて、里親養育は、恐らくどなたも望ましい養育のあり方だと考えると思いますが、実はそんなに楽観して言えるほどの状況ではないのです。むしろ、里親養育は危機にあると言えるのです。それは、まず何よりも里親の数の減少にみることができます。里親家庭の数、あるいは里親のもとに養育を委託されている子どもの数は昭和30年代がピークでした。当時、約2万の里親家庭に約1万人の子どもが養育を委託されていました。しかし、その後、里親の数は年々減り続けています。平成11年度、登録里親の数は約 7,500家庭、これは全国の話です。そのうち子どもを養育している里親は約1,700家庭。そこにいわゆる里子として暮らしている子どもの数は約 2,100人です。これに対して乳児院には約 2,700人、児童養護施設には2万 8,500人ほど、合わせて3万1,000人を超える子どもが施設で暮らしています。少し前まで社会的養護の必要な子どもの10%が里親のもとにいると言われていましたが、現状は社会的養護の必要な子どもの6〜7%が里親のもとにいるにすぎない、そういった状況になっています。登録里親家庭は 7,500あると言いましたが、私たちが行った調査では、その登録里親のうち今後も子どもの養育に携わっていいという方は約半数にすぎませんでした。また、新たに里親として登録をなさる家庭の数は毎年全国で600家庭から700家庭程度です。このように里親の数が減っている、しかも最近減ってきたというのではなくて、昭和40年代から減り続けている。ここには深刻な問題があるように思います。
 わが国の里親制度が危機にある二つ目の理由は、里親制度というものがあまりに知られていないということがあげられます。里親の方々は皆さん経験なさっているでしょうが、幼稚園、学校、あるいは病院に行くたびに説明しなければならない。これは東京のということではないですが、場合によっては児童相談所の児童福祉司さんも里親制度についてあまりご存じないということもあると伺っています。里親制度をいかに周知していくか、これも非常に大事な問題だと思います。
 それから、三点目として指摘したいことは、研究が進んでいないことです。アメリカやイギリスの小児医学の教科書、あるいは児童精神医学のテキストには、たいてい里親養育、あるいは養子縁組について、あるいは施設での養育について一章が設けられて詳しく解説されています。しかし、わが国では、児童福祉の専門の先生さえ里親養育に消極的な意見を持つ場合もあるようですし、まして医学的な研究、あるいは心理学的な研究というのはほとんど行われていないので、もちろん、小児医学の教科書には里親養育のことなど書かれていません。
 また後で少しお話ししたいと思いますが、里親養育は、ある程度育った子どもが家庭に入って新しい家族をつくっていく。また、その中で実の親でない、あるいは血のつながった親子でないということを子どもに伝える告知の問題、さらには実の親がいる場合には、子どもが里親と実の親との関係の両方をいかに結んでいくかというような、心理学的に、あるいは児童精神医学的にとっても大事なテーマがあるわけです。ですけれども、そういったことについてわが国では、これまでほとんど研究がされてこなかったのです。このようなことがわが国の里親制度、里親養育の危機をもたらしている、あるいはそれをあらわしていると言えるのではないかと思います。
 次に、里親養育の可能性と限界についてお話をしたいと思います。
 里親養育はいいと言いますが、本当にいいのだろうか。里親のところに子どもを委託すればそれですむのだろうか。必ずしもそうは言えないと思うわけです。
 里親養育の特徴を考えてみますと、里親のもとでは個別的で、親密で、継続的な関係を持ちやすいと言えます。これは、なかなか施設では実現しにくいことです。しかし、個別的で、親密で、継続的な関係を経験することが子どもの心の健康の基礎であり、また心の傷をいやす前提ともなると考えられます。
 また、里親は、夫婦の間の協力が得やすいと言えます。夫と妻が力を合わせて子育てに取り組むのが子育ての基本です。ですが、今の世の中は夫と妻の役割分業が進んで、多忙な父親は子育てを母親に任せっきり。そのために母親が孤立した、あるいは孤独な中で子育てを行わなければならない。そういった状況が起きていて、これが育児不安とか、あるいは虐待の一つの要因になっていると思われます。しかし里親は、里親になろうと考えたときから夫婦でよく話し合うはずです。子育ての出発点から夫と妻の話し合いや協力があるということは、子育てに有利な点と言えるでしょう。
 里親は、里親の登録、申し込みのために児童相談所へ、東京では養育家庭センターへ申し込みます。子育てに悩みや心配はつきものですが、子どもを育てる最初から児童相談所や養育家庭センターとの関わりを持っているわけです。そういう相談の場を持っているということは非常に重要なことだと思います。
 次に、里親養育の意義については、これは里親が里親であることをどう思っているかということから考えたいと思うのですが、私たちは、関東地域の里親会を通して里親さんに調査をさせていただきました。その調査項目の中に「親族や知人に里親になることを勧めますか」という項目をつくってお聞きしました。そうしたら「意義のあることだから積極的に勧めている」という方、あるいは「適当な機会があれば勧めている」、そういった方が合わせて80%いました。里親のうち80%の人が他の人に里親になることを勧める、このことは里親が里親であることに肯定的な意識を持っていることを示しているのではないかと思います。ただし約10%の人は「苦労が多く、勧められない」と答えていました。
 他方、里親家庭に委託されて養育を受けている子ども、里子は里親のもとで養育されたことをどのように感じているかということについては、これは少し古いのですが、家庭養護促進協会神戸事務所というところが、成人した元里子の方に調査した結果があります。20%の元里子が「機会があれば自分も里親になりたい」と答えていました。一般の人は里親、里子という言葉さえよく知らないのに対して、20%の人が自分も機会があれば里親になりたいと答えている。このことは里親の場合と同じように、里子も里子として養育されたことに満足感を持っているということをあらわしているのではないでしょうか。そういう意味では、この里親制度、里親養育というものは、里親にも里子にも十分意義のあることと認められると言えるでしょう。
 ただ、私は、一人の元里子に「みんな里親制度はいいと言うけれど、それはよい里親のところにいったときで、ひどい里親のところにいったら決してそうではない」と言われたことがありました。里親のもとにいる里子の希望、少しかたく言えば権利をいかに守るかということも、今後考えていかなければならない大きな課題だと思います。
 このように、里親養育には大きな可能性、それから大きな意義が認められるわけですが、他方、里親養育には同じように大きな限界もあると思います。何よりも子ども(里子)を養育することは難しいということがあります。これにはいろいろな理由がありますが、里子となる子どもと里親は、ある時出会って、その後、生活が始まるわけです。その場合、子どもは赤ちゃんでほぼ白紙の状態で関わるというよりも、ある年齢までどこかで育ってきて、それは生後間もないときから施設ということもありますし、また家庭で虐待を受けてきたということもあるわけですが、ある程度、その子なりの個性なり行動の仕方というものを身につけて、それで里親家庭にくるということになるわけです。それまでの生活を共有していないということから、その後、お互いにいろいろ戸惑うことが多く出てきます。
 また、里親は、「実の親」でないことに負い目を持って、がんばり過ぎてしまうということがあります。周りの人から「里親だから」というようなことを言われないようにがんばり過ぎてしまうのです。さらに、里親は、血のつながらない子どもを養育しようとする気持ちがあるわけで、そういった意味では善意と熱意にあふれている人たちと言えるでしょう。「私なら立派な里親になれる」「私は立派な里親になろう」というふうにはっきり口で言うかどうかは別にしても、内心ではそう思っている方が多いように思います。しかし、子どもを育てることは、善意と熱意と愛情だけではどうにもならないことがあります。とくに、これから虐待を受けた子どもを里親のもとで育てることが増えてくると、里親自身、子どもの養育について、あるいは里親制度について、あるいは虐待を受けた子どもの心と行動について、十分な理解を持たなければならない、そんなふうに思います。
 ただ、こういう子育ての難しさは里親だけではなくて、例えば、子連れ再婚をした場合、最近はステップファミリーと言いますが、そういった場合にも同じようにあらわれてくる問題です。こういったことを考えると、里親には十分な研修と支援の体制をつくり上げることが大事ですが、これまで研修も支援もほとんどなかったと言うと、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、非常に不十分な状況の中で里親は養育を行ってきたのです。研修と支援はこれから何とかしてもらわないといけないと思います。
 さて、次に里親養育の課題についてですが、これからは里親のもとにも虐待を受けた子どもが増加してくると思います。厚生労働省も、虐待を受けた子どもの増加を背景に、虐待を受けた子どもを養育する専門里親制度というものを創設しようとしています。とくに、これらの子どもたちに対しては、個別的なケアが必要であることは言うまでもありません。
