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養護老人ホームのあり方について(提言)― 養護老人ホームあり方検討部会報告書 ―

  3 養護老人ホーム入所のあり方

(1)大都市における措置施設の必要性
 都内の養護老人ホームの過去5年間の推移をみると、退所者数が入所者数を上回り、入所者数は、平均して毎年40余人減少している。さらに、待機者数についても、過去5年間減少している状況がみられる。

 待機者は平成10年度の2,970人をピークとして減少が続いているが、減少幅は徐々に小さくなってきている。また、東京には大都市特有の社会問題であるホームレス問題がある。

 東京23区内の路上生活者数は5,496人(平成15年8月調査)である。ホームレスについて、路上生活者緊急一時保護センターの利用状況をみると、60歳以上の高齢者が年間で約600人入所している(開設時から平成15年12月までの60歳以上入所者の累計は1,114人。内訳は大田寮が約2年1ヶ月で981人、板橋寮が約9ヶ月で133人)。
  • ※緊急一時保護センター:都と特別区が設立している施設で、ホームレスを一時的に保護し、心身機能の回復を図るとともに、自立に向けた処遇のためのアセスメントを行い、以後の自立支援プログラムにつなぐことを目的としている。
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 また、宿泊所利用者4,283人(平成15年10月「宿泊所実態調査」。回答:43ヶ所)を調査したところ、生活保護受給者が8割、利用者全体の約5割が60歳以上であった。このように東京においては、将来的に養護老人ホームの支援が必要となる可能性の高い、住所がない、あるいは明らかでない、高齢のホームレスが多数存在している。
  • ※宿泊所:社会福祉法第2条第3項第8号に規定された第二種社会福祉事業として、生計困難者のために、無料又は低額な料金で利用させる施設。
 都は、ホームレスへの対策として、就労自立を支援するためのシステムの構築を進めてきているが、劣悪な環境で心身機能が摩耗し、また就労も困難な高齢者ホームレスについては、養護老人ホームへの入所が、身の回りの生活で必要なことをできる限り自分で行う、という意味での自立を支援する重要な手段となる。

 これらの人については、本人等の申し出を待つよりも、行政機関が的確にニーズを把握し、迅速に対応すべきである。養護老人ホームへの入所はこうした対応策の一つであり、行政の関与のもと、必要に応じて行うことが本人の保護に資する。精神疾患を抱えている場合などは、この必要性がより一層増すことになる。

 このほかにも、養護老人ホームを取りまく社会の変化として、平均寿命(0歳時の平均余命)の伸び(図3-1参照)や、ひとり暮らし、あるいは高齢者のみの世帯の増加(図3-2参照)、家族や地域の「養護」機能の弱体化等があげられる。

 こうした状況を考慮すると、養護老人ホームについては、引き続き、公的な責任に基づく「措置制度」による施設として運営することが適当である。その上で、制度運営をより適正で効果的なものにできるよう、入所基準と施設におけるケアのあり方及び介護保険等他施策との関係を見直す必要がある。

図3−1 全国と東京都の平均寿命の推移
出典:「東京都生命表」(東京都総務局)
図3−2 高齢者のみの世帯数の推移
出典:「高齢者の生活実態 東京都社会福祉基礎調査」(東京都福祉局)



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