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養護老人ホームのあり方について(提言)― 養護老人ホームあり方検討部会報告書 ―

  2 養護老人ホーム

(6)養護老人ホームに係る調査の実施
養護老人ホームの入所待機者及び入所者の実態を把握するため、下記調査を実施した。

〈1〉 調査の対象等
ア 養護老人ホーム施設入所者に関する調査
  • 調査対象 施設調査:都内養護老人ホーム 33施設
            利用者調査:都内養護老人ホーム入所者 4,127人
  • 調査方法 施設調査:施設に対するアンケート調査
            利用者調査:施設職員及び利用者本人に対するアンケート調査
  • 基準日  都立施設:平成15年6月1日
            民間施設:平成15年9月1日
  • 回答数  施設調査:33施設
            利用者調査:4,127人
 
イ 養護老人ホーム入所待機者実態調査
  • 調査対象 調査基準日現在の待機者
  • 調査方法 各区市町村に対するアンケート調査(概況調査)
  • 基準日  平成15年1月1日
  • 回答数  55区市町村(回収率88.7%)

ウ 東京都養護老人ホーム待機者調査
  • 調査対象 調査基準日現在の待機者
    平成15年1月〜12月末日までの新規の要入所判定者のうち、養護老人ホーム入所者・申請取下者
  • 調査方法 各区市町村に対するアンケート調査
    (待機者等の個々の状況について区市町村職員が回答)
  • 基準日  平成16年1月1日
  • 回答数  1,667件

 以下本章において、冒頭に【入】のある記述は、アの調査に基づく入所者についてのもの、同じく【待】のある記述は、ウの調査に基づく待機者等についてのものである。
〈2〉 主な調査結果

ア 基本属性


【入】 養護老人ホームの入所者の性別は、女性が57.0%を占め男性の40.9%を上回っている。

図2−6 入所者の性別













【入】 入所者の年齢は、入所時点では、「65〜69歳」(27.5%)、「70〜74歳」(25.8%)の人が多いが、一方、調査時点(都立:平成15年6月、民間:平成15年9月)では、「80〜84歳」(22.5%)、「75〜79歳」(22.2%)の人が多くなっており、入所者の平均年齢は79.1歳となっている。
図2−7 入所者の年齢

【待】 待機者の性別は、男性が55.7%を占め、女性の43.9%を上回っており、入所者の状況とは逆となっている。

図2−8 待機者の性別

【待】 年齢は「70〜74歳」が26.5%で最も多く、次いで「65〜69歳」(21.3%)、「75〜79歳」(20.0%)の順となっている。平均年齢は74.6歳である。

図2−9 待機者の年齢
















イ 要介護認定
【入】 養護老人ホーム入所者は、入所時点において、介護認定を受けていない人・申請中の人等が多数(84.1%)を占めているが、入所時点に要介護認定を受けていた人は11.6%おり、要支援(5.0%)や要介護1(4.8%)の軽度の要介護者が多い。
 一方、平成15年9月の時点では、要介護認定を受けている人は16.8%であり、要介護1以上の人が、全入所者の12.9%を占める。要介護4・要介護5の重度の要介護者も1.0%(43人)存在する。入所時点に比べ、認定者の割合が増加し、要介護度も悪化している。


 (表2−1) 入所者の要介護認定の状況
認定者数 内訳 認定受けていない・申請中・無回答 合計
要支援 要介護 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 自立・不明
入所時点 137 59 57 11 2 0 0 8 994 1,182
11.6% 5.0% 4.8% 0.9% 0.2% 0.0% 0.0% 0.7% 84.1% 100.0%
調査時点 694 73 266 163 65 30 13 84 3,433 4,127
16.8% 1.8% 6.4% 3.9% 1.6% 0.7% 0.3% 2.0% 83.2% 100.0%
  ※入所時点は、民間養護老人ホームの入所者のうち、介護保険制度施行後の入所者のみ集計


【待】 待機者については、要介護認定を受けている人が2割を超え、要介護1以上の人が全待機者の14.8%を占めている。

 (表2−2) 待機者の要介護認定の状況
認定者数 内訳 認定受けていない・申請中・無回答 合計
要支援 要介護 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 自立・不明
373 127 130 54 22 4 2 34 1,060 1,433
26.0% 8.9% 9.1% 3.8% 1.5% 0.3% 0.1% 2.4% 74.0% 100.0%
  

【入】 退所先では、各年度とも「死亡」が最も多く、その原因は「悪性新生物」(34.8%)、「心疾患」(17.4%)、「肺炎」(15.4%)の順となっている。養護老人ホームから「特別養護老人ホーム」への退所は、平成13年度が157人と最も多く、平成14年度は122人と減少している。

