東京都障害者・障害児施策推進計画(平成30年度から平成32年度)のあらまし 東京都障害者・障害児施策推進計画とは  この計画は、「東京都障害者計画」と「東京都障害福祉計画」、「東京都障害児福祉計画」の3つの計画をあわせて、一つの計画として定めたものです。 「東京都障害者計画」 障害者基本法に基づく基本的な計画で、障害者施策に関する広い分野にわたって達成すべき目標を掲げています。 「東京都障害福祉計画」 障害者総合支援法に基づく計画で、必要な障害福祉サービスを提供するための体制の確保等について定めています。 「東京都障害児福祉計画」 じどう福祉法に基づく計画で、必要な障害児通所支援などを提供するための体制の確保等について定めています。 計画期間 この計画の期間は、平成30年度から平成32年度までの3年間です。 計画の基本理念  この計画では、「障害のある人もない人も、社会の一員として、お互いに尊重し、支え合いながら、地域の中で共に生活する社会」、「自らの生活の在り方や人生設計について、障害者自身が選び、決め、行動するという『自己選択・自己決定』の権利を最大限に尊重するとともに、意思決定の支援を適切に受けられるよう配慮し、障害者が必要な支援を受けながら、障害者でない者と等しく、人間としての尊厳をもって地域で生活できる社会」を目指すべき社会とし、次のような基本理念を掲げ、障害者施策を推進していきます。 基本理念1 全ての都民が共に暮らす共生社会の実現 障害があっても、適切な支援があれば街なかで育ち、学び、働き、楽しみ、暮らすことができることを都民が理解し、障害のある人とない人が学校、職場、地域の中で共に交流し、支え合う共生社会の実現を目指します。 基本理念2 障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現 障害の種別にかかわらず、また、どんなに障害が重くても、必要とするサービスを利用しながら、障害者本人が希望する地域で安心して暮らせる社会の実現を目指します。 基本理念3 障害者がいきいきと働ける社会の実現 障害者が地域において自立して生活し、その生活の質の向上を図れるよう、働く機会を拡大するとともに適切な支援を提供することにより、障害者が能力や適性に応じて、仕事に就き、働き続けられる社会の実現を目指します。 施策目標  こうした社会を実現するため、5つの目標を掲げて、障害者施策を展開していきます。 1 共生社会実現に向けた取組の推進 2 地域における自立生活を支える仕組みづくり 3 社会で生きる力を高める支援の充実 4 いきいきと働ける社会の実現 5 サービスを担う人材の養成・確保 目標達成のための具体的な取組  施策目標1 共生社会実現に向けた取組の推進                                          1 障害及び障害者への理解促進及び差別の解消に向けた取組 東京都として差別の禁止や合理的配慮の提供、環境整備に取り組むとともに、都民や事業者に障害者差別解消法について広めていきます。 ※合理的配慮 障害のある人が困っている時に、その人の障害に合った必要な工夫ややり方を相手に伝えて、それを相手にしてもらうこと。 差別の解消の取り組みを一層進めるため、平成30年度の施行を目指して、障害を理由とする差別を解消するための条例の制定に向けた検討を行います。 障害や障害者への理解を進め、互いを思いやる心を育む心のバリアフリーや、ヘルプマーク・ヘルプカードの普及、様々な障害の特性に配慮した情報バリアフリーを進めます。 2 スポーツ・文化芸術活動や生涯学習・地域活動等への参加の推進 障害のある人が身近な地域でスポーツに親しめるよう、障害者スポーツの振興を図るとともに、障害者の文化芸術活動を推進します。 障害のある人が、生涯にわたり、様々な学習活動やレクリエーションに参加したり、余暇活動を楽しむことができるよう、学習会やボランティア活動参加など、活動の場の確保を行う取組を支援していきます。 3 ユニバーサルデザインの視点に立った福祉のまちづくりの推進 障害者を含めた全ての人が安全、安心、快適に暮らし、訪れることができるよう、ユニバーサルデザインの視点に立ったまちづくりを進めます。 誰もがまちの中を円滑に移動できるとともに、あらゆる場所で活動に参加し、共に楽しむことができる環境整備を進めるため、バリアフリー化を推進していきます。 