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事件No.18 怪しい二人組 くわしいページ
BSE 牛海綿状脳症(うしかいめんじょうのうしょう)
BSE(牛海綿状脳症)は、1986年にイギリスで最初に発見された牛の病気です。しかし、牛だけでなく、BSEになった牛の肉や内臓を食べると、人にも障害を起こす可能性があることが分かり、大きな問題となりました。
牛海綿状脳症(BSE)とは
牛の脳の組織がスポンジ(海綿)状になる、悪性の中枢神経系の病気です。BSEを発症した牛は、音や光、接触に対する異常な反応、けいれんやふらつきなどが見られます。症状が進むと、攻撃的で興奮しやすい状態になって、転倒したり、立つことができなくなります。最終的には食べることができなくなって、多くは、発症から3~6ヶ月で死亡します。
また、感染していても症状を示さない「潜伏期間」があり、3~7年程度といわれています。
治療法は、いまだ開発されていません。
BSEの原因は何か?
人や動物の細胞には、プリオンというたんぱく質が存在しています。BSEは、この正常なプリオンが感染性を持つ「異常プリオン」というたんぱく質に変化し、脳などに蓄積して障害を起こしたものと考えられています。
BSE感染の拡大の理由
BSEの原因は、「肉骨粉(にくこっぷん)」であると考えられています。
肉骨粉とは、家畜を肉にする際に出るくず肉、内臓、骨などを加熱処理したもので、家畜のエサ、農作物用の肥料などとして使用されていました。しかし、何らかの理由で異常プリオンが肉骨粉に処理され、エサとして牛に与えられてしまったと考えられています。
また、異常プリオンが混入したエサを食べて育った牛は、すぐには症状を示さないので、発見される前にと畜され、再び肉骨粉となって別の牛のエサとなり、感染はイギリスから世界中に拡大したと思われます。
人への感染経路
人において、「新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」という、BSEと同様に脳の組織にスポンジ状の変化が起きる病気があります。この病気の原因は、イギリスでの発生状況から、BSEの「異常プリオン」である可能性が高いとされています。
BSEが人に感染した経路として、「異常プリオン」に汚染された食品を食べたことによるものと考えられています。
もっと詳しく調べてみよう
日本ではどのくらい発生しているのか?
日本では、平成13年(2001年)から平成22年(2010年)までに、36頭の牛でBSE陽性例が見つかっています。
また、日本における新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者は、1名報告されています。この患者については、イギリス滞在時に感染した可能性が高い、と考えられています。
日本のBSE対策
BSEはその感染経路をしっかりとコントロールすれば、感染拡大を防ぐことができる病気とされています。
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肉骨粉の給与規制
牛をBSEに感染させない対策として、2001年10月以降、肉骨粉を飼料として使うことを法律で規制し、感染を根本からシャットアウトしています。
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と畜場におけると畜検査、特定部位の除去
全ての牛は、と畜場で「と畜検査員」(獣医師)による「と畜検査」を受けます。この検査を受けないと、その肉や内臓等は市場に流通できません。
また、異常プリオンは、牛の特定の部分に集中して蓄積しますが、その「特定部位」は、と畜場で除去されて焼却処分されます。
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牛肉のトレーサビリティ
BSEのまん延防止と、消費者の信頼確保を目的として、牛の個体情報を流通段階で公開することが平成15年(2003年)に義務付けられました。牛は生まれてすぐに10けたの「個体識別番号」が付けられ、その後、最終的に食肉となって販売されるまで、この番号で牛の情報を調べることができます。
このように、食品情報をさかのぼって追跡できる仕組みをトレーサビリティといいます。
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BSE検査
と畜場では、24か月齢以上の牛のうち、と畜検査員が必要と判断した牛について、牛が解体される際に、脳(延髄)からサンプルを採って、BSE病原体(異常プリオン)があるかどうかを調べるBSE検査を実施しています。
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輸入牛肉等に対する対策
BSE発生国からの牛肉、牛内臓及びそれらの加工品の輸入を規制しています。