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コンタミネーション防止対策
洗浄によるアレルゲンの残留実験を行いました

平成28年3月

コンタミネーションとは、「食品を生産・製造する工程で、原材料として使用していないアレルギー物質が微量に混入してしまうこと、意図せぬ混入」という意味です。
多くの給食施設では、一般食と食物アレルギー対応食が同一の調理場内作られており、調理施設や調理器具を介した食物アレルギー原因物質(アレルゲン)のコンタミネーション防止対策が必要です。

今回、東京都多摩立川保健所で洗浄によるアレゲンの残留実験を行いましたので、一般の調理施設でできるコンタミネーション防止対策について食品衛生の視点から考えてみましょう。
 

1 給食調理施設の現状

給食施設でのアレルギー原因物質(アレルゲン)のコンタミネーション防止対策は、アレルギー対応食用に完全区画した専用の調理室で、専従の調理従事者が調理を行うことが望ましいですが、実際には困難です。
多くの給食施設では、食物アレルギー対応食と非対応食が同一の調理場内で作られており、日常的な作業の中で、それぞれの施設の状況に合わせて、以下のような対応を行っています。

     
  1. 専用の調理器具を使用する。 
  2. 同一のフロアであっても調理場所や調理時間帯をわける。 
  3. 専従の調理従事者により調理を行う。
 

各施設での対策方法は様々ですが、今回は、アレルゲンを残さないための洗浄方法について実験してみました。

2 給食施設の実態調査

どのような場所にアレルゲンが残っているの?

【保育園給食施設内のアレルゲン及びたんぱく質ふき取り検査

多摩立川保健所管内の保育園11園においてふき取り検査を実施し、食器具等8か所(アレルギー対応食用食器、一般食器、作業台、スプーン、レードル、冷蔵庫取手、シンク蛇口取手、児童食事机)の表面に残ったアレルゲン(卵、乳、小麦)及び12か所(上記8か所に加えて消毒液ポンプ、ゴム前掛け、調味料取手、包丁取手の4か所)のたんぱく質の残留状況を確認をしました。なお、全てのふき取り検査は一日の調理作業が終了し、全ての洗浄が終了した後に行いました。

 検査の結果、上記8か所のうち、作業台、スプーン、冷蔵庫取手、シンク蛇口取手、児童食事机の5か所から卵・乳・小麦の何らかのアレルゲンが検出されており、特に乳アレルゲンの残存が多く確認されました。また、調理室の中では上記12か所のうち、スプーンを除く11か所からたんぱく質の残留が確認できました。

※たんぱく質ふき取り検査:アレルゲンの指標として検査しています。洗浄が十分でないなど、たんぱく質が残留していると、アレルゲンも残留している可能性が示唆されます。

3 洗浄によるアレルゲン除去実験

有効な洗浄方法は??

アレルゲンを除去するための有効な洗浄方法について考えるため、洗浄剤の違いや水温の違いなど、いくつかの条件設定により、洗浄によるアレルゲン除去実験を行いました。

【洗浄実験方法】

新品のステンレスボウルの半分に紙やすりで細かい傷をつけ、牛乳・卵・小麦粉を混ぜたものを注ぎ、一定時間静置した後に洗浄(中性洗剤、アルカリ性洗剤)しました。洗浄には、温水、常温水、冷水を用い、漬け込みによる違いも設定しました。洗浄後、専用のキットにより【乳】、【卵】、【小麦】アレルゲンを確認するためののふき取り検査を実施しました。(実験の詳細はこちら 使用器具一覧(PDF:81KB)、洗浄方法によるアレルゲンの残留実験フロー(PDF:168KB))

【結果】

洗浄方法により、アレルゲンの除去効果の違いがみられました。

     
  • 中性洗剤と比較すると弱アルカリ性洗剤の方が除去効果が高かった。 
  • 弱アルカリ性洗剤を使用し30分程度の漬け置きをした場合、
    漬け置きをしない場合より高い除去効果が得られた。 
  • 水温は、常温から40度前後で除去効果が高く、冷水では低かった。 
  • スポンジよりも不織布での洗浄で高い除去効果が得られた。 
  • 不織布で複数回洗浄することでより高い除去効果が得られた。

これらを組み合わせることにより、さらにアレルゲンの除去の効果が上がると考えられます。しかし、除去効果は洗浄する人の力の加減などで異なるため、完全にアレルゲンを除去できるとは限りません。
使用した調理器具を放置せず漬け置き洗浄することは、除去効果を上げるポイントと言えます。

★実験結果は、洗浄の際の参考にしてください。ただし、完全な除去は困難であることもご理解ください。 

図 
 ※洗浄による除去効果
  ◎:より高い除去効果が認められた
  ○:除去効果が認められた
  △:やや除去効果がみとめられた
  ×:除去効果なし
  注)実験上の結果であるため、◎や○であっても完全除去できるとは限りません。

 ※水温:40℃(温水)、24℃(常温)、2℃(冷水)で実験しました。

4 アレルギー対応食調理のポイント

アレルギー原因物質のコンタミネーション防止対策は、アレルギー対応と非対応の施設を完全に分けることが望ましいですが、施設を分けることのできない調理場では、以下に注意し調理することで、完全ではありませんが、アレルゲンの残存を軽減できます。

  1.  アレルギー対応食を先に調理する。
  2.  アレルギー対応食と非対応食の食器具、調理器具を完全に分ける。
  3.  施設内の清掃、食器具類の洗浄を徹底する。
        弱アルカリ性洗剤を入れた温水で30分程度漬け置いてから洗浄する。
       (※完全に除去できるものではありません。)

多摩立川保健所が実施した小麦粉の飛散実験と牛乳の洗浄実験の結果を基に講習会用リーフレット「給食施設における食物アレルギー事故防止対策〜コンタミネーションを防ぐには〜」(358KB)を作成しました。コンタミネーション(食物アレルギー原因物質の意図せぬ混入)を防ぎ、安全で安心な食事の提供に役立ててください。

参考文献

  1. 食物アレルギー防止対策の推進について(第9回東京都福祉保健医療学会(平成25年度)抄録)

このページは東京都福祉保健局 健康安全研究センター 企画調整部 健康危機管理情報課 食品医薬品情報担当が管理しています。