 また、今まであまり取り上げられなかったのですが、虐待を受けた子どもにはほとんど保護者がいるわけです。これまで、現実には、里親のもとに委託される子どもというのは、保護者のいない子ども、あるいは保護者との関わりというものを考えなくていいような子ども、そういった子どもが委託されてきました。ですが、今、施設に入所している子どものほとんどは保護者がいます。当然、里親のもとにくる子どもも保護者がいる、そういった子どもが多くなってきます。里親の方も「子どもを世話するのはいいけれども、親との関わりはちょっとね」ということが多いですよね。保護者との関わりをどうするかということも非常に重要な問題として今後、考えなければならないことだと思います。実際に、里親が直接保護者と関わりを持つかどうかということは別にしても、子どもから見れば、自分には生んでくれた親と、それから育ててくれる親がいる。二人の親がいる中で、その時々に子どもはどちらの親に対してより深い気持ちを持つか、揺れ動くということもあるわけです。
 私は、この数年間、外国の里親大会、研修会に参加する機会がありました。そこでの研修は、一つは非常にレベルの高い研修を行っていることが印象的でした。とにかく分科会の数がたくさんあります。それを選んで参加しますし、日数も長く、月曜日から金曜日まで、途中、水曜日頃は息抜きというか小旅行や施設見学の日となっていますので、実質4日ぐらいの研修です。分科会の内容も、私が参加したのは、例えば解離性障害について、これは虐待を受けた子どもの心理的な特徴についての研修でしたが、そういった分科会ですとか、愛着障害についての分科会等で、日本の児童相談所の心理の人に聞いてほしいなと思うような非常に内容の濃い研修が行われています。これからは虐待を受けた子どもの心理と行動を理解するということが本当に重要になってくると思います。
 また、外国の大会や研修会で最近目立っていることは、里子同士の交流と里子の権利擁護の問題です。今年の大会では、2日目は里子の日で、各国の里子が壇上に並んで、そこで里親養育について議論をする、そういうセッションがありました。分科会にも里子のための分科会があって、そこでは、例えば、よいソーシャルワーカーと悪いソーシャルワーカーについて、怒りのコントロールについてといったようなテーマで議論されたようでした。国際的な動向としては、里子の意見を聞くことが里親制度をよりよいものにしていく、そういった発想で、里子の意見を聞く場を大事にしているというのが最近の傾向だと思います。
 それから、先ほど言いましたように、これからはぜひ学際的な研究をしてほしいと思います。日本では児童精神科医も小児科医もほとんど里親養育には関わってきませんでした。しかし、例えば身体の発育ということを考えても、施設にくる子ども、あるいは里親のもとにくる子どもは、母子健康手帳を持っていなかったり、あるいは母子健康手帳が真っ白であったりして、どういう育ちをしてきたかわからない。そういった状況で診察をしなければならないわけで、小児科医にとっても一つのチャレンジとなる場だと思いますし、先ほど言いましたように、告知の問題、あるいは新たに親子をつくっていく適応の問題、あるいは実親と里親との間で揺れ動く子どもの気持ちを理解するということ、さらには虐待を受けた影響とか、そういったことに対してどう理解して対応するかというような多くの課題があります。小児医学、児童精神医学、臨床心理等の領域の人も、児童福祉の領域の人と力を合わせて、ぜひこれから学際的な、いろいろな専門領域からの研究を進めることが必要であると思います。
 里親養育をこれからさらに発展させていくために大事なことは、里親制度だけを改善しても決してうまくいかないということです。里親には十分な研修が必要であると言いましたが、どれだけ里親が必要としている研修についてのノウハウが蓄積されているでしょうか。十分な支援が必要といっても、どういった形の支援が必要なのでしょうか。こういったことを早急に詰めていく必要があるかと思います。また、ほとんどすべての里親の願いというものは、児童相談所に専任のソーシャルワーカー、児童福祉司を置いてほしいということです。里親にとって信頼できる担当者との連携というものが不可欠だからです。
 また、何よりも児童相談所の児童福祉司の数を増やすことが望まれます。今年、国際会議で何人かのソーシャルワーカーと話をしたのですが、欧米では、1人のソーシャルワーカーが担当しているケースの数は10人から、一番多い人で28人でした。これに対して日本の児童相談所の児童福祉司が担当しているケースは120以上と聞いています。里親は子どもを養育しながら、日々悩んだり困ったりしています。そういったときに直ちにそれに応じる体制をつくるためには、今の児童福祉司の数ではとても足りないわけです。少し増やすというのではなくて、抜本的に増やしてもらわないと、里親だけが増えても結局はうまくいかないケースが増えてしまうことになってしまうと危惧します。
 また、言うまでもなく児童福祉司の専門性を高めてほしいと思います。これまで福祉の仕事は、これは里親もそうですし、児童福祉司さんもそうですが、熱意と努力、あるいは経験と勘で進めてきたと言えるように思います。しかし里親養育は、施設での養育もそうですが、子どもの一生に関わる事柄を扱うわけで、高度の専門性、知識、技術が必要なことは言うまでもないわけです。専門的な助言、これが受けられるようにするためには、児童福祉司の専門性をもっともっと高めてもらい、専任のワーカーとして里親養育について経験を持ってもらうことが必要です。里親養育の難しさを理解してもらうということが本当に大事なことだと思います。
 里親への支援としては、いま言った専門的な助言が随時受けられる体制をつくることと、それから、やはり同じ立場で共感しやすい、里親同士が語り合える場というものも大事なことだと思います。また、欧米では普通に行われているレスパイトケア、これは一時的に子どもをほかのところに預かってもらって里親さんが息抜きをする、そういったものですが、このようなレスパイトケア等も、里親が煮詰まってしまわないためには必要なことだと考えます。
 そういった意味では、里親自身の意識改革も必要でしょう。これまでの里親制度の中では、里親になってくださっている方の多くが本当は養子縁組をしたい。子どもがいないから養子として子どもを育てたい。しかし、養子になれる子どもというのは、子どもの条件とか、その子の背景を考えるとそんなに多くはない。それで里親として子どもを養育していく、ということが多かったと思います。いずれにしろ、わが子として養育するという考え方が基本であったと思います。そのような子どもと強い一体感を持った養育というのは非常に大切なことです。ですが、これからは、里親も社会的養護の一部分を担うんだという考え方を持つことが必要ではないでしょうか。里親が丸抱えして養育をするというのではなく、里親も多くの人の力を借りながら子どもを養育していく。そういったような考え方に転換する必要があるのではないかと思います。そのように考えると、児童相談所、養育家庭センター、あるいは施設と里親との連携というのは不可欠のことだと言えるでしょう。
 先ほど、厚生労働省は来年度から専門里親制度を導入するというお話をしました。今その委員会が動いていますが、その委員会の中で私は、この委員会のキーワードとして「パートナーシップ」ということを提言しました。里親がすべてを担うのではなく、児童相談所、あるいは施設等との連携のもとに子どもを養育する。しかもそのときに児童相談所から一方的に指示を受けるというのではなくて、里親の意見も、あるいは見方も十分、児童相談所の人に聞いてもらう。役割は違うけれども、対等の立場で子どもの養育というものを考えていく。そういった考え方が必要ではないかと思います。
 また、里親は、その多くが地域の里親会に属していますし、またその地域の里親会の連合体としての全国里親会という組織もあります。この里親会のあり方もこれから考えていかなければならないと思います。里親会の活動に参加しない里親も多いのです。それは、里親が自分の子として自分の経験だけで育てていくという考え方の人もいますし、里親会が里親のニーズにこたえていない面もあるのではないかと思います。
 こんなことを考えると、里親養育、里親制度の改善、改革というものは、里親のみならず、児童相談所、施設、あるいは里親会、そういったところもあわせて改革していかなければならない。その一部分は行政の責任で行うことでしょうし、また一部分は私たち自身がその改革に関わらなければならない、そういった課題だと思います。
 里親養育のこれからに向けてということを少し考えますと、これまでお話ししてきたこととほとんど重なるわけですが、まず何よりも、里親養育が社会的養護を必要とする子どもたちにとって、より望ましい選択肢であるということを確認すること。また、里親が里親一人で抱え込んでいくのではなく、多くの機関、人と協力して子どもの養育を進めていくということ。その際、パートナーシップというような、役割は違うにしても対等の立場で意見が交換できること、その場合に実の親の意見も聞くことも考えなければならないでしょうが、こういうパートナーシップの考え方を進めていくこと、こうしたことが必要ではないかと思います。
 だいたい時間が来ましたので、私の基調講演はこれで終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○司会
 庄司先生、どうもありがとうございました。
 ただいま庄司先生のお話の中で、里親の現状、それから里親の制度についての課題というものが非常に鮮明になったと思います。
 先生には、この後休憩を挟みまして、パネリストとして再びお話をお伺いするということになってございます。
 それでは、3時からパネルディスカッションを始めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

