MENU

ホーム » たべもの安全情報館 » 知って安心~トピックス~ »  カビとカビ毒 » カビ毒Q&A

カビ毒Q&A

カビ毒ってなに?

 カビが作り出す代謝産物のうちで、人や動物に対して有害な作用を示す化学物質のことを総称してカビ毒と呼んでいます。
 カビ毒として確認されているものは、現在300種類以上報告されています。わが国のカビ毒研究が盛んになったきっかけは、第二次世界大戦後東南アジア、エジプト、スペインなどから輸入した米から強い肝臓障害を引き起こすカビ毒産生菌が見つかった、いわゆる「黄変米」事件でした。
 また、1960年には、イギリスで、一か月の間に10万羽以上の七面鳥が肝臓障害で死ぬ事故があり、この原因が飼料に含まれていたカビ毒であることが明らかになりました。
 このような事件や事故を契機に、今まで主として発酵や腐敗の面からのみとらえられてきた食品とカビについて、カビ毒が新たな問題として浮上してきました。

カビ毒汚染の分布は?

 発ガン性のカビ毒として有名なアフラトキシンを生産するアスペルギルス・フラバスは、わが国の農産物を汚染している可能性はほとんどありませんが、熱帯や亜熱帯地方に多く存在することが確認されています。このため、これらの国から輸入される農産物が汚染されている可能性はあります。
 一方、温帯から寒帯にかけては、アカカビによる汚染が問題となっています。
 このカビは、気象条件によっては麦などに大発生し、その麦を食べた豚が流産するなどの被害が出ています。

カビ毒の食品への規制は?

 日本では、平成15年から食品衛生法に基づく清涼飲料水の成分規格として、りんごジュース及び原料用りんご果汁について、パツリンの基準値0.050 ppm(50 µg/kgに相当)が定められています。

 また、平成23年から全ての食品について、総アフラトキシン(アフラトキシンB1、B2、G1及びG2の総和)として10μg/kgという規制が適用されています。平成28年には乳に含まれるアフラトキシンM1が 0.5 µg/kgという規制が適用されています。
 さらに、令和4年には小麦の成分規格として、デオキシニバレノールの基準値1.0 mg/kgが定められています。

カビ毒は調理で除去できる?

1 カビ毒は熱に強い

 カビ毒は、通常の調理や加工の温度(100℃から210℃)や時間(60分以内)では、完全に分解することはできません。


2 カビ毒は家庭の調理で分解できるか

 カビ毒は、ゆでる、炒める、炊飯などのごく一般的な調理方法ではカビ毒ほとんど減りません。


食品製造工程でカビ毒は除去できる?

 食品の製造工程では、加熱、水洗などの工程があります。これは家庭で行う調理条件と大差はありませんので、前項に述べたようにあまり期待はできません。
 それでは、食品添加物の影響はどうでしょうか。
 たとえば、食用油の原料のトウモロコシなどがカビ毒に汚染されていた場合を考えてみます。食用油の製造工程には、原料油に含まれる不純物を除くために、脱酸工程、脱色工程、脱臭工程などがあります。この脱酸工程で食品添加物のアルカリ剤が使用されますが、これで大半のカビ毒が分解されます。さらに、その後の精製工程で分解し、製品になるまでに完全に除去されます。
 ナッツ類や穀類などがカビ毒で汚染されていた場合、焼いても熱に強いため分解しません。しかし、虫食いや変色したものの汚染率が高いことがわかっていますので、除去するためには選別するしかありません。選別方法には機械によって除去する方法と、人の目で除去する方法(ハンドピック法)に大きく分けられています。
 家庭でピーナッツなどのナッツ類を食べる時にも、カビが生えているもの、虫食いのもの、食べて苦いもの、未熟なものは食べないようにした方が安全です。



このページは東京都保健医療局 健康安全研究センター 企画調整部 健康危機管理情報課 食品医薬品情報担当が管理しています。


▲このページのトップへ