高次脳機能障害

どんな障害?

高次脳機能障害とは、脳卒中などの病気や交通事故などで脳の一部を損傷したために、思考・記憶・行為・言語・注意などの脳機能の一部に障害が起きた状態をいいます。外見からは分かりにくい障害であるために、周りの人から十分に理解を得ることが難しく誤解されてしまうことがあります。

高次脳機能障害の色々な症状

・注意障害

集中力が続かない。気が散りやすい。複数のことを同時にできない。

・記憶障害

病気やけがの前のことは覚えているのに、新しい出来事を覚えられない。

・失語

言いたい言葉が出てこない。聞こえていてもその意味が分からない。

・遂行機能障害

段取り良く物事を進めることができない。優先順位がつけられない。

・半側空間無視

目では見えているのに、片側に注意がいかないため、見落としたり、ぶつかったりしやすい。

・感情と社会的行動の障害

感情や欲求のコントロールができない。やる気が起きない。人柄が変わってしまう。

サポート方法

こんなことに困っています

高次脳機能障害の程度やあらわれ方は人それぞれで、本人が気づきにくいこともあります。

職場で……

【困ったこと】

疲れやすくなり、仕事に集中できなかったり、イライラしたりしてしまうことがある。
段取り良く、物事を進められない。

【対応の方法】

疲労やイライラしている様子が見られたら、一休みして気分転換を促すようにしましょう。
「手順を簡単にする」「日課をシンプルにする」など環境の調整をすることも大切です。

日常生活の中で……

【困ったこと】

コミュニケーションがうまくいかない。
新しいことを覚えにくい。

【対応の方法】

ゆっくり、分かりやすく、話すことを心がけ、何かを頼むときには、一つずつ具体的に提示しましょう。
情報はメモに書いて渡し、絵や写真、図なども使って説明するようにしましょう。

日常生活で……

【困ったこと】

感情や欲求のコントロールがきかず、些細なことで腹を立てたり、涙もろくなったりする。

【対応の方法】

環境の変化やマイナス感情への対応が困難で、ストレスが溜まりやすいということを周りの人は理解しましょう。
できるだけ混乱せずに安心して過ごせるように、行動の手がかりが多い環境を作りましょう。

街中で……

【困ったこと】

図や表示の意味を理解できないことがある。
文字が読めなくなることがある。
視界の左側(あるいは右側)の空間にある情報を見落としてしまう。

【対応の方法】

具体的な絵、写真、ジェスチャーなどを活用して分かりやすくしましょう。
また、見落としてしまう側の空間を意識して、情報を見直す習慣をつけてもらいましょう。

コラム +プラスで知っておこう!
高次脳機能障害者と出会ったときの基本的な配慮

気持ちにゆとりを持って接する

高次脳機能障害のある方は、話がうまくまとめられなかったり、言葉がとっさに出てこなかったりします。余裕がない態度で接してしまうと、障害のある方にとってプレッシャーになるばかりでなく、コミュニケーションの意欲を失わせる要因となります。