パネルディスカッション

○司会
 それでは、今からパネルディスカッションを始めさせていただきます。
 まず、出演者の皆様をご紹介させていただきます。(省略)
 それでは、杉浦様にこれからの進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○杉浦
 NHKの杉浦でございます。こんにちは。
 皆さん、ようこそおいでくださいました。きょうはお天気もよくて三連休で、遊びに出かける方も多いなかで、こうしてわざわざ足を運んでくださったということは、本日のテーマにとても関心をお持ちの方がそろっていらっしゃるのだと思います。
 今回、私もこのシンポジウムのテーマを拝見しまして、コーディネーターをという話をいただきましたときに「テーマには非常に関心がありますが、残念ながら里親制度についてこれまで直接取材をしたことがありませんので自信がありません。でもパネリストの先生方から私自身も学ばせていただくというスタンスでよろしければ、ぜひやらせてください」というふうにお願いいたしました。いたらないことがたくさんあるかと思いますけれども、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。(拍手)
 後ほど会場の皆様からもご意見やご質問をいただきたいと思います。どうぞシンポジウムの議論を皆様のお力によって深めていただきたいと思います。
 先ほどご紹介いただきましたけれども、私も小学校1年生の娘を持つ母親でして、子どもが生まれたときに、本当に自分の中にこういう気持ちが芽生えたということが不思議なくらい子どもがかわいくてかわいくてしようがなくて、仕事が終わってうちに帰るのがもうわくわく、恋人に会うみたいな気持ちで、子どもの顔を見るのが楽しみで仕方ありませんでした。本来、子どもの存在というのは、おもしろいし、見ているだけで楽しいし、かわいくて、ほうっておいても愛さざるを得ないような存在なんですけれども、そういう子どもたちがさまざまな事情、親の離婚ですとか、それから病気等、いろいろな理由で親のそばで愛情を受けることができないという現実もあるわけですね。きょうのいろいろなお話の中でも出てきましたけれども、東京都だけでも親と暮らすことのできない子どもたちがおよそ 3,000人いらっしゃって、大半の子どもたちが乳児院や児童養護施設で暮らしていらっしゃる。全国的にみると、里親のもとで暮らしている子どもたちというのは、社会的な養護が必要な6%から7%にすぎないというお話でした。
 このシンポジウムを前に私も現場の様子を拝見したいということで、先日、麻布乳児院と葛飾区にあります児童養護施設の希望の家を訪問させていただきました。そして貴重なお話をたくさん伺いました。きょうは関係者の方もいらっしゃっているようです。その節は大変お世話になりました。
 麻布乳児院では、保育士の皆さんが昼間と夜間12時間ずつ二交替制で赤ちゃんたちの世話をしていらっしゃいまして、1人の方がだいたい3人から4人の決まった赤ちゃんを見ていらっしゃいました。ほとんどの方が独身の女性でいらっしゃいまして、平均年齢が28歳ということで、聞きましたら「結婚してはとても続けられない仕事だ」というふうにおっしゃっていました。それだけ身も心も捧げ尽くして赤ちゃんのお世話をなさっている。母親代わりで子どもを育てるって本当に大変なんだということを実感いたしました。
 その乳児院では、実の親御さんの事情が可能な場合は、数日間でも自宅に赤ちゃんを帰すようにしているということです。また乳児院に戻ってきたとき、その子どもが不安定になって機嫌が悪くて、本当は育てるのが大変なのだけれども、あえて親子のきずなというのを大事にするために、そうやって自宅にちょっとの期間でもお戻ししているんだそうです。2歳に満たない赤ちゃんでも、やっぱり自分の家、自分のお母さんというのがわかるんだそうです。
 それから、児童養護施設の希望の家では、大勢の子どもたちがいる建物だけではなくて、グループホームという形の施設も見せていただきました。これは一般の二階建ての民家ですね。そこに6人の子どもたちが暮らしていまして、3人の職員の方が代わる代わる寝泊まりを共にしていらっしゃって家庭に近い生活を体験している、そういう場所です。大人数の施設だけでずっと成長して過ごしますと、将来、自分が結婚して家庭を営もうというときにモデルがないんだそうです。だから、どういう家庭をどういうふうに築いたらいいのかわからない。だからこういうグループホームという形で、子どもたちに家庭の生活というのを体験させてあげたいと思っていらっしゃるということでした。そう言われて、改めて本日のテーマの里親制度、里親のもとに引き取って家庭の体験を子どもたちにしてもらうということがどんなに貴重かということがわかったような気がいたしました。
 もう一ヵ所伺いましたのは、本日パネリストとしておいでいただいています坂本先生のお宅です。奥様と一緒に6人の子どもを育てていらっしゃいまして、先生のところはファミリーホームと呼ばれている養育家庭の形です。先生がお仕事から戻られた夕方のお忙しい時間帯、お疲れのところをおじゃましたのですが、先生のお宅は八王子の高台にありまして、とても見晴らしがよくて、すばらしい夕日が眺められました。リビングルームには子どもたちの写真ですとか、それからお習字がいっぱい飾られていました。里親になられて16年間ですかしら、これまでに10人の子どもたちに関わってこられました。その先生に、まず里親になられたきっかけと、養育家庭の現状を実体験を交えてお話しいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○坂本
 よろしくお願いします。
 きっかけは後で話の中でしたいと思いますが、きょうは東京都の主催ということで、石原都知事がご自分の本の中でこんなことをおっしゃっているので、それを初めにご紹介したいと思います。「家とか家族とかふるさとといったようなものは、人間の精神の座標軸となるものである」というような表現が本の中でございました。人生や人間を見るときに、その物差しというものをみんなだれしもそのなかに持っていると思いますが、その物差しができていく、その過程にまさに家庭があるということをおっしゃっておられます。
 鳥が巣立つということを言いますが、まさに家庭はそのような意味で巣であると思います。家庭があまりにもすばらしいものなので、あたかも空気のように、そのすばらしさにふだんは気がつかないのが私たちではないかというふうに思います。よくも悪くも人生の枠組みになっているのが家庭ではないかと思います。
 「男はつらいよ」という、あの寅さんの映画が私は大好きなのですが、渡世人として、世の中の荒波にもまれて傷ついて、そして帰ってくるのはやはりあのふるさとであり、家庭であり、家族であるわけです。家庭に帰ることが、どんなに傷ついていても、そこで生きていく意欲につながるものであるというのがあの映画なんではないかというふうに思います。そういう意味で、家庭で過ごすということは財産であり、逆にそういう家庭がないということ、身近にお父さん、お母さんと呼ぶ家庭がないということは、これは明らかに社会的な不利、ハンディだというふうに考えます。
 自分のことを考えても、私が小学生の頃は昭和30年代で、まだ部屋には裸電球にかさがついているような家庭でありました。堅実な公務員の家庭でありましたけれども、やっと手に入れたマイホームで、その頃は土曜日は休みでも何でもないのですが、いつも日曜日になりますとみんな早起きをさせられて、家の中をぞうきんがけしてきれいに掃除をして、そして朝御飯の食卓を全員で囲む。そして納豆をみんなで分け合って食べるといったような光景が今でもありありと思い出されます。そのことが、やはり今、自分が親になって、とても大事な枠組みになっているということに気がつかされます。
 私は、必ずしもいつも早く帰ってくるわけではなくて、帰りが遅いこともしばしばですが、うちの子どもたちは、私のいびきのまねをするのが大変上手です。いつも家で寝ているわけではないんですけれども、風呂上がりに機嫌がいいときには、ちょっと品がないんですが、パンツ一丁になって、おなかをポンポコポンポコたたいてふざけたりすることもあります。もし私がこれを職場でやったとしたら、信用失墜行為でたぶん懲戒免職になるかもしれませんが、家庭でやると、それが大笑いになって、16歳の娘は半分軽蔑した顔でニヤニヤ、それでも笑って見ていたりします。丸ごと人間を見るのが家庭なんだなというふうに思います。
 16年前、里親を志して乳児院に面会に行きました。里親を志したのは、やはり自分が早くに親を亡くして、二十のときにはもう両親がいなかったのですが、そういうこともきっかけの一つでした。紹介された子どもが乳児院にいましたが、そのほかにも大勢の子どもが私たち夫婦の周りに寄ってきて、手を差し出していました。さまざまな交流を経て、一泊の外泊を経てわが家の子どもになっていくわけですが、子どもたちというのは、うちでは6人、それぞれそういった過程を経てわが家に委託されているわけです。乳児院や児童養護施設の性格にもよりますが、中には、もうほとんど身一つでわが家に来るような、そういう子どももおります。そうした子どもたちのまなざしを見るときに、やっぱり身が引き締まる思いがします。やっぱりできるだけのことをしたい、一肌脱ぎたいと思うのが自然な、そういうような状況の中で長年やってきているわけですけれども、そういう意味では、子どもに引っ張られてここまで来たんだなということをしみじみ思っています。