  (表2−3) 平成12年度〜14年度 退所先
平成12年度 平成13年度 平成14年度
件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比
合 計 497 100.0% 572 100.0% 511 100.0%
特養へ 134 27.0% 157 27.4% 122 23.9%
病院へ 88 17.7% 98 17.1% 83 16.2%
家族同居 14 2.8% 15 2.6% 15 2.9%
自立独居 30 6.0% 23 4.0% 25 4.9%
死 亡 195 39.2% 176 30.8% 201 39.3%
行方不明 11 2.2% 8 1.4% 10 2.0%
その他 25 5.0% 95 16.6% 55 10.8%

 図2−10 入所者の年度別の退所先
    
  (表2−4) 死亡退所者の原因(平成14年度) 
死亡原因
合計 201 ( 100.0% )
悪性新生物 70 ( 34.8% )
心疾患 35 ( 17.4% )
肺炎 31 ( 15.4% )
脳血管疾患 15 ( 7.5% )
呼吸器疾患 12 ( 6.0% )
泌尿器疾患 6 ( 3.0% )
血管疾患 3 ( 1.5% )
消化器疾患 3 ( 1.5% )
その他 17 ( 8.4% )
無回答 9 ( 4.5% )


ウ 経済状況
 
【入】 養護老人ホーム入所者のうち、入所当時、生活保護を受給していた人は、全入所者の36.4%を占めている。
 また、全入所者の33.7%が、費用徴収0円(対象収入年額27万円以下)である。
(参考:費用徴収0円の全国平均 22.9%※)
※資料:社会福祉施設等調査(平成14年10月1日現在)

【入】 一方、本人収入が年150万円を超える人は、226人、5.5%存在している。

図2−11 入所者の生活保護の受給

 (表2−5)費用徴収階層区分別人数(入所者本人分)
対象収入年額 徴収月額 人数 構成比 累積
0〜 27万円            0円 1,391 33.7% 33.7%
〜 30万円 1,000 〜  1,800円 54 1.3% 35.0%
〜 40万円 3,400 〜  9,100円 284 6.9% 41.9%
〜 50万円 10,800 〜  17,500円 269 6.5% 48.4%
〜 60万円 19,100 〜  25,800円 189 4.6% 53.0%
〜 80万円 27,500 〜  39,800円 327 7.9% 60.9%
〜100万円 41,800 〜  49,800円 325 7.9% 68.8%
〜120万円 51,800 〜  62,400円 219 5.3% 74.1%
〜150万円 65,100 〜  81,100円 223 5.4% 79.5%
150万円超 150万円超過×0.9÷12月
+81,100円
226 5.5% 85.0%
無回答 620 15.0% 100.0%
合計 4,127 100.0%

 
【待】 待機者については、年金・恩給・その他収入等の本人収入が無い人が48.2%、
生活保護受給世帯が57.9%と、経済的に厳しい状況にある。
図2−12 待機者の本人収入

図2−13 待機者の世帯状況


エ 家族等の状況

【入】 入所時点に独居(ひとり暮らし)の入所者は約6割を占めている。
 調査時点において、配偶者のいない入所者が9割、子供のいない入所者は6割、配偶者も子供も両方いない入所者が6割と、身寄りのない入所者が多い。
 また、入所者の中で、民法上の後見人等の後見的役割を持っている人が「有」の人が2割、「無」の人は5割を占めている。

図2−14 入所時同居者の有無

図2−15 入所者の配偶者・子どもの有無




















図2−16 入所者の配偶者・子どもの有無
図2−17 入所者の後見的役割を持っている人の有無

【待】 待機者についても、配偶者のいない高齢者が9割、子供のいない高齢者が6割、配偶者も子供も両方いない高齢者が6割を占めている。
 また、待機者の中で、民法上の後見人等の後見的役割をもっている人が「有」の人が14.2%、「無」の人は78.9%となっている。
 家族・親族との人間関係に「問題あり」は3割弱となっている。
図2−18 待機者の配偶者・子供の有無

図2−19 待機者の配偶者・子供の有無

図2−20 待機者の後見的役割をもっている人の有無

図2−21 待機者の家族・親族との人間関係





















オ 精神障害の状況

【入】 養護老人ホーム入所者のうち、精神障害に該当する人は15.1%であるが、その内訳は、「統合失調症」、「そううつ病」の二つの疾患で6割を占める。
図2−22 入所者の精神障害の状況
図2−23 入所者の精神障害の内訳
【待】 一方、待機者のうち、精神障害に該当する人は21.9%で、その内訳は、「統合失調症」が39.2%と最も多く、次いで「そううつ病」となっており、入所者と比較すると「アルコール依存症」の割合の高いことが目立つ。
図2−24 待機者の精神障害の状況
図2−25 待機者の精神障害の内訳



