施策目標2 地域における自立生活を支える仕組みづくり                              1 地域におけるサービス提供体制の整備 障害者が地域で安心して生活できるよう、障害福祉サービスの提供体制を整備します。また、障害者の高齢化や、障害の重度化、医療的ケアなど、障害者の状況の変化にも対応できるよう、障害福祉サービスの提供体制の整備を推進します。 障害者が地域で安心して生活できるよう、「障害者・障害児地域生活支援3か年プラン」により、グループホームや通所施設など地域生活基盤の整備を促進します。 障害者・障害児地域生活支援3か年プラン(平成30年度から平成32年度) 1 地域居住の場の整備 グループホームを3年間で2,000人分増やします。 2 日中活動の場の整備 様々な日中活動の場を3年間で6,000人分増やします。 ※日中活動の場とは、通所施設などにおける生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援のサービスのことです。 3 在宅サービスの充実 短期入所(ショートステイ)を3年間で180人分増やします 4 障害児支援の充実 じどう発達支援センターを3年間で各区市町村に少なくとも1か所以上設置します。 主に重症心身障害児を支援するじどう発達支援及び放課後等デイサービス事業所を3年間で各区市町村に少なくとも1か所以上確保します。 これらの施設の整備費について、設置者の負担を軽減するなどにより、整備を促進します。 このほか、入所施設が設置されていない地域において、地域生活への移行を支援する機能などを強化した「地域生活支援型入所施設」の整備を推進します。 地域で生活する障害者とその家族の状況の変化や緊急事態があっても、障害者が地域での生活を継続できるよう、地域生活支援拠点等を整備し、体制を構築します。 2 地域生活を支える相談支援体制等の整備 障害者の地域生活を支えるため、相談支援、障害者虐待の防止、成年後見制度の活用促進、サービスの質の確保・向上などの、地域の支援体制の整備を進めます。 3 施設入所・入院から地域生活への移行促進と地域生活の継続の支援 (1)福祉施設入所者の地域生活への移行 次のような取組により、施設入所者がグループホームなどの地域生活へ移行することを目指します。 ○入所施設等にコーディネーターを配置し、施設入所者や家族への働きかけや、地域の連携体制づくりを進めます。 ○地域生活への移行や定着を進める区市町村の取組を支援します。 (2)精神科病院からの地域生活への移行 次のような取組により、長期に入院している精神障害者の退院支援や、入院を長期化させない体制づくりを進めます。 ○病院と地域との調整を行うコーディネーターを配置し、広域的な支援体制を整備します。 ○入院中の精神障害者が安心して退院を目指すことができるよう、ピアサポート活動や体験宿泊などを活用した働きかけを行います。 ○入院中の精神障害者の早期退院に向けて、病院内の体制づくりや病院と相談支援事業所との連携などを支援します。 4 障害者の住まいの確保 障害者の地域での生活を支える住まいを確保するため、入居に当たっての調整等や、緊急時等の連絡体制の確保、関係機関との連絡調整などを行う事業に区市町村が積極的に取り組むよう促します。 5 保健・医療・福祉等の連携による障害特性に応じたきめ細かな対応 重症心身障害、精神障害、発達障害、高次脳機能障害、難病など、保健・医療・福祉等の連携が特に必要な障害について、障害特性に応じたきめ細かな支援を行う体制づくりを進めます。 6 安全・安心の確保 災害時に配慮の必要な障害者等に対して必要な対策が行われるよう、区市町村などにおける体制の整備を支援します。 消費者被害の防止など、障害者が地域社会で安全・安心に生活することができるよう、障害の特性に配慮した対応を進めます。 施策目標3 社会で生きる力を高める支援の充実                                     1 障害児への支援の充実 障害児とその保護者が住み慣れた地域で安心して生活していくために、保育所や学童クラブ等での障害児の受入れを進めるとともに、子供の成長や障害の特性に応じた適切な支援が提供できるように、障害児支援の提供体制を確保していきます。 