○杉浦
 ありがとうございます。
 本当に実際に伺ってみて、6人もの子どもを育てていらっしゃるって、私などは1人でも、いくらかわいくても、もてあますときがしょっちゅうありますのに、6人も受けとめていらっしゃるというお二人のお姿に、もう頭が下がる思いでした。
 きょうは奥様の洋子さんと、それからお子さんたちにも来ていただいております。幼稚園の年長さんから小学校3年生までの5人のおちびさんたちと、それから専門学校1年生のお姉ちゃんという6人の方々です。後ほど洋子さんにはインタビューさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 さて、今、坂本先生に東京で養育家庭をなさっていて感じていらっしゃることを伺いましたので、今度は海外の事情を伝えていただきたいと思います。基調講演の中にも海外の事情が少し出ておりましたが、アメリカの里親の現状を取材されました、TBS報道記者の井上さん、報告をお願いいたします。

○井上
 TBSの井上です。
現在、夜の「筑紫哲也NEWS23」という番組の中で取材のディレクターをしております。
 私がそもそも里親ということの取材を始めたきっかけというのは、もともと虐待の取材です。いろいろと虐待の事件が伝えられている中で、毎日こうやってストレートニュースというか、事件が伝わっていますけれども、実際に、じゃ、どうしたらこれを減らせて何が我々にできるのかと考えて取材をしておりまして、そのつながりでアメリカに取材に行くことになりました。これから見ていただきますが、アメリカに取材に行って、いろいろな部分を見てきたんですが、その中でやっぱり一番大きな役割を占めているのが里親制度だということを知りました。逆に、じゃ、日本の里親制度ってどうなっているのかなと、帰ってきて東京都の里親制度を中心に取材をさせていただいたことがきっかけで、底辺でいろいろがんばっている方々がいらっしゃるんだけれども、まだ制度としては日本でそんなにポピュラーになっていないというところで、自分に何かできることはないかということで、日本の里親制度、そしてアメリカの里親制度を結びつけて特集をつくりました。長い特集ですので、その中からアメリカで取材した部分だけをちょっと抜き出してつくったものを見ていただきます。では、お願いします。

(VTR)

 これを取材をしたのが、もう取材自体は昨年ですね。今年の初めに放送したものなんですが、その後、彼女たち、この家族がどうなったのかというのを聞いてきましたところ、このときは週に一回のソーシャルワーカーを交えた面会だったんですけれども、その後、ソーシャルワーカーを交えないで里親さんと実親さんとの面会をするようになって、それから週末だけ戻るようになって、今はまた家族が再統合して一緒に暮らしているということです。ただ、ソーシャルワーカーもまだ関わっていますし、何よりも里親さんも近所に住んでいる方ということもあるのですが、アドバイスをしたり、何かあったときには電話をしたり、声をかけたりという関わりかたで、里親さんも、もう新しい家族の一員みたいな感じで今でも関わっていらっしゃるということです。
 先ほど庄司先生のお話の中にもありましたが、本当に考え方として数字がまるっきり逆で、9割以上の虐待された子どもは里親さんに預かってもらう。ほんの一握りの本当に傷ついて特別なケアが必要な子どもを施設で預かる、そういう考え方がアメリカの考え方です。まずそれにすごくびっくりしました。このジュディさんという女性、専門里親ということで、とくに里親歴が長いので、ああいう虐待を受けた子どもなんかを預かったりしている方なのですが、彼女は実はだんなさんと離婚をして、お子さんはもう大きくて家を出て育て終わった方。お年もかなりいっていらっしゃるのですが、アメリカではああいうふうに片親の家庭であったりとか、私は実際には会っていないですけれども、例えば車いすの方で里親をされている方がいらっしゃったりとか、そういう意味でいろいろな里親さんがいらっしゃるのだそうです。その子ども、子どもに合った家庭の里親さんに預かってもらえるようにというような仕組みができているのがアメリカですね。
 里親さんをやるということがすごく自然で、特別なことでなくて、今見ていただいたのもニューヨークのブロンクスという、昔だとかなり危険で、観光客は行ってはいけないという危なかった場所なのですが、里親をする方が裕福な方とは限らないし、きちんと両親がそろって温かい、いい家庭だという里親家庭像とも違うし、それぞれができることをする。得意な分野で関わっていくということで制度があります。それから、預かるということではなくて、その家庭にトータルで、その後でもずっと関わっていこうというのがありまして、今も話しましたように、この人はもうずっとこの家庭によきアドバイザーとして関わっていくというようなのが印象的でした。
 最近ですと、貿易センタービルの事件がありました。私も先月、その事件の取材でずっとニューヨークの方に行っていて、ちょっと気になって、この団体に連絡をとってみたりしたのですが、やっぱりそういうときでも、ああいう事件があって親を亡くしたり、片方のお父さんが行方不明になっていて、お母さんがその対応で精一杯だという子どもたちがたくさん出て、すぐにやっぱり緊急でそういう必要のある子どもを預かってくれる里親さんというのがたくさん登録をされていて、あのビルの事件の犠牲者のお子さんもたくさん、今、里親さんのところに預かってもらっているという状況だったようです。
 あと、もう一つ、すごくアメリカを取材していて印象的なのは、社会福祉の中で、日本なんかではお金の話をするってあまりいいことじゃないのかもしれませんけれども、その辺はすごく考え方がはっきりしていて、里親をできる人は里親をする。それから、里親はできないんだけれども、余裕がある人は何か寄附みたいな形で、例えば施設に寄附をしたり、こういう団体に寄附をしたりというのが、社会全体でやっぱりこの里親制度であり社会福祉であり、子どものことを支えていこうというのがすごくはっきりしているなというのも感じました。
 きょうは日本の取材のことには全然触れられていないのですが、今、日本の里親制度をがんばっていらっしゃる方の取材もたくさんさせていただいて感じたのは、日本でも絶対できるはずだなと。よく家族観が違うとか、むこうはキリスト教だからというふうに言いますけれども、でも、実際に日本でやっている方のお話を聞かせていただいて、これは、日本でももっと根づいていくということは可能なんじゃないかなというような印象を強くいたしました。そういう意味で、アメリカが20年、30年、虐待の問題でも先に困って、日本も後を追って、里親の問題もたぶん20年、30年先に行っていますけれども、でも、こうやってアメリカの例を見ることによって、少しでも日本が20年、30年のおくれを取り戻して、日本でも里親制度が根づいていくことが可能なんじゃないかなという思いを強くいたしました。

