防災のことを考えてみませんか


知的障害のある方のための災害時初動行動マニュアル



このマニュアルは、知的障害のある方が大災害に備え、どんな行動をとれば良いかをまとめたものです。


目次

1 大きな地震が起こると・・・

2 災害への備え

3 家族の方へ

4 災害(地震)が起きたら

5 避難所での生活について

6 支援してくださる方へお願いしたいこと



1 大きな地震が起こると・・・



家や建物・道路が壊れたり、火事が起きたりします。

イラストの説明:
家が揺れていて、屋根が燃えているイラストが描かれています。


私たちの生活もこんなことに困ります。

・電車が動かない。
・電気やガス、水道が使えない。
・家族や友人と連絡がとれない。
・次にいつ地震がくるか心配。

イラストの説明:
電車や水道、カサの付いた電灯、携帯電話などのイラストにバツじるしが描かれています。

大きな地震がきても自分の身を守れるように、地震が起きたときにどうすれば良いか、しっかりと準備しておくことが大切です。



2 災害への備え



●備蓄品や非常持出用品を用意しておきましょう。
 ※備蓄品:大地震のとき、困らないように用意しておく食べ物や水のこと。2〜3日分
 ※非常持出用品:避難するときに持っていく物のこと。

●家族や職場、支援者の人などと、連絡方法や避難場所を決めて、確認しておきましょう。

●ヘルプカードや防災カードに必要なことを書き、日頃から携帯しておきましょう。

イラスト説明:
東京都が推奨する標準様式のヘルプカードのイラストです。
ヘルプカードという文字の上に、「あなたの支援が必要です」と書かれています。
その右横には赤い四角の中に十字マークとハートマークが白抜きで縦に並んで描かれています。

 ヘルプカードは、災害時や緊急時などに、周りの人に手助けをお願いするためのカードです。

 ヘルプカードや防災カードに書いておくと良いこと。
 ・あなたの情報(名前、生年月日、住所、緊急連絡先、飲んでいるお薬、手伝ってほしいこと、苦手なことなど)
 ・職場や相談機関の連絡先
 ・話をするのが苦手な人は、「安全な所まで連れていってください。」「私が無事でいることを家族へ連絡してください。」と書いておきましょう。



3 家族の方へ



●災害への備えなど、本人だけで難しい場合は、一緒に準備しましょう。
服用している薬があれば、3日分程度、予備に用意しておきましょう。

●自宅近くの二次避難所(福祉避難所)を確認しておきましょう。

●日頃から地域との交流があると、いざという時に周囲から協力をしてもらえるなど、安心です。
 ・あらかじめ、近隣の人に支援が必要なことを伝えておきましょう。
 ・支援者がいる場合は、災害発生時の協力や連絡方法を確認しておきましょう。
 ・区市町村で行っている「災害時要援護者名簿」に登録しておきましょう。
事前に登録しておくと、災害発生時に支援を受けることができます。
 ・地域での防災訓練に参加しておくことも大切です。

イラストの説明:
買い物から帰ってきたらしい近所の方に、お父さんと子供が笑顔であいさつしている様子が描かれています。



4 災害(地震)が起きたら



@自分の身体を守りましょう。
建物の中では、いろいろなものが倒れてくるので、テーブルや机のしたにもぐりましょう。
外では、塀や電柱・自動販売機などは倒れてくる危険があるため、そばから離れましょう。

A落ち着いて行動しましょう。
人を押したり、走ったり、あわてて移動しないようにしましょう。

B困ったときは、周りにいる人に聞いて、助けてもらいましょう。
ヘルプカードなどを見せて、困っていることを伝えましょう。
身動きができないときは、緊急用ホイッスルやブザーを鳴らす、物を叩くなど音を出して、周りに知らせましょう。

●家にいるとき
家族の人と一緒に行動するようにしましょう。
一人暮らしの場合は、
@テレビやラジオで状況を確認しましょう。
A緊急連絡先や相談機関へ連絡しましょう。

イラスト説明:
イスがあちこちに向いて散らばっています。お父さんと子供がテーブルの下にもぐり、その脚にしがみついて避難している様子が描かれています。


●学校や職場、作業所などにいるとき
先生や職員、会社の指示をよく聞きましょう。
すぐに家へ帰れないときは、学校や職場に泊ることもあります。

イラスト説明:
ヘルメットをかぶり、メガフォンを持ったひとがいます。
3人のヘルメットをかぶった人たちに向かって、指示をしたり、アナウンスをしている様子が描かれています。


