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6 精神障害者に対する支援

現状
課題
長期入院患者を含む、いわゆる社会的入院患者が、都内に約5,000人いると推計されている。
〈参考〉 入院患者数:23,161人(平成16年6月末現在)
精神障害者の地域での生活を支援するため、社会復帰施設の整備及び区市町村による居宅支援事業を推進している。
精神科初期・二次救急の需要の増加に対応するために、民間の医療機関等の協力を得て、精神科救急医療体制の充実を図っている。
社会的入院患者を退院に導く仕組みがない。
地域の受け皿(住居、就労・活動の場等)が十分でないため、退院が促進されない。
精神障害者に対する相談・支援の実施が、法律上、区市町村に義務付けられておらず、精神保健福祉施策の多くが努力規定になっている。
トリアージ※の結果を含むシステム全体の評価など、質の保持に関する仕組みが十分でない。
障害者自立支援法への対応(新事業体系、定率負担等)
※ トリアージ 〜 限られた人的・物的資源の中で最大の効果を発揮するため、病気の緊急度や重症度を判定して、治療や後方搬送の優先順位を決めること。
今後の方向性
退院促進支援モデル事業の評価・検証を踏まえ、事業の実施と普及啓発を促進する。
安定した地域生活を保障するため、医療と福祉の両面からのサポートを一体的に推進
【医療面】 精神科地域医療の充実に向け、ACT※等を参考にした「地域に出向く専門職チーム」を活用した仕組みの構築や、更なる精神科救急医療体制の充実を図る。
※ ACT 〜 多職種の専門家チームが地域に出向き、生活の場で当事者の相談・支援を行うプログラム
【福祉面】 地域生活支援センター等での相談・支援体制を強化するとともに、区市町村を中心に、住居の確保や就労支援の強化など、地域での受け皿の充実を図る。
区市町村が精神障害者の地域生活支援施策に積極的に取り組むよう、東京都は区市町村に よるサービス基盤の整備を重点的に支援する。

精神障害者に対する保健医療福祉施策について

精神障害者に対する保健医療福祉施策についての図

精神保健福祉社会資源一覧

(平成16年度版)
精神保健福祉社会資源一覧の図1

精神保健福祉社会資源一覧の図2

東京都夜間休日精神科救急医療の流れの図

精神障害者退院促進支援モデル事業(概要)

目 的
 「受入条件が整えば退院可能」な精神科入院患者の退院を促進し社会復帰を図るため、都独自の退院支援と地域ケア体制を確保するとともに、モデル事業の実施による効果検証を行い、都における最適な退院促進支援策を構築する。
対象者
 精神科病院に1年以上入院している精神障害者のうち、病状が安定しており、受入条件が整えば退院可能で、本人が退院を希望し、かつ精神科病院管理者からの推薦がある者
事業の概要
@ 地域退院促進連絡会と地域生活ケア会議を設置し、コーディネーターと地域生活サポーターを配置
A コーディネーターが精神病院と調整しながら、入院患者の状況を把握
B 地域退院促進連絡会で、対象者に関する協議や関係機関調整等を実施
C 地域生活ケア会議で、対象者を決定し、ケアプランを作成
D コーディネーター・地域生活サポーターを中心に、関係者が連携して退院・地域生活定着に向けてサポート(概ね6ヶ月)
E 状況に応じ、地域生活ケア会議でケアプランを評価・修正
F 地域生活ケア会議での判断と対象者の了解により、支援を終了
会議構成
【地域退院促進連絡会】
 保健所・地域内病院・区市町村・地域生活支援センター・精神保健福祉センター等関連機関管理者及びコーディネーター
【地域ケア会議】
 保健所・地域生活支援センター・区市町村・福祉事務所・通所社会復帰施設・病院・診療所・訪問看護ステーション・精神保健福祉センター等地域生活支援関連機関職員及びコーディネーター・地域生活サポーター
役 割
【コーディネーター】
 会議の企画立案・調査実施・進行管理・関係者調整・地域生活サポーター支援・ケアプラン作成・ケアコーディネーション・対象者病状把握・緊急時の対応体制確保・地域ネットワーク体制の構築
【地域生活サポーター】
 コーディネーターとともに病院に出向いて対象者との関係づくり・対象者の外出等に同伴し地域生活をサポート・支援状況をコーディネーターに報告

精神障害者退院促進支援モデル事業の図

平成16年度 精神障害者退院促進支援モデル事業について
〜退院促進に向けた基盤体制作りを中心に〜

1 基本的な考え方

(1)地域全体で退院促進の気運を高めることを目指す。
(2)精神科病院等の退院促進に向けた主体的動きを大切にし、状況に応じた協働体制を組む。
(3)地域におけるネットワ−クの中で、退院促進における精神科病院と地域関係機関との連携のための基盤体制を作る。

2 事業の評価 〜継続した取組に向けて〜

(1) プロセスの評価

ア 保健所の公衆衛生の視点による事業の取組
⇒ 地域のネットワ−クを見据えた動き

 地域全体の退院促進の仕組み作りが進むことを目標に、管内の精神科病院10病院全体に働きかけ、地域全体のネットワーク作りを目指し、地域関係機関に幅広く働きかけを行った。公衆衛生を担う行政機関である保健所としての機能を活かした活動を行うことができたと考える。

イ 保健所の企画調整機能を活かした活動
⇒ スム−ズな関係機関との調整

 コーディネーターを担う保健師は、日常業務を通して、退院促進に関する意見交換を、地域の各種会議や交流会・勉強会で説明する等、関係機関との調整をきめ細かく行った。新人のケースワーカーの精神科病院においては、相談に対応し、国立精神保健研究所の研究班員の研究班とも情報交換を図りながら、協働した。地域のサポータ−は、スムーズに事業展開を行った。

ウ 当事者の声を大切にした取組

 リーフレット作成は、当事者のミーティングに参加し、意見交換を行うなど、当事者からの意見の反映に努めた。退院促進学習会に参加を呼びかけ、当事者の立場から発言してもらった。

エ きめ細かな打合せ会議とそれに基づく協力体制

 具体的な計画・内容の作成・実施・評価・修正・確認と細かな役割を担った。
 保健所と精神保健福祉課と多摩総合精神保健福祉センターが一体となって協働して実施した。
 「打合せ会議」にあたる「地域の実務者からなる関係者による連絡会」が事業遂行上、不可欠であることがわかった。

(2) 取組内容の評価

ア 退院促進に関わる病院状況調査

 10病院の訪問インタビュ−調査により、院長や看護部長と会い意見交換ができ、病院全体の動きがわかり、病院の雰囲気や病院内の連携の状況を把握することができた。

イ 精神科病院情報の整理

 訪問インタビュー調査を整理し、「病院情報」を作成し、地域関係者に配布した。好評のため増刷している。

ウ 退院促進の動機づけを高めるためのリーフレット

 リーフレットは、フロッピーにして配布した。

エ 施設見学ツアーの取組

 病院のケースワーカ−が、積極的に取り組み、看護師、作業療法士・入院患者の退院促進に向けた動き出すことが出来た。地域の社会復帰施設を見学し、病院自身が積極的に動き出した。

オ 退院促進学習会の開催

 病院関係者、社会復帰施設、訪問看護ステーション、市役所等の関係者103人が参加した。参加者の退院促進に向けた取組の意欲が高まる機会となった。

(3) 本事業の評価と今後の課題

課題1 退院促進に向けた取り組みの必要性の共有
課題2 精神科病院と地域関係者との連携
課題3 組織としての取り組み
課題4 退院促進の仕組づくり