○杉浦
 どうもありがとうございました。井上記者からアメリカの現状を報告していただきました。
 子どもの負担をできるだけ軽くするために、地域密着型の里親というところまで里親の考え方が進化しているというのに本当に驚いてしまいました。それも、やはり里親制度というのがしっかり定着していて、子どもの側から選べるほどたくさん里親がいらっしゃるということがあるからだと思うんですが、一方で日本の方では、年々、里親の数が減っているという現状があるわけですね。どうして日本では里親制度が広まっていかないのでしょうか。このあたりの理由を、先ほど基調講演をなさった庄司先生に ─ 庄司先生もご自身、里親登録をなさって、今お二人のお子さんを育てていらっしゃいますので、その庄司先生から、どうして日本では広まっていかないのか、そのあたりの事情をお伺いしたいと思います。

○庄司
 今、井上さん、日本でも根づいていくというお話でしたけれども、私自身は難しいのではないかなという感じも持っています。
 なぜ里親が広まっていかないのか、これには多くの理由があると思います。今、お話の中に出てきた宗教的な背景、子どもは神の子であって個人の子どもではない。だからいわば社会の子であって、それを育てるのは自然だという考え方もたぶんあると思いますし、他方、日本は血のつながりを重視するというのは、これは、現在、子どもができない方で、体外受精、人工受精を一生懸命やられる方が多い。それだけやはりわが子、自分の血のつながった子を育てたいという人が多いのではないのかと思います。
 それから、今は日本の子育てを象徴する言葉として育児不安という言葉がありますよね。育児不安に相当する言葉は、どうも外国にはないようです。「母親の不安」という言葉はあるのですが、これは心配性のお母さんだとか、うつ状態になったお母さんを指す言葉で、育児が大変という意味での育児不安という言葉はないようです。このことは、日本の現状をあらわしていると思うのです。
 それから、これは外国でも言われているのですが、女性の就労が増えると、やはり里親を募集するのがだんだん難しくなるのです。
 そういったことと、やっぱり里親という言葉の持つ重さといいますか、少し暗いイメージがあるのではないかとも思います。孤児と孤児院とか、そういったことと関連づけて理解されてしまいやすいのではないでしょうか。これからはいろいろな形の里親があっていいと思います。週末だけ預かるとか、あるいは平日だけ預かるとか、あるいは数日間だけ預かるとか、昼間だけ預かるとか、そういったことで里親のイメージが変わっていくといいと思います。
 それから、増えない理由の一つがさっきいった文化。これはあまり関係ないという意見もありましたが、もう一つが行政や、とくに児童相談所の姿勢の問題があると思います。これまで里親養育を優先してこなかったということがあるのではないか。それはやっぱりそうせざるを得ないような事情もあったのかとも思います。児童相談所が本当に多くのケースを抱えて、児童福祉司さんが忙しい。施設は一応入所させれば、あとは任せられるけれど、里親の場合には、その後もきめ細かく対応していかなければならないという問題があります。だから里親養育を進めるためには、先ほども言いましたが、本当に児童相談所を抜本的に改革しないと決してうまくいかないだろうという感じがします。
 それから、とくに今までは、実の親のいる子どもは里親に委託しないということが多かったと思うのですが、むしろ、これからは親がいても、この子には施設よりも里親さんの方がいいんだよということを、それこそ児童相談所のソーシャルワークを行って納得してもらうようなことも必要だと思います。少し話がそれますが、ビデオに出てきた里親さんはチームの一員である。そういった考え方を里親自身も持つ。今までは全部の苦労を里親一人が受けていたということもありますが、これからはそういった方向に変わっていくことが必要ではないかと思います。
 ただ、日本とアメリカを比べた場合に、アメリカがすべていいということではないと思います。日本はやっぱり長期にわが子として育てるということが多くて、それは子どもにとっては非常に意味のあることだと思うのです。アメリカでは短期間なのですが、その間にも里親家庭を転々とすることが多い。一つの家庭で過ごすという子どもの方が少ないぐらいなのです。ドリフト、漂流するといいますが、なぜそんなに里親家庭を転々とすることが多いのか。これはどういう事情かわかりません。それだけ難しい子どもをケアしているということもあると思いますが。日本のよさを大事にしながら、ただこれまでの抱え込み型から、言ってみればチームの一員としてというような形に変わる必要があるのではないか。それから、短期間だとか週末だけだとか、昼間だけとか、いろいろな形の形態をこれから考えてもいいのではないか。少し趣旨と違うかもしれませんが、そんなふうに思います。

○杉浦
 ありがとうございます。
 先生のお話を聞きながら思ったのですが、血がつながっている、つながっていないに関係なく、子育てというのは母親一人ではとてもできないし、核家族の両親だけでもとてもできないぐらい大変で、みんなの力をお借りしたいと思うのですが、そういうみんなの力を借りてというところでいいますと、行政の力というのは非常に大きいと思うんですね。東京都は養育家庭制度の充実等、社会的養護システムの転換を目指していて今後、制度の改正等も行う予定だというふうに聞いておりますが、飯塚さんから東京都の現状と問題点、それから今後、どういうふうな取り組みを進めていかれるのか、制度改正もあわせてお話しいただけますでしょうか。

○飯塚
 東京都の飯塚でございます。
 先ほどからお話があります養育家庭制度という言葉があるのですが、里親という古い概念の中で、養子縁組等から少し切り離して、一時的にご家庭で子どもを預かっていただくという養育家庭制度を、東京都は、昭和48年度に全国に先駆けて独自の制度としてつくっております。制度設立時の資料を今、私が読みましても、家庭的養護の重要性ですとか今日に通じる理念が強調されており、そうした制度を30年近く前に立ち上げたという当時の関係の方々の見識に頭が下がる思いなんでございますが、ただ、先ほどから庄司先生もご指摘されていますように、東京都において養育家庭里親さんの数というのは、ここ10年をとりましても横ばい状態でございます。具体的な数字で申し上げますと、平成12年度末で登録家庭が 294家庭、委託家庭が 154家庭、委託児童が211人ということで同時期、児童養護施設に入っているお子さんが2,854人ということですから、先ほどからのパーセントで出ているように、ちょうど東京都においても、全体の養護が必要な児童数の中で、養育家庭で生活しているお子さんは7%という数字になっております。
 2週間前に都政モニターの方 500人に対してインターネットでアンケートを行いました。「養育家庭の内容について知っていますか」という問いについて「知っている」という方は11%という数字が出ました。制度発足30年近くたつ中で養育家庭制度というのが十分な活用をされてきたか、都民の方々に十分知られているかという部分につきまして、行政の立場として非常に反省するところが多くございます。
 一方、今日の状況を見ますと、虐待をはじめとして、本来の家庭で生活できない、社会的な養護が必要になるという、そういった子どもの理由というのは非常に多様化しておりまして、また、いろいろ背景に複雑な家族関係等がございますので、集団生活を基本とする施設養護よりも家庭でのきめ細かいケア、安定した生活、そういったものが望ましい子どもというのは確実に増えてきております。さらに、ひとり親家庭さんで、親の傷病等で一時的に養育が困難で、しばらくの間、住み続けたこの地域の中で暮らしながら親の回復を待ちたい、学校等の問題もありますし、遠くの施設には行きたくないといったニーズも非常に多く出てきております。行政にとりましても、欧米の事例ですとか、あるいはこれまでお願いした先例等から見て、家庭的な養育は子どもの成長と安定に大変効果的である。何とか養育家庭里親をもっともっと活用していきたいというふうな思いが非常に強くありまして、そのために来年度から、先ほど杉浦アナウンサーからもお話がありましたが、養育家庭制度をさらに充実させていくという方針を固めまして、現在見直しの作業を進めているところです。
 見直しの内容なんですけれども、柱としては三点考えております。
 まず第一点として、養育家庭里親さんを増やしていくための方策を取り組みたい。そのために広報事業をもっともっと充実させたい。あるいは養育家庭さんの要件を緩和するですとか、バラエティーを増やしていきたいということを検討しています。
 それから、第二点として、数を増やすにもつながるのですが、やはり支援を充実させていきたい。その最大のところというのが、庄司先生からも厳しいご指摘をいただいている児童相談所の体制の強化ということをやっていきたいと考えております。それと同時に、支援の中には都民の方々の力も活用しながら、養育家庭里親さんの悩みに答える身近な場面での支援の仕組みというのをもう少しつくっていきたいということを考えています。
 それから、第三点として、養育家庭里親さんの力を高めていきたい。チームとしてというお話がありましたが、確かにこれから難しい子どもたち、いろいろな子どもたちをお願いしていく養育家庭里親さんたちの力というものを、私どもも高める努力をしていきたい。とくに研修の体系化ですとか、それから養育家庭さんたちに対する指導と申しますか、そういったことについてもさらに関わっていきたいというふうに考えております。
 なお、付随して申し上げますと、東京都が養育家庭制度を充実する、もっと広く言いますと、施設養護中心から家庭的養護中心に政策転換を図るということは、決して施設養護を否定するものではないと考えています。逆に施設の使命や存在意義はさらに重くなってきます。行政が児童相談所を初めとして、きちんとした下支えのシステムをつくった上で養育家庭と施設が補完しあう。それで子どものためにすぐれた社会的養護システムをつくりたいというのが現在の取り組みの基本的な考え方です。