医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるよう、関係機関の連携強化や、在宅生活を支えるサービスの充実を図ります。 2 全ての学校における特別支援教育の充実 全ての障害のある幼児・児童・生徒が自分らしい生き方を見つけ、将来の夢や希望を実現するため、全ての学びの場における指導と教育環境をさらに充実します。 3 職業的自立に向けた職業教育の充実 都立知的障害特別支援学校等における職業教育の充実を図り、障害の程度に応じたきめ細かな職業教育や就労支援を行うことで、生徒の職業的自立と社会参加を促進します。 施策目標4 いきいきと働ける社会の実現                                        1 一般就労に向けた支援の充実・強化 一般就労を希望する障害者が企業等に就労できるよう、関係機関が連携して障害者の雇用を促進し、福祉施設から一般就労への移行を進めます。 企業での雇用促進に向けた取組を支援します。 2 福祉施設における就労支援の充実・強化 障害者が、働くことの喜びや達成感を得ながら地域で自立した生活を実現できるよう、工賃の向上などを目指す福祉施設の取組を支援します。 施策目標5 サービスを担う人材の養成・確保                                     1 障害福祉サービス等を担う福祉人材の確保・育成・定着への取組の充実 障害者が、身近な地域で障害福祉サービスや相談支援事業を利用できる体制を確保するとともに、サービスの質の向上を図るため、人材の養成・確保を進めます。 2 重症心身障害児(しゃ)施設における人材の確保と養成 重症心身障害児(しゃ)の障害特性に応じた支援を提供できる看護人材の確保・養成の促進を図ります。 成果目標  この計画では、障害福祉サービスを提供する体制を確保していくため、次のような具体的な成果目標を定めて、その達成を目指します。 成果目標1 福祉施設入所者の地域生活への移行 1 施設入所者のうち地域生活に移行する者の数 福祉施設に入所している人が、施設を退所し、グループホームなどでの地域生活へ移行することを進めます。 平成32年度末の目標 平成28年度末から670人が地域生活へ移行することを目指します。 2 施設入所者(入所施設定員)数 平成32年度末の目標 入所施設定員数が、7,344人を超えないことを目指します。 成果目標2 精神科病院からの地域生活への移行 1 入院後3か月時点・6か月時点・1年時点の退院率 精神科病院に入院する人のうち、早く退院する人の割合を高くします。 平成32年度の目標 @入院後3か月以内に69%以上の人が退院することを目指します。 @入院後6か月以内に84%以上の人が退院することを目指します。 A入院後1年以内に90%以上の人が退院することを目指します。 2 長期在院者数の削減   精神科病院に長期間(1年以上)入院している人の数を減らします。 平成32年度の目標 1年以上入院している人を平成26年度の65歳以上7,930人、65歳未満4,958人から、平成32年度には65歳以上7,214人、65歳未満4,158人に減らすことを目指します。 成果目標3 地域生活支援拠点等の整備 平成32年度の目標 地域生活支援拠点等を各区市町村に少なくとも一つ整備することを目指します。 成果目標4 障害児への支援の充実 1 じどう発達支援センター 平成32年度の目標 平成32年度中に各区市町村に少なくとも1か所以上設置することを目指します。 2 保育所等訪問支援    平成32年度の目標 平成32年度中に全ての区市町村において利用できる体制を構築することを目指します。 3 主に重症心身障害児を支援するじどう発達支援事業所    平成32年度の目標 平成32年度中に各区市町村に少なくとも1か所以上確保することを目指します。 4 主に重症心身障害児を支援する放課後等デイサービス事業所    平成32年度の目標 平成32年度中に各区市町村に少なくとも1か所以上確保することを目指します。 5 医療的ケア児支援のための関係機関の協議の場    平成30年度の目標 平成30年度中に各区市町村において設置することを目指します。 