●駅にいるとき
電車やバスが動かなくなってしまうことがあります。
駅員や周りにいる人に、ヘルプカードなどを見せて、状況を教えてもらいましょう。
むやみに動かず、安全な所へ避難できるまで待ちましょう。
エレベーターは使わないようにしましょう。

イラスト説明:
ホームに知的障害の方がいます。
「さきほど発生した地震により、現在全線不通となっております」とアナウンスが流れています。
何を言っているのかわからず、困っている様子が描かれています。


●お店にいるとき
店員や周りにいる人にヘルプカードなどを見せて、状況を教えてもらいましょう。
むやみに動かず、安全な所へ避難できるまで待ちましょう。
エレベーターは使わないようにしましょう。

イラスト説明:
スーパーマーケットに知的障害の方がいます。
お店の人がヘルメットをかぶり、キャベツやかぼちゃなどの散らばった野菜をほうきで片付けています。
知的障害の方がヘルプカードを出して指示を仰ごうとしている様子が描かれています。


●外にいるとき
周りにいる人に、ヘルプカードなどを見せて、安全なところへ連れて行ってもらいましょう。


災害時帰宅支援ステーションの紹介

イラスト説明:
黄色の四角いステッカーに、青のハート型の顔が歩いているイラストが描かれています。
「災害時には、徒歩帰宅する皆様を支援します」と書かれています。
「災害時帰宅支援ステーション」のロゴが入っています。

このようなマークが貼ってある所は、水道やトイレを貸してくれたり、地図やラジオでの情報を教えてくれます。



5 避難所での生活について



自宅で生活することが難しい場合、避難所で生活することになります。

*ワンポイントアドバイス:
えんぴつに手足がついたイラストが描かれています。
「自分の地域の避難場所はわかりますか?確認しておきましょう」

●放送や掲示板の内容など、状況がわからないときは、避難所のスタッフや周りにいる人にヘルプカードなどを見せて、教えてもらいましょう。

●近所の人たちと一緒に生活をするため、決められたルールを守りましょう。

●体調が悪かったり、落ち着かないときは、我慢せずに避難所のスタッフに相談しましょう。

イラスト説明:
敷物の上に大勢の人たちが座っています。
知的障害の方とその家族が座って話しをしています。
その周囲には、泣いている赤ちゃんを抱っこして困っている女性や、ケガをしている人、おじいさんとおばあさんがどうしたものかと困り果てた表情で座っています。
子供がはしゃぎながらその人たちの近くを走り回っている様子が描かれています。



6 支援をしてくださる方へお願いしたいこと



*ワンポイントアドバイス:困ったときは、このページを周りにいる人に見せて、助けてもらいましょう。

●本人がヘルプカードや防災カードを持っている場合は、内容を確認して対応してください。

●本人へ声をかけるとき
コミュニケーションを上手にとることが苦手なことがあります。
やさしく落ち着いた声で、「具体的に」「ゆっくりと」話してください。
できるだけ肯定的な表現で伝えてください。
例:走っちゃだめ→ゆっくり歩こう
  危ない所に行かないで→安全な所に行こう

絵や図、メモなどを用いて、相手がどのように理解しているかを確かめながら話すことが大切です。

●移動(誘導)するとき
具体的に、「ここにいるとけがをするので、避難所へ行こう。私の横を歩いてきてください。」などと伝えてください。
緊急時は安全の確保を優先し、手を引くか、肩に軽く手をかけてゆっくりと誘導してください。
触れられるのが苦手な人もいます。
その場合は、身振り(両手でマルやバツを作る、避難する方向を指さすなど)で伝えてみてください。

●避難先にいるとき
環境が変わることが苦手なこともあります。
物や行動にこだわっていたり、一見「不審」と思われる行動も、自分を落ち着かせようとその人なりに不安や恐怖に対処しています。
無理に行動を止めるのではなく、見守ってください。



※災害時要援護支援に関する制度等については、お住まいの区市町村にお問合わせください。


作成:東京都心身障害者福祉センター
郵便番号 162-0823
東京都新宿区神楽河岸1番1号 セントラルプラザ
電話 03-3235-2952


平成25年3月発行


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