○杉浦
 ありがとうございます。新しい取り組みの柱を中心に話していただきました。
 きょうは「親と暮らせない子どもたちのために〜私たちができること〜」ということで話し合いをしておりますが、私たちにできることは里親になることだけではないんですね。先ほどからアメリカでのお話もいろいろありまして、それぞれが自分にできることを考えてやっていらっしゃるということでしたけれども、里親制度が日本の社会で広がらない理由の一つに、ちょっと自分ができることとはマイナスの方向の力の作用の話をしたいと思うんですが、地域社会の無理解ということがあると思います。先日、坂本先生のところに伺ったときに、周囲の方々との摩擦で苦労されたこともあるというようなお話をちらっと伺いましたが、具体的にそれはどういうことなんでしょうか。坂本家のお子さんたちは皆さん、先生のお名前の坂本という姓を使って生活していらっしゃいます。そのあたりも関係しているのでしょうか。都民一人ひとりがどういうことができるのか教えてください。

○坂本
 かつては、うちに来た子どもの中には本名で学校に通った子どももおりました。そうした場合に、なぜ私どもと名前が違うのかというようなことが取りざたされて本人の負担になったというようなこともありました。そうした点については、福祉局から教育長名で各学校に通知を出していただいたりとか、里親会の活動や、あるいはセンターの中でもいろいろな工夫をして切り抜けてきていると思います。
 私は、きょうの役割は、この制度を論じるという立場ではなくて、この制度の中でいろいろな子どもたちとの出会いを経験させていただき、ぜひもっと里親が増えてほしいと、そういう気持ちからきょうの役割を引き受けさせていただいたわけですけれども、きょう、こうして会場に来ていただいているということは、やはりかなり意識の高い、そして、もしかしたら里親をやってみようかと思っている方が中にいらっしゃるのではないかというふうに期待しております。
 先ほどから申し上げているとおり、家庭でのいろいろなこと、怒ったり泣いたり笑ったり、食べたり寝たりという、そういうたわいもないことの積み重ねの中で、子どもは貴重なかけがえのないものを育んでいくというふうに確信しております。この家庭というものを川に例えますと、大きな川の流れがあって、そして一見、流れているのか流れていないのかわからないくらいたわいもない毎日なんですけれども、でも、そこに浮かんでいる船があって、そしてそこでボートを操縦している大人がいる。もしかしたら実子もいて船が進んでいるわけですが、そこに子どもが1人や2人さらに加わったところで別にボートが沈むわけでもないし、じゃ、1人ぐらいだったらできるかなというところで招き入れていただければありがたいなというふうに率直に思っております。うちみたいに6人もおりますと、ちょっと重くなってしまうのですが、でも、それでもそれはそれでまたすばらしい、子どもから教えられること、自分の限界というものもよくわかって自分自身が成長するということもあると思います。

○杉浦
 後ほど奥様からもいろいろ伺いたいと思っております。
 里親制度の充実が求められているという背景には、児童虐待の急増があるわけですよね。今週も愛知県で4歳の男の子が虐待で亡くなっていますし、痛ましい事件は本当に後を絶ちません。井上さんは児童虐待に関する取材も経験が豊富だというふうに伺っております。こうした事件の報道に携わるときに、井上さんご自身はどういう点に細心の注意を払って報道に携わっていらっしゃるのでしょうか。マスコミの責任ということについても、ちょっと大きなテーマですけれども、お願いします。

○井上
 マスコミの責任という言葉はすごく重い言葉なんですけれども、取材を通じて私がいつも思っていること、心がけたいと思っていることは、我々マスメディアというのは、どうしても表面的に起こった出来事を毎日毎日報道しています。あるところで虐待があって、お子さんが亡くなった。そういうことを毎日報道して、ともすればすごくセンセーショナルというか、わかりやすい部分だけに行ってしまうんですけれども、その物事の背景だとか、そういうことがなぜ起こってしまったのかという原因、それから、どうすればその子ども、あるいは家族を救えるかということに常に着目をしていきたいなというのが、私が心がけているところです。
 ただ、やっぱりこの問題、すごくプライバシーが関わってくる問題なので、取材をするのは簡単なことではありませんでした。虐待ということではなくて、今度は里親の取材のことなんですけれども、日本の里親家庭の方々も、実は取材をした中で、なかなか取材を受けていただける方がいらっしゃらない。東京都の方にもいろいろご相談をしたり何かしたんですけれども、なかなかいらっしゃらなくて、そんなに自分の家の中のことをカメラの前でしゃべったりさらしたりするというのは、やっぱり受けるのはなかなか勇気のいることだと思うんですけれども、最後に勇気を持って受けていただいた方がいて、そういう方のことを私たちは取材をして報道するわけですけれども、すごくたくさんの反響をいただきました。実際、自分もやってみたいという反響であったり、いろいろな反響をいただいたんです。百聞は一見に如かずじゃないですけれども、やっぱりそうやって、子どもの表情であり、その親子の関係であり、そういったことをカメラの前で見せていただいたことで「私もやってみようかな。そんなに難しいことじゃないんだな」と。難しい部分ももちろんあるんですけれども、でも、もしかしたら私もできるかもしれないし、自分もやっぱりそういう家族を築き上げていくという仕事をしてみたいというふうに感じてくださった方がたくさんいて、そこですごく「もしかして自分のやったことも少しは意味があるのかな」というふうに思いました。
 とはいっても、なかなか自分の家庭の中を見せていただくことなんていうのはすごく難しいことだとは思うんですけれども、やっぱりそういう取材を受けていただける方がいて、理想ですけれども、最終的には自分が里親であること、あるいは里子であるということがそんなに特別なことじゃなくて言える社会になればいいなと思います。実際、私が取材をさせていただいた方は、里親であること、里子なことを「それが何なの」ということで、とくに宣伝をするわけでもないですけれども地域でも学校でもとくに隠しもせず言っていて、それで里子さんであるということで、地域の人もみんなで面倒見ているというようなケースもありました。そんなに簡単なことじゃないとは思いますが、本当にそういう社会になるために、メディアがその一つの役割を担っていけたらいいなという思いです。

○杉浦
 庄司先生、里親制度をこれから広めていくために社会は何をすればよいのか。研究者のお立場からお願いいたします。

○庄司
 研究者の立場からと言われましたけれども、私も ─ 私といっても私の妻の方が大部分を担っているわけですが、里親をしています。里親をしていると言うと、大抵の人は「庄司さんって偉いですね」というような評価をされます。一部の人は、あからさまには言いませんが「変わっていますね」、そんな捉えられ方が感じられます。
 ただ、坂本先生もおっしゃいましたように、我々里親がしていることは、子どもを育てるという当たり前のことをしているだけなんですね。決して特別なことをしているわけではない。そんなふうに少し気楽に考えてほしいなと思います。社会としてということを考えた場合に、まず皆さんがたが、自分にできることはどんなことだろうということを考えてほしいし、それから里親制度に関心を持ってほしいと思います。それから、ここには少し高齢の方もおられるようですが、自分の子どもが里親をやると言ったときに反対しないでほしい。身内の人からの反対というのがやっぱり結構あるように思います。
 それから、やはり里親制度を広めるというときには、里親制度だけ考えていてもだめなんですね。今の世の中がもっと子育てをしやすい世の中に変わっていかないと、実際には里親制度も広まっていかない。子育てというのは大変なときもあるけれども、喜びも大きいし「大変だったら手伝うわよ」というようなことが感じられる世の中になってほしいなと思います。
 それから、里親さんに対しては、なぜ里親になったか、あるいは里親をどういうところから知ったかという調査をしたのですが、そのときには身近に里親がいたとか、あるいは大学や専門学校で聞いたとか、そういった直接、里親に関する話を聞いたことがあるということが意外に多いように思いました。そういった意味では里親さんも、もちろん子どもの内面に関するようなことはプライバシー、守秘義務ということがありますが、里親をやっているということは身近な人に語っていってほしいなと思います。