成果目標5 福祉施設から一般就労への移行等 1 区市町村障害者就労支援事業利用による一般就労者数 区市町村の障害者就労支援センターを利用して、企業などに一般就労する人を増やします。 平成32年度の目標 平成32年度中に2,500人が企業などに一般就労することを目指します。 2 福祉施設から一般就労への移行者数    福祉施設(生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援)を利用している人で、企業などの一般就労に移行する人を増やします。 平成32年度の目標 平成32年度中に2,700人が福祉施設から一般就労に移行することを目指します。 3 就労移行率3割以上の就労移行支援事業所の割合 一般就労に移行する利用者の割合が高い就労移行支援事業所を増やします。 平成32年度の目標 利用者の3割以上が一般就労に移行する就労移行支援事業所を、就労移行支援事業所全体の半分以上にすることを目指します。 4 就労定着支援事業による支援開始後1年後の職場定着率 一般就労に移行した利用者が、1年後まで同じ職場に定着する人を増やします。 平成32年度の目標 一般就労に移行した利用者が、就労定着支援事業を利用した後、1年後まで同じ職場に定着する人の割合を80%以上にすることを目指します。 5 区市町村障害者就労支援事業による支援開始後1年後の職場定着率 平成32年度の目標 一般就労に移行した利用者が、区市町村障害者就労支援事業を利用した後、1年後まで同じ職場に定着する人の割合を80%以上にすることを目指します。 障害福祉サービス等の必要量の見込み  東京都全体の月間のサービスや相談支援の量の見込みを次のとおり定めました。 訪問系サービス(ホームヘルプサービスなど) 平成28年度の実績 20,639人 867,733時間 平成32年度の見込み 23,031人 924,773時間  日中活動系サービス (生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援の合計) 平成28年度の実績 48,137人 872,231にんにちぶん 平成32年度の見込み 55,961人 1,081,859にんにちぶん 就労定着支援 平成28年度の実績 なし 平成32年度の見込み 3,250人 療養介護 平成28年度の実績 1,235人 平成32年度の見込み 1,235人 短期入所 平成28年度の実績 4,688人 35,457にんにちぶん 平成32年度の見込み 5,992人 45,621にんにちぶん 自立生活援助 平成28年度の実績 なし     平成32年度の見込み 706人 共同生活援助(グループホーム) 平成28年度の実績 9,223人 平成32年度の見込み 11,759人 施設入所支援 平成28年度の実績 8,571人 平成32年度の見込み 8,619人 計画相談支援 平成28年度の実績 8,007人 平成32年度の見込み 11,215人 地域移行支援 平成28年度の実績 78人 平成32年度の見込み 124人 地域定着支援 平成28年度の実績 180人 平成32年度の見込み 360人 障害児支援の必要量の見込み 東京都全体の月間の障害児支援の量の見込みを次のとおり定めました。 じどう発達支援 平成28年度の実績 9,703人 62,835にんにちぶん 平成32年度の見込み 14,206人 91,996にんにちぶん 放課後等デイサービス 平成28年度の実績 13,046人 149,589にんにちぶん 平成32年度の見込み 19,320人 221,528にんにちぶん 保育所等訪問支援 平成28年度の実績 163人 224にんにちぶん 平成32年度の見込み 621人 853にんにちぶん 医療型じどう発達支援 平成28年度の実績 207人 1,656にんにちぶん 平成32年度の見込み 231人 1,880にんにちぶん 居宅訪問型じどう発達支援 平成28年度の実績 なし なし 平成32年度の見込み 135人 810にんにちぶん 福祉型じどう入所支援 平成28年度の実績 438人 平成32年度の見込み 438人 医療型じどう入所支援 平成28年度の実績 197人 平成32年度の見込み 197人 障害児相談支援 平成28年度の実績 1,992人 平成32年度の見込み 3,756人 医療的ケア児の支援者育成数 平成28年度の実績 なし 平成32年度の見込み 1,100人