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1「血液検査のみで食事除去の指示が出ている乳児」の場合

最終更新日:令和2年10月16日 | 公開日:令和2年10月16日

受診時の状況

1歳の娘の母です。
夫は子どもの頃からアトピー性皮膚炎があり、私は大人になってから花粉症を発症していたため、アレルギー体質が娘に遺伝して食物アレルギーになり易いのではないかと思っていました。

生後6か月の頃、離乳食で食物アレルギーになるのが心配で、かかりつけ医で血液検査をしました。結果、まだ食べていないものも含めて複数の食物で陽性でした。少量食べ始めていた食品も陽性だったため、症状は出ていませんでしたが、それも除去することになりました。

小麦や大豆が食べられないと離乳食に使い勝手の良いうどん、パン、豆腐などが使えなくなってしまい、当時は何を食べさせて良いか悩みの種でした。親戚からお菓子をもらっても食べられず「少しぐらい大丈夫なんじゃない?」と言われて困ってしまうこともありました。ママ友には「あまり神経質にならないほうがいい」と言われお医者さんの指導を守っている私の気持ちはわかってもらえませんでした。

その後の状況

1歳になっても除去が続いたので、先が見えず不安になり専門の医療機関を受診しました。食べたことがない食物で血液検査が陽性で除去していたものについては、病院で食物経口負荷試験を行い、本当に食べられないかどうか実際に食べてみることになりました。

結果は症状が出るものは一つもありませんでした。少量食べ始めていたのに、血液検査が陽性で除去指導された食物についても「そもそも食べて症状が出ていなかった」という理由で少量から再開することになりました。

医師からは

  • 血液検査は食べられるものでも陽性反応を示すことがある。
  • このため食物アレルギーの診断において、血液検査結果は診断根拠にはならない。
  • 診断の根拠は、食べて症状が誘発されることにある。
  • 乳児が不必要な食物除去をするのは発症予防の観点からも勧められない可能性が指摘されている。
                

と説明されました。                 

我が子のためにしていた除去が、しなくても良い努力だったことがわかりがっかりしましたが、今知ることが出来て良かったと前向きに考えることにしました。 医師からは「これからは積極的に食べさせて下さいね。食べて気になる症状があればまた受診して下さい。」とも言われました。

これからも体調不良や健診でお世話になるかかりつけ医に、

  • 知人の勧めで専門の医療機関を受診してみたこと
  • その診断結果と指導された内容
  • 食べ進んで食べる量が多くなったらいつか症状が出るのでは?という不安な気持ちは正直まだ少し残っていること
  • 病院が診療している時間や夫が家にいる時間に食べさせる等で自分自身に負担の無い環境を作り医師や栄養士の指導通りに進めていきたい気持ちであること
      

を伝えたところ、理解が得られ、一緒に頑張っていきましょうと言って下さいました。

専門医療機関の医師とかかりつけ医、主治医が二人いるようで心強く思いました。

今後は必要に応じて専門の医療機関を受診すること、双方の医療機関での経過報告を心がけ、二人の主治医に支えて頂きながら、楽しんで食べ進めて行きたいと思います。                     

医師からのワンポイントメッセージ

≪食物アレルギーの診断と除去について≫

食物アレルギーの診断はその後の日常生活に大きな影を落とします。このため、医師の診断に基づかない除去 (心配だから、検査陽性だからなど)は絶対に避けましょう。医師には丁寧な問診(いつ、何を、どれくらい、どれくらい後に、どんな症状)をとってもらい、必要に応じて血液検査など、および食物経口負荷試験をしてもらいます。
また診断されても、必要最小限の除去を実践することが有用です。医師の指示のもと、安全に少量でも食べ進めることは、耐性獲得(治ること)に有利に働きます。


≪かかりつけ医と専門医・専門医療機関のかかり方について≫

地域のかかりつけ医は、「健診や予防接種、風邪や胃腸炎など身近な疾患の治療、また健康に関することを何でも相談できる身近にいて頼りになる医師」を指します。必要な時は専門の医療機関を紹介してくれます。一方で専門医や専門医療機関は特定の疾患や疾患群に対して専門的な知識と豊富な経験を持つ医師や施設を指します。
食物アレルギーかな?と疑った場合には、まずかかりつけ医に相談し、診断や診療を受けるのが良いでしょう。しかし、除去すべき品目が多かったり、強い症状が誘発されたり、かかりつけ医の診断や診療に疑問があり、それに対して適切な診療が受けられない場合には、セカンドオピニオンとして専門医に助言を求めると良いでしょう。

(昭和大学医学部小児科学講座 教授 今井孝成 先生より)

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『アレルギーの棚』患者さん向け冊子・書籍など(食物アレルギー)

「アレルギーポータル」は、厚生労働省の補助事業として、一般社団法人 日本アレルギー学会が開設したポータルサイトです。『アレルギーの棚』のページでは、対象別(患者さん向け/医療従事者向け)、疾患別に参考資料が掲載されています。

以下は、食物アレルギーに関する資料が掲載されており、疾患の基本的な理解、レシピ集、緊急時対応マニュアル、災害時の備蓄などの情報が掲載されています。

このページは東京都 健康安全研究センター 企画調整部 健康危機管理情報課 環境情報担当が管理しています。

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