○杉浦
 ありがとうございました。
 里親について多くの方々に理解していただくためには、飯塚さんも先ほど、広報活動をこれから充実させていきたいとおっしゃっていましたけれども、本当に東京都の役割というのは重要ではないかと思います。さらにつけ加えることはありますか。

○飯塚
 パネリストの皆様方にも既におっしゃっていただいていますように、養育家庭制度の普及というのは、行政が制度をつくって終わり、予算をつけて終わりというものではなく、広く都民の方々に受け入れられて、すそ野としての広がりを持ってこそ強い力になるのだと思います。そういう意味で、養育家庭制度の発展・充実は行政の中や福祉の領域の中だけでの話ではなく、議会ですとか民間団体、都民の方々と連携・協力をしながら、いわば子育て文化を変えていくというか、児童福祉そのものを変えていくという広がりの中で考えていくべきものだというふうに思っています。ですから長く理念としては大切なこととしてうたわれてきた一人ひとりの子どものための処遇ですとか社会全体での子育てですとか、そういった言葉を具体的な形にしていくというのが養育家庭制度だと思っています。
 そうした中で、とくに私どもとしてここで申し上げたい行政の責任というか役割として、一つにはやはり養育家庭さん、それから養育家庭さんを支える人たち、そういった方々に対する支援というのをさらに深めていきたいということが一点と、同時に二点目として、やはり養育家庭さんに対する評価を高めたいといいますか、家庭的養護を、社会的養護のシステムの中で私どもがある意味では補完的に位置づけてきた、先ほど庄司先生もおっしゃったように「ちょっと変わっているわね」とか「偉いわね」というような、熱意ですとか善意に依存してきたという部分については反省をしながら、家庭的養護を大きな一つのパワーとして位置づけて社会的養護のシステムをつくっていきたいと考えていますので、どうぞよろしくご理解、ご協力をお願いいたします。

○杉浦
 ありがとうございます。
 では、ここで、会場にきょう、来てくださいました坂本先生の奥様にお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。洋子さんです。(拍手)
 これまでたくさんのお子さんを育ててこられて、喜びも悲しみもいろいろあったと思うんですけれども、喜びと苦しみとどっちが多かったですか。お子さんたちを前にしてなかなか言いづらいものもあるかもしれませんが。

○坂本洋子
 そうですね。正直に言えば苦しみが多かったですね。でも、その苦しみがいつの間にか、結局は何だか糧になっていたというか、自分の人生の栄養になっていて何かすごくふてぶてしいようですけれども、もう何があってもへっちゃらという、そういう感じになってきました。

○杉浦
 坂本先生のお宅にこられるまでに、このちっちゃなお子さんたち、いくつもの施設を転々としてこられた方もいらっしゃいますよね。こんな小さな体にしょい切れないくらいの体験をされていますよね。そういう一人ひとりのお子さんを見ておられて、どういうことを感じておられますか。

○坂本洋子
 さっき主人が「重い船」と言っていました。確かに時々、主人には重いんでしょうけれども、私はこの子たちと一緒に暮らしていると本当にいろいろなことを味わいます。それは、差別であったり区別であったりということもやっぱり身をもって感じることがあります。でも、それは今、私がいるから私がそれを感じるのであって、この子たちが社会に出たとき、これはこの子たちが感じることなんだと思うと、後がない子どもを育てているというふうに思いますと、もうそれが原動力になってここまでやってきたという感じですけれども。

○杉浦
 先ほどご主人様はなかなかおっしゃらなかったのですが、周りの方々におっしゃりたいことはどういうことでしょう。

○坂本洋子
 そうですね。やっぱりわかっていただきたいし、理解していただきたいし、温かい目で見ていただきたいなというふうに思います。
 ただ、先ほど井上さんがアメリカのようになれるとおっしゃって、庄司先生が無理じゃないかなとおっしゃったんですけれども、私は最前線にいるものとして言わせていただければ、この子たちを生で育てていて、やっぱり16年前と今と、世の中は変わりつつあるというふうに感じています。確かに16年前に本当に苦しい思いをして、自分の本名で生きてほしい、堂々と生きていってほしいと思って、結局、本名で通わせておりました。そのときひどい差別の嵐がありまして、結局、私たちは本名から私たち坂本の名前をかぶせて今は学校に行かせるという、そういう方法をとっていますけれども、その当時と今はやっぱり大分変わってきまして、この方は伝えて大丈夫だとか、言っても反応がいいとか、だんだんそういうふうに変わってきているということを私は手ごたえとして感じていますので、そういう意味では私はこの先に希望を託したいなと思います。
 実際、さっきからチームというお話も出ていましたけれども、きょうこちらに学生ボランティアの方なんですけれども、もう、うちは、ボランティアさんが何人か来てくださったりとか、それからこの子たちの学友のお母様たちが「何かあったら手伝いますよ」とお声をかけてくださったりとか、そういうふうになっていますので、そういうところにも私は期待したいなと思うので、皆さんもできることを本当に ─ ボランティアの方、酒井さんとおっしゃるんですけれどもね。こういう形で、何でもいいですからしていただきたいな、関わっていただきたい。優しく見守るだけでも、それは本当に私たちはありがたいです。

○杉浦
 それと、里親になられてご夫婦の関係というか、きずなというのはどういうふうに変わったのでしょうか。

○坂本洋子
 もう夫婦じゃないですね。(笑い)もう完璧に同士です。本当にいろいろなことを乗り越えてきましたから。この間もしみじみと「夫婦じゃないね、同士だね」と主人も言っていましたけれども、私も時々、女は脱ぎ捨てていますし、そういう性差も役割もなしで、本当にこの一つの目的に向かって、それだけで16年間やってきたので、皆さんのご家庭とはちょっと違うかもしれません。

○杉浦
 ただ、そういうふうになれない方も、踏みとどまっていらっしゃる方も多いと思うんですが、そういう方々に何かアドバイスはありますか。

○坂本洋子
 そうですね。私もやっぱり庄司先生じゃないですけれども「偉いですね」とか「本当に変わっているね」とか言われますし、また私も、さっき庄司先生がおっしゃったように、肉親からはやっぱり冷たい目で見られています。そういうものもありますけれども一歩ここへ入ってしまったら、これは私たちの問題ではありながら、この子たちの問題なんですね。この子たちを見ていたら、おのずと自分ができないと思ったことの幅がだんだん広がってくるんです。飛び込んでみてくだされば、その入り口も幅も容量も広がっていくというふうに、私は自分でやってみて思いますので、ぜひ遠慮やちゅうちょはなく、どうぞ試してみてください。(拍手)

○杉浦
 ありがとうございます。坂本洋子さんでした。
 ここからは会場の皆様のご質問、そしてご意見を伺いたいと思います。手を挙げてくださいましたら、マイクを持って職員の方がお手元に行ってくださいますのでどうぞ。ご遠慮なく、それこそ何でもおっしゃってください。

○質問1
 先ほど飯塚さんから、養育家庭の条件を緩めて、より広い人たちに参加してもらうというようなお話がございました。なかなか一人の方に、あるいは一つの家庭でお子さんを背負っていくというのは難しいですので、もちろん責任の所在ははっきりしないといけませんけれども、例えば地域に預けて複数の家庭で一人のお子さんを受け入れるというような、グループで養育するというような考え方を一つ検討していただけたらと思いますが、いかがでしょうか。

○飯塚
 たぶんご指摘の趣旨にあると思うのですが、わりと日本の福祉というのは非常に枠の制約があって、やる人とか主体とか、いろいろ制約があるんですけれども、今のご指摘のように、当然、責任の所在ですとかレベルですとかを行政もはっきりさせていかないといけないのですが、新しい福祉、新しい広がりというのは、私どもも今、模索しているところです。ご趣旨は本当にそのとおりだと思いますので、よろしくお願いします。

○杉浦
 庄司先生、今の方の、地域で、複数の家庭できっちり責任を持ちながら育てていくという考え方はどうですか。

○庄司
 どうなんでしょう。ちょっと何と答えていいかわからないんですが、とりあえずのところはだれかが里親になっていただいて、そのサポーターを確保しておくというような形ならば、今の仕組みにもなじみやすいのではないかと思います。