カ 住宅の状況

【入】 養護老人ホーム入所者の入所前の居住場所は、「自宅」が持ち家と賃貸を合わせて4割を超えている。「病院」、「更生施設」、「一時保護所」は、それぞれ1割未満である。
図2−26 入所者の週所前の居住場所

【入】 男女別に見ると、女性は「自宅(賃貸)」が半数近くを占めているのに対し、男性は「更生施設」や「一時保護所」の占める割合が比較的高く、男性に不安定な住環境の人が多かったことを示している。

図2−27 入所者の入居前の居住場所

【待】 待機者の判定時の居住場所は、「持ち家」「公営住宅」「その他賃貸住宅」を合わせると約45%であるが、「宿泊所」「一時保護所」等の高齢者が約50%となっている。

図2−28 判定時の居住場所

【待】 男女別に見ると、男性は「宿泊所」「病院」「その他保護施設」で57.5%を占め、一方の女性は「その他賃貸住宅」が最も高く、次いで「公営住宅」、「持ち家」の順となっている。
図2−29 待機者の判定時の居住場所(男女別)


















キ 待機者及び入所の状況

【待】 現行の措置基準に基づく養護老人ホーム入所待機者の状況をみると、平成15年1月から12月までの1年間に新たに入所判定にかけた697件のうち、入所判定委員会等で要入所と判定されたのは681件(97.7%)である。
 平成15年1月から12月までに養護老人ホームへの入所措置者は437人であり、その内訳は平成14年以前に判定を受けた人が230人(52.6%)、平成15年1月から12月に判定を受けた人が205人(46.9%)、緊急措置した人が2人(0.5%)となっている。

(表2−6) 1年間(平成15年1月〜12月)の新規入所判定者数
合計 要入所判定 却下
697 100% 681 97.7% 16 2.3%
性別無回答の6人を除く

(表2−7) 1年間(平成15年1月〜12月)の入所措置件数
合計 14年以前に判定を
受けた者
(15.1.1現在待機者)
15年中に判定を
受けた者
(新規待機者)
判定前に措置
(16年度に
事後判定)
437 100% 230 52.6% 205 46.9% 2 0.5%


【待】 平成16年1月1日現在の入所待機者の措置決定の理由(複数回答)としては、「住居がないか環境が劣悪である」が半数以上であり、「一部介助項目該当かつ養護者なし」が約2割である。

図2−30 措置決定の理由

【待】 入所待機者の、調査基準日時点での入所待機期間を見ると、3年以上の人が全体の32.0%を占め、5年以上の人も17.7%存在している。
 待機期間の長期化の理由は、施設の「空きがなく順番まち」が5割以上を占めるが、「まだ入所を急いでいない」も2割近く存在している。
 また、入所を希望する施設について、「入所できればどこでもよい」が4割以上を占めるものの、「特定の施設を希望」している人も3割を超え、「特定地域の施設」への入所を希望する人と合わせると、半数以上を占める。

図2−31 待機期間
図2−32 待機理由














図2−33 入所希望施設













ク 地域生活の可能性

【入】 地域で自立した生活を送ることが可能かどうかについては、「困難だと思う」が55.3%と過半数を占めた。一方「可能であると思う」は27.1%、「ホームで指導(支援)を行えば可能と思う」が15.3%と、自立可能な人も少なくないことを示した。(回答者:施設職員)

図2−34 入所者の地域での自立生活の可能性

【待】 養護老人ホーム以外で、地域で生活することの可能性については、「養護老人ホームの支援が必要である」29.6%が最も多い。しかし、「住まい」や「在宅サービス」、あるいは、その両方が確保されれば地域で暮らしていけるとの回答の合計が過半数を占めており、潜在的には地域生活の可能性も大きいことがうかがえる。(回答者:区市町村職員)

図2−35 待機者の地域での生活の可能性

ケ 将来のことについての職員との話し合い

【入】 生活の目標や計画、将来のことについて、職員と話しあったことが「ある」人は19.0%で、52.9%の人が「ない」と回答している。

図2−36 将来についての話し合い
















コ 施設長等の意見

【入】 施設入所者に関する調査に合わせて、養護老人ホームの施設長や、支援の現場にある養護係長等に、養護老人ホームの現況等について意見を求めた。
 主な回答としては
  •  要介護高齢者が増えているにもかかわらず、特別養護老人ホーム等への移行は難しい状況にある。
  •  虚弱高齢者の増加により通院の付き添いといった援助が必要になってきている。
  •  痴呆等の精神疾患のある人やホームレス等の受け入れ増加に伴い、処遇が容易でない事例が増えている。
 等の意見があがった。 



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