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報告書等
2009年9月30日 食肉の生食による食中毒防止のための効果的な普及啓発の検討(最終報告)
2009年7月30日 食肉の生食による食中毒防止のための効果的な普及啓発の検討(中間とりまとめ)
2007年3月29日 調理従事者を介したノロウイルス食中毒の情報に関する検討
2006年3月29日 「健康食品」の安全性に係る情報の検討
2004年7月9日 食品安全に関するリスクコミュニケーションの事例検討〜国が公表した「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項」について〜
2004年7月9日 カンピロバクター食中毒の発生を低減させるために〜正しい理解でおいしく食べる〜

食肉の生食による食中毒防止のための効果的な普及啓発の検討(最終報告)

2009年9月30日

全文はこちらからご覧ください(印刷用)


【概要】

 近年、鶏刺し、とりわさ、牛レバ刺しなど食肉を生で食べたことが原因の食中毒が多く発生している。
 そこで、東京都食品安全情報評価委員会は、都内の消費者及び事業者の行動実態調査等から食肉の生食に関する実態を把握し、その結果と食肉の生食が原因の食中毒の発生状況を踏まえて、食肉の生食による食中毒防止のためのより効果的な普及啓発の方策を検討し、報告書に取りまとめた。
 なお、検討の対象とする食肉の種類は、内臓肉を含む「鶏肉」及び「牛肉」とした。


1 食肉を生で食べることが原因の食中毒の発生状況

  • カンピロバクターによる食中毒は増加傾向にあり、都において平成20年の病因物質別食中毒発生件数は、ノロウイルスを上回って42件と第1位
  • カンピロバクターと腸管出血性大腸菌による食中毒の多くが、生や半生の食肉を食べたことが発生要因
  • 平成18年、19年に都内で発生したカンピロバクター食中毒の患者は、20代、30代が合わせて7割
  • カンピロバクター腸炎で都市立感染症指定医療機関(13都市16医療機関)に入院した患者の年齢分布は、20代以下が多かった(感染性腸炎研究会まとめ)。
  • 腸管出血性大腸菌感染症患者で、急性腎不全、意識障害等の症状を起こす「溶血性尿毒症症候群(HUS)」を発症したのは、9歳以下の子どもが多かった(国立感染症研究所まとめ)。
  • カンピロバクターによる食中毒の後、手足の麻ひ等の症状を起こす「ギラン・バレー症候群」を発症することがある。


2 【消費者】 食肉を生で食べることに関する行動実態と課題

 年齢分布を考慮した20歳以上の都民1,000人を対象とする「Webアンケート調査」と、9歳以下の子どもを持つ人や20代男性など18名を対象とした「グループインタビュー調査」とを実施した。


(1)食肉を生で食べる行動実態

  • 直近3ヶ月以内に、ユッケ、牛肉のたたき、とりわさ、牛レバ刺しなど「食肉を生で食べた」人は403人(40%)
  • 年代別では若い年代ほど食べている割合が高く、20代は105人(53%)、30代は118人(47%)が食肉を生で食べていた。
  • 親と一緒に「子どもが食肉を生で食べている」との回答もあった。

(2)食中毒に関する知識

  • 「鮮度の良い食肉であっても、生で食べると食中毒が起こる可能性がある」ことを「初めて聞いた」人は440人(44%)
  • 流通する鶏肉の食中毒菌の汚染率を「初めて聞いた」人は669人(67%)
  • 「食肉の生食が原因と推定される食中毒が多発している」ことを「初めて聞いた」人は763人(76%)

(3)行動の変化が起こる可能性

  • 食肉の生食が原因と考えられる体調不良を起こした人全員が、その後も食肉を生で食べていた。
  • アンケートを通じて生食のリスク情報を知った後でも、669人(67%)の人が「今後も食肉を生で食べる」と回答
  • リスク情報を知った後で、「子どもには勧めないようにしたい」という回答もあった。

(4)課題

  • 消費者は、食肉の生食による食中毒のリスクを低く捉えており、また、鮮度の良い食肉であっても、生で食べると食中毒を起こす可能性が高いことが、あまり理解されていなかった。
  • 食中毒になると重症化しやすい子どもに、食肉を生で食べさせないよう、保護者に対して働きかける必要があることがわかった。