○杉浦
 ありがとうございました。
 ほかにはございませんか。

○質問2
 私、児童養護施設を運営している者でございまして、そして養育家庭センターも、昭和48年の発足時代からお引き受けをいたしている者でございます。その意味は、やはり家庭的養護をうんと、この日本の近代化のために広げていかなければならないという願いも込めながら、今まで努力もさせてきていただいた養育家庭センターの一員であるわけでございます。
 先ほど飯塚課長さんから、見直しということでの内容について、大変具体的にお話もいただいたのでありますけれども、私はとにかく前提として申し上げたいのは、こういう集会を持っていただいたことは大変によかったと思いますし、また本当にこれからも地域でも繰り返していく必要があるくらいに、少々の広報活動費を使っても、なかなか市民社会、都民の隅々まで行き渡るだなんていうことは非常に困難ではないのかということも感じている一人でございます。
 ただ、この見直しの中でお触れにならなかったのが、東京都の養育家庭制度の特色の一つは、施設が養育家庭センターを持って、そしていざというときにいつでも応援ができる、あるいはまた登録その他、細かいことについてもお世話申し上げられる。そしてまた、この養育家庭制度の普及・宣伝についてもお役に立つというふうなことで、大変努力もしてきたつもりでございますが、とてもじゃないけれども、欧米並みの水準にまだまだ行かないということでございます。
 ところが、この養育家庭制度の中の中核の一つである養育家庭センターを、この平成14年度、来年度から一応廃止をなさるということも都がお決めになられていらっしゃるということも伺っているわけでありまして、大きな発展のために、それもやむを得ないとするならば、先ほど庄司先生もご指摘をなさっていましたけれども、これを受ける受け皿としての児童相談所を整備をする必要がある。もっともっと整備していただく必要があると思います。

○杉浦
 どうもありがとうございます。ご質問の趣旨ですけれども、これからの見直しの中での養育家庭センターの位置づけと、児童相談所の改革をどういうふうにしていくのかというご質問の趣旨でよろしいでしょうか。

○質問2
 まだほかにもありますけれども、その辺のところをぜひご明示いただきたい。お願いいたします。

○杉浦
 飯塚さん、まず答えられる範囲で答えていただきましょうか。これからどんどんいろいろ具体的には詰めていかれるんだと思いますが。

○飯塚
 そうですね。ご指摘の趣旨として、先ほどからいろいろなところで言っている養育家庭制度の問題だけでなく東京都の児童福祉全体の問題、とくに児童相談所のあり方、区市町村との関係性、民間との関係性、そういったものを含めて、さまざまな問題があるということは十分理解して、これから取り組んでいくということは覚悟を決めております。

○杉浦
 養育家庭センターを設けたということは東京都の大きな特徴であると思いますし、これまで果たしてきた役割の大きさというのも皆さん重々ご承知だと思います。それをいい形で受け継いで発展させてもらいたいと思います。
 それでは、これまでの皆さんのご質問、ご意見を踏まえまして、パネリストの方々から本日参加されました皆さんへ、そして都民の皆さんへ、お一人でも里親を増やすためのアピールを含めて、もう時間が限られてきましたけれども、メッセージをお願いいたします。
 まずは庄司先生から。

○庄司
 家庭で育てられない子どもというのは必ず出てきます。ただ、施設養護中心という今の日本、あるいは東京の状況というのは健全な姿ではないと思いますので、少しずつでも里親を増やしてほしいと思います。ただ一方、現実には施設も必要ですし、施設では困難な状況の中で本当に努力をして子どもたちを育てています。施設への支援と理解もお願いしたいと思います。
 また、里親を増やすことも大事ですけれども、これまでの話に出てきました里親への研修と支援、これをぜひ充実させてほしいと思います。

○杉浦
 ありがとうございます。
 続いて井上さん、お願いします。

○井上
 私が取材をしたアメリカの話ばかりになってしまうのですが、里親制度の基本的な理念という部分で、常に子どもを中心に考える。子どもは自分が里親にいくのか、施設にいくのか、それぞれの子どもに一番合った環境で育てられる権利があるというふうな考え方でした。そういうふうな意味合いで、もちろん施設もそうですけれども、やっぱり子どもたちの選択肢が少しでも充実していくという意味で、里親制度がもっと日本でも成熟をしていくといいと思います。取材をしていて、やっぱり子どもの表情がすごく印象的でした。家庭に合っているお子さんだと、やっぱり家庭に入ると表情が全然違います。
 それから、取材させていただいた、3歳の頃からずっとその家庭で育てられた、ある里子さんの言っていた言葉ですごく印象的だったのが「自分には夢がある。その夢というのは、自分も将来家庭を持ったら、すごいあったかい家庭にすることはもちろんなんだけれども、自分も里親になりたいんだ」って、そのお子さんがおっしゃっていて、今、もう二十になる男の子なんですけれども、きっと彼も将来里親になっていくだろうな。そういうことがすごく私が取材していく中で、やっぱり自分もそうですけれども、親子であることがすごく当たり前で、何の努力もしないで親に悪態をついて、反抗期は親ともあまり話さないで、そうやって自分も育ってきました。そういう一方で、社会の中で親子であること、家族をつくることをこんなにも努力してやっている人たちがいるんだということを見て、すごくうらやましいっていう言い方が正しいのかどうかわかりませんけれども、こうやって家族であることにこれだけ一生懸命な人たちをすごくうらやましく思って、私も将来、自分自身家族を持って里親になれたらなと、実は今、思っております。(拍手)
 ありがとうございました。

○坂本
 今、井上さんも冒頭でおっしゃったように、子どもを中心にということだと思います。ニーズはあるわけです。それに私たちがどうこたえていくかということでありまして、子どものニーズにこたえていくというのがすべての基本でありますし、ぜひそうしていきたい。
  それから、愛情だけでは、熱意だけではだめで、研修や知識やさまざまなこと、それは当然必要なことですが、でもどっちが大事かという問題ではなくて、もう正に車の両輪で、子どもに促されて私たちはもっと開かれていかなければいけないというふうに思います。子どもの心に寄り添うって、言うのは簡単なんですが、それを日々行っていくということ。教育者とは、とかく言葉だけはきれいになって実際は伴わないということがありますので、ぜひ、私はこのことを自分の一生の仕事として行っていきたいと思っています。(拍手)

○飯塚
 非常に不幸な動機ではあるんですけれども、虐待防止法が施行され、社会全体で他人の子どもを育てる、あるいは他人の子どもも含めて考えていこうという基本的な方向に向き始めているんではないかというふうに感じています。そうした中で、一つの大きな子どもの選択肢としての養育家庭制度、本日、パネリストの先生方や会場の皆様からのご指摘等もしっかりと踏まえながら、一つの大きな制度として全力をもってつくり上げていこうと思っておりますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。 (拍手)

○杉浦
 どうもありがとうございました。
 児童憲章の中に「すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる」というふうに定められています。きょうみんなで話し合ってきました、この里親制度というのは、子どもたちだれもが当然、等しく受け取るべきもの、家庭での体験という、この当たり前のものを保障する制度だとつくづく思います。
 自分に何ができるのか。私はこの場で井上さんのように「私も里親に将来なります」とはちょっと断言できない部分がありまして、子育てをしながら働いていますと、もう1人だけでも精一杯、手一杯というところがあるんです。だけれども、自分に何ができるのかということをやっぱり考えざるを得ない。坂本家の6人のお子さんたちにこうやってじっと見られていまして、そのお子さんたちの顔を見ていると、自分だけのこととかわが子だけのことを考えていちゃいけないという当たり前のことに気づかされるんですよね。自分に何ができるのかということを考えていきたいし、やっていきたいと思っています。
 本日は皆様、長時間にわたってありがとうございます。パネリストの皆さんにもう一度拍手をお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

閉  会

○司会
 どうもありがとうございました。
 基調講演をお願いいたしました庄司先生、それからパネルディスカッションのコーディネーターをお願いいたしました杉浦さん、それからパネリストの皆さん、どうもありがとうございました。もう一度盛大な拍手をお願いいたします。(拍手)
 それでは、本日のシンポジウムはこれで終了させていただきます。出演者の皆様、どうもありがとうございました。(拍手)



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