3 【事業者】 食肉を生で食べる料理の提供実態と課題

 都内飲食店112事業者を対象とした「訪問留置アンケート調査」と、15事業者を対象とした「個別インタビュー調査」とを実施した。


(1)食肉を生で食べる料理の提供実態

  • 直近3ヶ月以内に食肉を生で食べる料理を提供した64事業者に対し、どのような食肉を生で食べるために提供したかを聞いたところ、「仕入れ元が生食できるとした食肉」が27事業者(42%)、「伝票・ラベルに『生食用』の表示がある食肉」が20事業者(31%)、「新鮮だと自分や責任者が判断した食肉」が15事業者(23%)
  • 厚生労働省は、「生食用食肉等の安全性確保について」(平成10年)の通知により、生食用食肉の衛生基準を示しているが、平成20年度に生食用としての出荷実績があったのは、馬の肉・レバーのみであった(厚生労働省調査)。国内と畜場から生食用としての出荷実績のない牛肉と、衛生基準のない鶏肉については、本来は生で提供すべきではない食肉を使用していたと言える。

(2)食中毒に関する知識

  • 「鮮度の良い食肉でも、生で食べると食中毒が起こる可能性がある」ことを「良く知っていた」のは59事業者(53%)
  • 流通する鶏肉の食中毒菌の汚染率を「良く知っていた」のは27事業者(24%)
  • 鮮度が良いと判断した食肉を生で提供していたり、食肉の表面をあぶるなどの表面汚染対策で食中毒を防止できると考えている事業者がいた。

(3)課題

  • 牛肉については国内と畜場から生食用としての出荷実績はなく、また、鶏肉については生食用の衛生基準がないことから、事業者は安全性が担保されていない食肉を使用していたと言える。「生食用」食肉以外は生で提供しないことを徹底する必要がある。
  • 鮮度の良い食肉であっても、生で食べると食中毒が起こる可能性があることや、食肉の内部まで菌に汚染されている場合があることが、事業者に十分に浸透しているとは言えなかった。


4 食肉の生食による食中毒防止のためのより効果的な普及啓発

(1)消費者に対する普及啓発

 食中毒患者が多い20代・30代と、食中毒が重症化しやすい子どもの保護者への注意喚起を、重点的に行う必要がある。

(例)
  • (20代、30代向け)車内広告などの広告媒体、インターネット、携帯サイト、テレビ、雑誌等や、学校、勤務先を通じた情報提供により、リスク情報に接する機会を増やす。
  • (小さい子どもの保護者向け)保育園・幼稚園・学校を通じた情報提供や、乳幼児健診等の保護者が集まる機会を捉えて、情報提供を進める。

(2)事業者に対する指導及び周知徹底

  • 保健所等が行う監視指導の際に、食肉の生食のリスクをデータで示した情報を周知し、国の通知に基づく「生食用」食肉以外は生で提供しないことを徹底する必要がある。
  • 消費者に対し事業者からも情報提供を行うことを提案する。
  • 業界団体や調理師養成施設の協力を得て、各事業者や、将来、飲食店の調理人となる人への情報提供を行い、自主的な衛生管理の向上を促進することが重要である。


5 都民の行動の変化を促すために

 食肉を生で食べることによる食中毒を減少させるために、消費者・事業者に特に伝えたいと考える情報は、以下の三点である。


1 お肉は生で食べると、食中毒になることがあります

 とりわさ、レバ刺しなどによる食中毒の原因菌である「カンピロバクター」や「腸管出血性大腸菌(O157など)」は、少量の菌で食中毒を起こします。新鮮であっても、菌が付いている食肉を生で食べれば、食中毒になる可能性があります。


2 子どもが食肉を生で食べると、特に危険です

 カンピロバクターによる腸炎は、子どもに多く発生します。また、腸管出血性大腸菌(O157など)による食中毒では、合併症で溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症する率が子どもにおいて高く、腎機能障害や意識障害を起こし、死に至ることがあります。子どもも含めて、カンピロバクターによる食中毒の後、手足の麻ひ、呼吸困難等を起こすギラン・バレー症候群を発症することがあります。


3 「生食用」の牛肉、鶏肉は流通していません

 厚生労働省は、「生食用食肉等の安全性確保について」の通知で、生食用食肉の衛生基準を示していますが、平成20年度にこの通知に基づいた生食用食肉の出荷実績があったのは、馬の肉・レバーだけでした。牛肉については国内と畜場から生食用としての出荷実績はなく、一部生食用として輸入されているものがありますが、その量はごく少ないものと考えられます。また、鶏肉は生食用の衛生基準がありません。したがって、牛肉、鶏肉は、生で食べると食中毒になる可能性があります。

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